ボロブドゥールの仏教寺院群

鐘形の石の覆いが円形に並び、奥に山が見える
budi / Adobe Stock(通常ライセンス) / 出典 / 加工: 長辺1800pxへ縮小し WebP へ変換(切り取りなし)
登録年
1991年
所在国
インドネシア
登録区分
文化遺産
地域
アジア
登録基準
(i) (ii) (vi)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 三つの記念物

インドネシア、ジャワ島中部南部のケドゥ盆地。

本体 25.51 ha
緩衝地帯 64.31 ha(本体の約2.52倍)
登録 1991年、基準 (i)(ii)(vi)
dossier 592
連続性資産 はい(Serial: yes)

三つの記念物からなる

記念物 中身
ボロブドゥール寺院 主たる寺院
ムンドゥッ寺院 ブッダが二体の菩薩を伴う堂々たる一本石で表されている
パオン寺院 より小さい寺院。内部の空間は、どの神格が礼拝の対象だったのかを明かしていない

ムンドゥッとパオンはボロブドゥールの東、一直線の軸の上にあります。この三つの記念物は、ニルヴァーナの達成の諸段階を表しているとされます。

構造

主たる寺院は自然の中心であった丘を囲んで三層に建てられたストゥーパです。

層
基部 五つの同心の方形の壇を持つ角錐の基礎
胴 三つの円形の壇を持つ円錐の幹
頂 記念碑的なストゥーパ

壁と欄干は精緻な低浮彫で装飾されています。その総表面積は顕著な普遍的価値が2,520 m²、説明文が2,500 m²。概数と実数の違いとみて、どちらも残します。

円形の壇の周りには72の透かし彫りのストゥーパがあり、それぞれに仏像が納められています。

三界と、祖先崇拝との混ざり合い

ボロブドゥール寺院の基部・胴・上部構造への垂直の分割は、仏教の宇宙論における宇宙の構想と完全に合致している。

界 意味 ボロブドゥールでの対応
カーマダートゥ 欲望の界。私たちが欲望に縛られている 基部
ルーパダートゥ 形の界。欲望を捨てるが、なお名と形に縛られている 五つの方形の壇
アルーパダートゥ 無形の界。もはや名も形もない 三つの円形の壇と大ストゥーパ

構造の全体が、段々の山の観念に関わる祖先崇拝というきわめて中心的な観念と、ニルヴァーナに至るという仏教の概念との、唯一無二の混ざり合いを示している。

「祖先崇拝」と「仏教」の混ざり合いが、基準(vi)の中身です。

基準(vi): ブッダの聖なる花である蓮の形に配置されたボロブドゥール寺院群は、在来の祖先崇拝というきわめて中心的な観念と、ニルヴァーナに至るという仏教の概念との混ざり合いの、例外的な反映である。構造全体の十の上る壇は、菩薩が仏となるに至る前に達成しなければならない継起する段階に対応している。

基準(i)はストゥーパと寺院と山の調和した結婚、基準(ii)は8世紀初頭から9世紀末までのインドネシアの美術と建築の顕著な例で、13世紀半ばから16世紀初頭の建築の復興にかなりの影響を及ぼしたとしています。

寺院は、ジャワを10世紀まで約5世紀にわたって治めたシャイレーンドラ朝の顕著な王朝の記念物としても見られるべきだとされます。

寺院は建造から10世紀と15世紀のあいだのいつか放棄されるまで仏教寺院として使われた。19世紀の再発見と20世紀の修復以来、仏教の考古遺跡として引き戻されている。

完全性と真正性 — 「使われうる」と書かれている

完全性

境界は三つの寺院を含み、それらのあいだの想像上の軸を含んでいる。視覚的なつながりはもはや開かれていないが、三つの記念物のあいだの動的な機能は保たれている。

「視覚的なつながりは開かれていないが、機能は保たれている」という書き方です。

脅威 中身
開発 主たる記念物とそのより広い環境との並外れた関係を損ないうる。「資産への接近は、弱い開発規制によってすでにある程度損なわれている。」
観光 資産とその後背地にかなりの圧力
建築石材の劣化 進行の率が高まっており、その原因にはさらなる研究が必要
統制されない来訪者 わずかな程度の損傷
ムラピ山の噴火 2010年に起きたような酸性の灰の堆積のため、潜在的な脅威の一つ

