WooCommerceで商品やデジタルコンテンツを販売していても、標準機能だけでは請求書PDFを発行できません。受注後にExcelや文書テンプレートへ転記していると、宛名、送料、返金後の合計、発行日などで転記漏れが起きやすくなります。
この記事では、日本語の請求書PDFを無料プラグインで発行するまでを、導入前の確認、設定、テスト、日常運用の順に解説します。機能一覧やFree/Proの料金を比較したい場合は、先にJapanese Invoice PDFsの製品ページをご覧ください。
先に結論:WooCommerce本体は請求書を標準生成しないため、PDF発行にはプラグインが必要です。日本語表示、注文画面とMy Accountからの発行、返金・送料、HPOS対応を確認して選ぶと、導入後の手戻りを減らせます。
WooCommerceだけでは請求書PDFを発行できない
WooCommerceの公式ドキュメントでも、WooCommerceは初期状態で請求書を生成せず、請求書や領収書、納品書などを作成するにはプラグインが必要だと説明されています。
重要なのは「PDFにできるか」だけではありません。日本の購入者へ渡す書類では、日本語フォント、宛名と発行元、税と送料、返金、購入者が再取得できる場所まで、実際の受注フローに沿って確認する必要があります。
導入前に確認する5つの条件
1. 必要な帳票は請求書だけか
請求書だけでよければFree版から始められます。領収書・納品書、適格請求書の登録番号や税区分、銀行振込先、支払期限まで必要なら、最初からPro版を含めて検討した方が設定をやり直さずに済みます。
2. 管理者と購入者のどちらが発行するか
管理者が注文編集画面から発行するだけでなく、購入者がMy Accountの注文詳細から自分で再ダウンロードできると、個別送付の回数を減らせます。ゲスト購入が中心の場合は、会員登録や送付方法も合わせて決めます。
3. 送料・返金後の金額が一致するか
商品小計だけを出す仕組みでは、送料がある注文や一部返金後の注文でWooCommerceの合計とPDFが一致しません。テスト注文では、通常注文、送料あり、一部返金、全額返金を分けて確認します。
4. 日本語フォントとサーバー要件を満たすか
Neutrope Japanese Invoice PDFs for WooCommerceのFree版は、PHP 7.4以降、WooCommerce 7.0以降、PHP拡張mbstring・gdが必要です。配布ZIPにはPDFライブラリと日本語フォントが含まれるため、通常の導入でcomposer installは不要です。
5. HPOSとの互換性があるか
HPOS(High-Performance Order Storage)は注文を専用テーブルへ保存する仕組みで、WooCommerce 8.2から新規インストールで既定になりました。請求書プラグインがHPOS非対応だと機能を有効にできない場合があるため、互換性の明記を確認します。Free版はHPOSに対応しています。
日本語の請求書PDFを発行する6ステップ
1. 動作環境を確認する
WordPress管理画面の「WooCommerce → ステータス」で、PHPとWooCommerceのバージョンを確認します。mbstring・gdが分からない場合は、サーバーのPHP拡張一覧またはホスティング会社の管理画面で確認してください。
2. WordPress.orgからFree版をインストールする
「プラグイン → 新規追加」で「Neutrope Japanese Invoice PDFs for WooCommerce」を検索してインストールし、有効化します。WordPress.orgの公式配布ページからZIPを取得し、アップロードしても構いません。
3. 発行元情報とロゴを設定する
「WooCommerce → Japanese Invoice PDFs」を開き、会社名、住所、ロゴを入力します。屋号、法人名、住所表記が普段の取引書類と一致しているか、テストPDFで確認します。
4. テスト注文から管理者用PDFを出力する
テスト注文を開き、「Japanese Invoice PDFs」のメタボックスから請求書を発行します。宛名、商品名、数量、小計、税、送料、合計、発行元、ロゴを順に確認します。
5. My Accountからのダウンロードを確認する
購入者としてログインし、My Accountの注文詳細から請求書を開きます。Free版はログイン、注文所有者の確認、nonce検証を行い、他の購入者の注文をダウンロードできないようにしています。
6. 送料・返金・完了日の運用をテストする
送料あり注文と返金注文でもPDF合計がWooCommerceと一致するか確認します。売上サマリーは注文日・支払日・完了日を集計基準に選べるため、出荷時に注文を完了へ変更する店舗では、完了日を出荷日ベースの確認に使えます。
導入後につまずきやすい点
注文メールへの自動添付はFree版の対象外
現在のFree版は、管理者が注文編集画面から発行するか、購入者がMy Accountからダウンロードする方式です。注文メールへPDFを自動添付する運用が必須なら、導入前に別の送付方法を含めて要件を確認してください。
日本円に小数が表示される
「¥2,400.00」のように表示される場合は、WooCommerceの通貨設定に従っています。「WooCommerce → 設定 → 一般」で小数点以下の桁数を0に設定します。
PDFはサーバーへ保存されない
Free版はアクセス時にPDFを生成してブラウザーへ送るため、生成した請求書ファイルをサーバーに残しません。バックアップや長期保管が必要な場合は、ダウンロード後の保存先と保管期間を社内で決めてください。
Free版とPro版の選び方
Free版が向いているケース
- まず請求書PDFだけを無料で試したい
- 管理画面とMy Accountから発行できればよい
- 発行元情報・ロゴ、送料・返金、売上サマリーが必要
- HPOS対応を重視する
Pro版を検討するケース
- 請求書に加えて領収書・納品書も発行したい
- 登録番号・税区分、銀行振込先、支払期限を表示したい
- 月次締めCSVや売上サマリーPDFを残したい
- 複数サイトで利用したい
Pro版の機能・料金・導入手順では、Free版との差、Personal・Business・Agencyの3プラン、現在の機能を確認できます。適格請求書の要件や税務上の扱いは事業者ごとに異なるため、最終的な書類要件は税理士などの専門家にも確認してください。
よくある質問
WooCommerceは必須ですか?
はい。WooCommerceが有効でない場合、Free版は管理画面へ通知を表示し、請求書PDF機能を停止します。
購入者以外が請求書を取得することはありますか?
My Accountからの取得では、ログイン、注文所有者、nonceを検証します。ただし、WordPressやWooCommerceを含むサイト全体の更新、権限管理、HTTPSは別途適切に運用してください。
テンプレートを変更できますか?
はい。プラグイン内のtemplates/invoice.phpを、テーマ側の指定ディレクトリへコピーして上書きできます。更新で消えないよう、プラグイン本体のファイルは直接編集しないでください。
適格請求書としてそのまま使えますか?
Free版には登録番号と税率別表示が含まれません。Pro版には登録番号・税区分の設定がありますが、プラグインの導入だけで法令適合を保証するものではありません。自社に必要な記載事項と運用を確認してください。
公式情報と更新日
- WordPress.org:Neutrope Japanese Invoice PDFs for WooCommerce
- WooCommerce:Print Invoice & Delivery Notes documentation
- WooCommerce Developer:High-Performance Order Storage
この記事は2026年8月29日時点のWordPress.org公開版v1.1.1と公式情報に基づいています。導入前に各配布ページの最新版と動作要件を確認してください。