スリランカ中央高地

乾いた草の斜面にはさまれて、細い水の流れが谷筋を下っている。
Moonpuddles / CC BY-SA 4.0 / 出典 / 加工: 長辺1800pxに縮小
登録年
2010年
所在国
スリランカ
登録区分
自然遺産
地域
アジア
登録基準
(ix) (x)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 三つの構成要素と、本体より広い緩衝地帯

スリランカの島の南中部。一覧の所在地の行はありません。

本体 56,844 ha
緩衝地帯 72,645 ha(本体より広い。約1.28倍)
登録 2010年、基準 (ix)(x)=2つ
区分 自然遺産
dossier 1203(bis / ter / rev なし)
シリアル `Serial: yes`
保存状況報告 2年分(2011・2012年。登録の翌年から2年続き、その後は無い)
お知らせ 1件——「世界遺産委員会が二つの新しい遺跡を世界遺産リストに登録」(2010年7月30日)
リンク 1件(Protectedplanet.net)
訳のある言語 8つ(英・仏・アラビア・中・露・西・日・蘭)

緩衝地帯が本体より広い資産です。

三つの構成要素

構成要素 一次資料が書くこと
ピーク・ウィルダネス保護区 境界が「一連の保護された区域」を含み、ホートン・プレインズ国立公園と共通の境界を持つ
ホートン・プレインズ国立公園 両生類の91%、爬虫類の89%が固有種
ナックルズ保全林 両生類の64%、爬虫類の51%が固有種

「標高2,500 m まで高くなる」山地林で、「超生物多様性ホットスポット(super biodiversity hotspot)」と説明文が書きます。概要の節は「西ガーツとスリランカの生物多様性ホットスポットの内部の超ホットスポット」と、ホットスポットの中のさらに上位という書き方をします。基準は(ix)(x)の二つで、(vii)も(viii)も付いていません。

割合が並ぶのに、分母がそろわない

基準(x)は固有種の割合を並べますが、何の割合かが場所ごとに違います。

408種の脊椎動物のうち 83%of〔原文のまま〕ピーク・ウィルダネス保護区の在来の淡水魚と 81 %〔原文のまま〕の両生類が固有種であり、ホートン・プレインズの両生類の91%と爬虫類の89%が固有種であり、ナックルズ保全林の両生類の64%と爬虫類の51%が固有種である。

構成要素 分類群 割合
ピーク・ウィルダネス保護区 在来の淡水魚 83%
ピーク・ウィルダネス保護区 両生類 81%
ホートン・プレインズ 両生類 91%
ホートン・プレインズ 爬虫類 89%
ナックルズ保全林 両生類 64%
ナックルズ保全林 爬虫類 51%

「408種の脊椎動物のうち」が文の頭に置かれていますが、続く割合は淡水魚・両生類・爬虫類という分類群ごとの割合です。408 が六つの割合すべての分母だとは書かれていません。概要の節にはもう一組の割合があります——「スリランカの固有の脊椎動物の半分以上、国の固有の顕花植物の半分、固有の樹木・低木・草本の34%以上」が「これらの多様な山地雨林と隣接する草地の区域に限られている」。こちらの分母は国の固有種の総数で、基準(x)の分母とは別です。

原文のまま

箇所 原文のまま
基準(x) `83%of`(% と of のあいだに空白が無い)
基準(x) `81 %`(数と % のあいだに空白がある)

同じ一文のなかで % の前後の空け方が違います。直さずそのまま引いて「原文のまま」と添えます。

一次資料が、構成要素の小ささを自分で弁護する

推薦された資産の構成要素の小さな大きさは、スリランカに残るもっとも意義深い雨林の区域の限られた広がりの結果である。しかしながら、資産が実効的に保護され管理されるならば、これらの区域は十分であり、とくに多くの植物と動物の種がきわめて局在した分布を持つのでそうである。

完全性の節が「小さい」ことを先に認め、その理由(残っている雨林がそれだけしかない)と条件つきの結論(実効的に守られるならば十分)を続けます。「十分である」は無条件ではありません。「資産が実効的に保護され管理されるならば」という条件が先に置かれています。31章と32章で読んだシリアル資産の小ささの扱いと並べます。