真正性

元の材料が、20世紀の二つの段階で寺院を再建するのに使われた——世紀の変わり目のあとと、より最近(1973〜1983年)。 ほとんど元の材料が使われ、記念物を固め適切な排水を確かにするための追加がいくつかあったが、それが資産の価値に著しい悪影響を与えたことはない。 現在のボロブドゥール寺院の状態は修復の結果だが、再発見されたときに再建を可能にするだけの元の材料を十分以上に保っていた。

「十分以上に保っていた」という言い方で、再建の正当性を書いています。

今日では、この資産は仏教の巡礼地として使われうる(could be used)。しかしその全体の雰囲気は、商業活動の統制の欠如と、適切な観光管理戦略の欠如から生じる圧力によって、ある程度損なわれている。

「使われうる」で止まっています。3章のラリベラ18 は巡礼地としての機能はいまも持続、ブッダガヤ1056 は継続する来訪を受けているでした。ボロブドゥールは「使われうる」です。

誰が守っているか — 三つの機関と、まだ策定中の規則

法

文化遺産 インドネシア法 第11号/2010年
空間管理 法 第26号/2007年、政令 第26号/2008年(国家空間計画)
枠組み 大統領令 第1号/1992年

ボロブドゥール国家戦略区域の管理に関するもう一つの大統領規則は、公共事業省によっていまも起草されている段階です。

区域ごとに管轄が違う

担い手 所管
ボロブドゥール遺産保全局 教育文化省のもと
国有企業 PT. Taman Wisata Candi Borobudur 企業省のもと
地方政府 マゲラン県と中部ジャワ州

統合管理の研究が行われ(生態系・社会文化の側面・エコツーリズム・官民連携・組織の実行可能性)、これが、これから作られる来訪者管理の取り組みの土台とされます。

まだできていないもの

1992年の大統領令と、世界遺産推薦書に示された1972年のJICAマスタープランの区域体系との整合を確かにし、開発に関する規則を強めるため、新しい大統領規則が、調整委員会(14の省庁と地方当局、および地域共同体の代表)によっていまも策定されている。

ムラピ山の噴火の酸性の灰の堆積の長期の影響を定めるための研究が行われている。さらに、リスク事前準備計画が2012年に策定されるだろう。

「2012年に策定されるだろう」と書かれています。この記述がいつの時点のものかを確かめる必要があります。6章のカスビの王墓1022 は節の見出しに年(2010)が入っていました。ボロブドゥールは見出しに年が無いまま、本文に将来形で年が書かれています。

地域の共同体

ボロブドゥール遺産保全局は、とくに若者を対象に意識を高める共同体開発の事業を行ってきたとされ、在地の共同体をボロブドゥールの専門ガイドとして育て力づけるための研修も挙げられています。伝統工芸や食の小企業に関わる共同体開発はマゲラン県と中部ジャワ州の自治体が行ってきました。

資産の保護は国家予算による定期的な財政の寄与によって確かにされているとされます。

2級で押さえること

基準(i)(ii)(vi)。本体25.51 ha・緩衝64.31 ha、連続性資産(Serial: yes)で三つの記念物——ボロブドゥール寺院・ムンドゥッ寺院・パオン寺院が一直線の軸の上に並び、ニルヴァーナの達成の諸段階を表す。基部・五つの方形の壇・三つの円形の壇と大ストゥーパがカーマダートゥ(欲望の界)・ルーパダートゥ(形の界)・アルーパダートゥ(無形の界)に対応する。72の透かし彫りのストゥーパに各々仏像。基準(vi)の中身は在来の祖先崇拝と、ニルヴァーナに至る仏教の概念との混ざり合い。完全性は「視覚的なつながりはもはや開かれていないが、三つの記念物のあいだの動的な機能は保たれている」。真正性は20世紀の二度の再建(世紀の変わり目と1973〜1983年)で、再発見されたときに再建を可能にするだけの元の材料を十分以上に保っていたとされる。ただし「この資産は仏教の巡礼地として使われうる」で止まり、全体の雰囲気は商業活動の統制の欠如と適切な観光管理戦略の欠如によってある程度損なわれている。新しい大統領規則はいまも策定中で、リスク事前準備計画は「2012年に策定されるだろう」と将来形のまま。低浮彫の総表面積は顕著な普遍的価値2,520 m²/説明文2,500 m²。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産が出てくるキーワード