遺産 小ささの扱い
スリランカ中央高地1203 理由を書いて「条件つきで十分」と結論する
ゴンドワナ雨林368(同じ章) 「疑問が提起された」と書き、集中的な管理で補われていると答える
三江併流1083(32章) 境界/面積の比の高さと連結性の課題を書く

一覧に緩衝地帯があるのに、「機能する緩衝地帯」が求められる

周囲の土地利用の影響から資産を保護するための、ならびに一連の脅威に取り組むための実効的な取り決めが、機能する緩衝地帯を通じてを含めて、求められる。

一覧には緩衝地帯が 72,645 ha と載っています。それでも本文は「機能する緩衝地帯を通じて」実効的な取り決めが求められると書きます。「指定されている」ことと「機能している」ことを一次資料が分けて書く形です。ゼミは一覧の数値を正とし、本文が何を求めているかを別に記録します。

脅威が、構成要素ごとに違う

三つの推薦された資産への現存のおよび潜在的な脅威の性質と大きさは、構成要素のあいだで異なり、いくつもの問題を含む。

一次資料が、脅威が構成要素ごとに違うことを先に宣言します。

構成要素 書かれている脅威
ピーク・ウィルダネス保護区 年に約200万人の巡礼者——「主要な人の利用は、アダムズ・ピークを毎年訪れる約200万人の巡礼者からのもので、彼らは頂上へ至る巡礼の道沿いの森林と環境の劣化の両方に寄与している」。さらに違法な宝石の採掘
三つすべて(と読める書き方) 侵入種の広がり/森林の枯死(forest die-back)/ときおりの火災/破壊行為(vandalism)/カルダモンの栽培への圧力

200万人は「訪問者」ではなく巡礼者として数えられます。数が多いことと、劣化に寄与していることが同じ文に書かれます。「侵入種」以降の脅威がどの構成要素のものかは書かれていません。ピーク・ウィルダネス保護区だけは「〜の場合には」と名指しされるので、残りを三つすべてのものと決めつけず、「どの構成要素のものか書かれていない」と記録します。「これらの脅威のすべてが資産の顕著な普遍的価値に影響しないことを確かにするための実効的な行動が求められる」と続きます。求められている行動であって、行われた行動ではありません。

法の名前が一つも書かれない保護と、もう一つの世界遺産

「強く実効的な法的保護」と書くのに、法令名が一つも無い

資産は、国有と一連の異なる保護の法令の組み合わせを通じて、強く実効的な法的保護を持つ。

この一文が、保護管理の節で法について書かれるすべてです。法令の名前も、年も、番号も一つも書かれていません。32章の資産と並べると違いがはっきりします。

遺産 法の書かれ方
スリランカ中央高地1203 「一連の異なる保護の法令」だけ。名前も年も番号も無い
ラポニア774(32章) 歴史環境法(1988:950)=年と番号をコロンでつなぐ
イルリサット1149(32章) 第29号(2003年12月18日)=番号と日付
ヨセミテ308(32章) 1916年8月25日の組織法=日付

「強く実効的」という評語の強さと、書かれている細かさは別です。

計画は構成要素ごとにあり、全体の体系がまだ無い

いまあるもの 「いくつもの異なる遺跡ごとの管理計画」。それらは「継続的に見直され更新され、互いに整合させられる必要がある」
求められているもの 「資産の全体のための全体の管理体系が、個別の管理計画が与えるものに加えて求められる」
予算 「資産の全体の管理のために、および各構成要素の内部で、十分で持続的な予算が求められる」
共同体 「資産を取り囲む区域に住む共同体との関わりの強い事業が、その管理への取り組みの不可欠の要件である」

「計画がある」と「全体の体系がある」は別です。

シンハラージャ森林保護区との結びつき

その異なる構成要素のあいだの補完性に加えて、資産はスリランカの南部にある世界遺産遺跡、シンハラージャ森林保護区と強い結びつきを持つ。これら二つの世界遺産の資産のあいだの結びつきは、両方の資産の管理の体系の一部として奨励されるべきである。

これまで読んだほかの世界遺産への言及と比べると、形が違います。

遺産 相手への言及の形
スリランカ中央高地1203 相手を「世界遺産遺跡」と明記し、両方の管理の体系の一部として結びつきを奨励すべきと書く
ウランゲリ島1023(38章) 生き物の往来(相手の資産名を挙げる)
ココス島820(39章) 保全の網への所属(国名だけで資産名を挙げない)
ポツダムとベルリン532(26章) 比較(登録の年つきで名指す)

「比較」「編入」「生き物の往来」「保全の網」とは別の、管理のうえで結びつけることを求める形です。ただし一次資料は「奨励されるべきである」と書くだけで、実際に結びつけられたとは書いていません。

2級で押さえること

本体56,844 ha/緩衝地帯72,645 ha=本体より広い(約1.28倍)、2010年登録、基準(ix)(x)=2つで(vii)も(viii)も無い、区分は自然遺産、dossier 1203、`Serial: yes`、三つの構成要素(ピーク・ウィルダネス保護区/ホートン・プレインズ国立公園/ナックルズ保全林)、保存状況報告2年分(2011・2012年。登録の翌年から2年続いてその後は無い)、お知らせ1件、リンク1件、訳のある言語は8つ。割合の分母がそろわない——基準(x)は「408種の脊椎動物のうち」で始まるのに、続く六つの割合は淡水魚・両生類・爬虫類という分類群ごとの割合で、408 が分母だとは書かれていない。概要の節にはもう一組、国の固有種の総数を分母にする割合(固有の脊椎動物の半分以上/固有の顕花植物の半分/固有の樹木・低木・草本の34%以上)がある。原文のままは基準(x)の `83%of`(% と of のあいだに空白が無い)と `81 %`(数と % のあいだに空白がある)で、同じ一文のなかで空け方が違う。完全性が構成要素の小ささを自分で弁護する——「構成要素の小さな大きさは、スリランカに残るもっとも意義深い雨林の区域の限られた広がりの結果である」と理由を書き、「資産が実効的に保護され管理されるならば、これらの区域は十分であり」と条件つきで結論する。一覧に緩衝地帯が72,645 ha あるのに、本文は「機能する緩衝地帯を通じてを含めて」実効的な取り決めが求められると書く——指定されていることと機能していることを分けて書く形。脅威が構成要素ごとに違うと一次資料が先に宣言する——ピーク・ウィルダネス保護区は年に約200万人の巡礼者(アダムズ・ピーク。巡礼の道沿いの森林と環境の劣化に寄与)と違法な宝石の採掘、ほかに侵入種・森林の枯死・ときおりの火災・破壊行為・カルダモンの栽培への圧力。法令名が一つも書かれない——「国有と一連の異なる保護の法令の組み合わせを通じて、強く実効的な法的保護を持つ」がすべてで、名前も年も番号も無い。32章のラポニア774(1988:950)・イルリサット1149(第29号+日付)・ヨセミテ308(日付)と細かさがまったく違う。計画は遺跡ごとにあるが全体の体系がまだ無い(「互いに整合させられる必要がある」「全体の管理体系が求められる」)、予算も「求められる」。シンハラージャ森林保護区との結びつきを「両方の資産の管理の体系の一部として奨励されるべき」と書く——相手を「世界遺産遺跡」と明記したうえで、管理のうえで結びつけることを求める形で、比較・編入・生き物の往来・保全の網とは別。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
森林森が、その資産でどの役を与えられているか「アダムズ・ピークを毎年訪れる約200万人の巡礼者」
固有の生態系と絶滅危惧種固有と絶滅のおそれは別。数え方の粒度が違う「ホートン・プレインズの両生類の91%と爬虫類の89%が固有種」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:スリランカ中央高地の基準(x)に並ぶ固有種の割合について、一次資料の書き方から読めるのは?