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
宗教・信仰いまも営まれていることを、どの語で書いているか「仏教の巡礼地として使われうる(could be used)」

いまのところ、この遺産が出てくるキーワードは1つです。ゼミの試作46本で数えた話で、公式テキストの分類ではありません。

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。このキーワードの練習では、ほかの参加記事と並べて読みます——同じ論点が、別の資産でどう書かれているかを見るためです。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ボロブドゥールの三つの円形の壇と大ストゥーパが対応する界は?

  1. カーマダートゥ(欲望の界)
  2. ルーパダートゥ(形の界)
  3. アルーパダートゥ(無形の界)で、その下の五つの方形の壇がカーマダートゥ(欲望の界)に対応する
  4. アルーパダートゥ(無形の界。もはや名も形もない)
正解と解説を開く

正解:4.アルーパダートゥ(無形の界。もはや名も形もない)

カーマダートゥ(欲望の界)=基部、ルーパダートゥ(形の界。欲望を捨てるが、なお名と形に縛られている)=五つの方形の壇、アルーパダートゥ(無形の界。もはや名も形もない)=三つの円形の壇と大ストゥーパです。五つの方形の壇はルーパダートゥで、カーマダートゥではありません。

確認2:ボロブドゥールの完全性の節が、三つの記念物の関係について書いていることは?

  1. 視覚的なつながりも機能も保たれている
  2. 視覚的なつながりはもはや開かれていないが、三つの記念物のあいだの動的な機能は保たれている
  3. 三つの記念物の関係については書かれていない
  4. 視覚的なつながりはもはや開かれておらず、三つの記念物のあいだの動的な機能も失われつつある
正解と解説を開く

正解:2.視覚的なつながりはもはや開かれていないが、三つの記念物のあいだの動的な機能は保たれている

> 境界は三つの寺院を含み、それらのあいだの想像上の軸を含んでいる。視覚的なつながりはもはや開かれていないが、三つの記念物のあいだの動的な機能は保たれている。機能は「保たれている」で、「失われつつある」ではありません。失われたのは視覚的なつながりのほうです。

確認3:ボロブドゥールの真正性の節が、巡礼地としての現在について書いていることは?

  1. 巡礼地としての機能はいまも完全に持続している
  2. 巡礼地としては使われていない
  3. 巡礼地として使われうるが、全体の雰囲気は商業活動の統制と観光管理戦略の欠如によってある程度損なわれている
  4. 巡礼地として使われうるが、全体の雰囲気は商業活動の統制の欠如と適切な観光管理戦略の欠如によって完全に失われている
正解と解説を開く

正解:3.巡礼地として使われうるが、全体の雰囲気は商業活動の統制と観光管理戦略の欠如によってある程度損なわれている

> 今日では、この資産は仏教の巡礼地として使われうる(could be used)。しかしその全体の雰囲気は、商業活動の統制の欠如と、適切な観光管理戦略の欠如から生じる圧力によって、ある程度損なわれている。「ある程度」で、「完全に失われている」ではありません。3章のラリベラ18 は巡礼地としての機能はいまも持続でした。

確認4:ボロブドゥールのリスク事前準備計画について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 「2012年に策定されるだろう」と将来形のまま書かれている
  2. すでに策定され施行されている
  3. 策定しないことが決まっている
  4. 「2012年に策定されるだろう」と将来形のまま書かれているが、節の見出しにその年が記されている
正解と解説を開く

正解:1.「2012年に策定されるだろう」と将来形のまま書かれている

> ムラピ山の噴火の酸性の灰の堆積の長期の影響を定めるための研究が行われている。さらに、リスク事前準備計画が2012年に策定されるだろう。節の見出しに年は入っていません。見出しに年が入っているのは6章のカスビの王墓1022(`Integrity (2010)`)です。ボロブドゥールは、見出しに年が無いまま本文に将来形で年が書かれています。いつの時点の記述かを確かめる必要があります。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。