  1. 六つの割合はすべて408種の脊椎動物を分母にして計算されたものだと、基準の文のなかに明記されている
  2. 文は「408種の脊椎動物のうち」で始まるが、続く割合の分母は分類群ごとに別である
  3. 三つの構成要素のどれでも両生類と爬虫類の固有種の割合が同じ数値になり、島の全体の平均と一致すると書かれている
  4. 固有種の割合はいっさい書かれておらず、固有種の数が絶対数だけで挙げられていて、分母にあたる種の総数は示されていない
正解と解説を開く

正解:2.文は「408種の脊椎動物のうち」で始まるが、続く割合の分母は分類群ごとに別である

続く六つの割合は、ピーク・ウィルダネス保護区の在来の淡水魚(83%)と両生類(81%)、ホートン・プレインズの両生類(91%)と爬虫類(89%)、ナックルズ保全林の両生類(64%)と爬虫類(51%)です。分類群も構成要素も別なので、一つの数を分母にはできません。概要の節にはもう一組、国の固有種の総数を分母にする割合があります。

確認2:スリランカ中央高地の完全性の節が、構成要素の小ささについて書いているのは?

  1. 残る雨林の広がりが限られた結果であり、実効的に守られるならば十分だという条件つきの結論
  2. 小ささそのものが価値の根拠であり、広げると価値が失われるので拡張は検討されないと書かれている
  3. 小ささは登録の時点では問題にされたが、その後の拡張によってすでに解消されたと完全性の節が書いている
  4. 構成要素の大きさについては何も書かれておらず、完全性の節は緩衝地帯の広さだけを扱っている
正解と解説を開く

正解:1.残る雨林の広がりが限られた結果であり、実効的に守られるならば十分だという条件つきの結論

理由(残っている雨林がそれだけしかない)を先に書き、「資産が実効的に保護され管理されるならば」という条件を置いてから結論します。「とくに多くの植物と動物の種がきわめて局在した分布を持つので」と根拠も続きます。無条件の「十分である」ではないので、条件ごと記録します。

確認3:スリランカ中央高地の保護管理の節における法の書かれ方は?

  1. 法令の名前と制定の年と番号がすべて並び、32章のラポニアと同じ細かさで書かれていて、条文の番号まで添えられている
  2. 保護管理の節そのものが無いので、法について書かれた記述は一次資料のどこにも見あたらない
  3. 国有ではなく私有だと書かれ、所有者との契約が法令に代わる保護の手段になっていると説明されている
  4. 「強く実効的」と評しながら、法令の名前も年も番号も書かれていない
正解と解説を開く

正解:4.「強く実効的」と評しながら、法令の名前も年も番号も書かれていない

「国有と一連の異なる保護の法令の組み合わせを通じて」とあるだけです。評語の強さと、書かれている細かさは別のことです。32章では年と番号をコロンでつなぐ形、番号と日付の形、日付だけの形が出ました。この資産はそのどれでもありません。

確認4:スリランカ中央高地の一次資料が、シンハラージャ森林保護区について書いているのは?

  1. 構成資産の一つとしてすでに資産に含められており、三つではなく四つの構成要素があると一覧にも書かれている
  2. 同じ種の個体が二つの資産のあいだを往来していることが、それぞれの価値の根拠として双方のページに書かれている
  3. 両方の資産の管理の体系の一部として、結びつきが奨励されるべきだということ
  4. スリランカの南部にある森林保護区だと位置だけが書かれ、世界遺産であるかどうかには触れられていない
正解と解説を開く

正解:3.両方の資産の管理の体系の一部として、結びつきが奨励されるべきだということ

「資産はスリランカの南部にある世界遺産遺跡、シンハラージャ森林保護区と強い結びつきを持つ」と相手を世界遺産として明記したうえで、管理のうえで結びつけることを求めます。ただし「奨励されるべきである」と書くだけで、実際に結びつけられたとは書かれていません。比較・編入・保全の網への所属とは別の形として記録します。

参考資料

確認日:2026年10月28日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。