基本を学ぶ
どこにあり、何が登録されたのか — 境界がまだ画定されていない
エチオピア連邦民主共和国、アムハラ州、北ゴンダール行政区。
| 本体 | 一覧に行が無い |
|---|---|
| 緩衝地帯 | 一覧に行が無い |
| 登録 | 1979年、基準 (ii)(iii) |
| dossier | 19 |
| 連続性資産 | 一覧に `Serial` の行が無い(本文は「八つの構成要素」と書く) |
境界そのものが、まだ画定されていない
連続性資産のすべての構成要素のための地図はまだ作られておらず、資産と緩衝地帯のための境界はまだ画定されていない。
一覧に面積の行が無い理由が、完全性の節にはっきり書かれている資産です。これまで読んだ197件でここだけです。
サナア385 は「明確に定められた境界も必要としている」でしたが、ここは地図そのものがまだ作られていません。1979年の登録から半世紀近く経っています。
しかしながら、ファジル・ゲビを含む構成要素のいくつかは壁で囲まれており、それらが自然の境界を与えている。これらの囲われた遺跡は、資産の顕著な普遍的価値を実証するすべての重要な属性を保っている。
壁が「自然の境界(natural boundaries)」を与えると書かれます。39章のエル・ビスカイノ554 の「事実上の緩衝」と同じ型で、制度ではないものが境界の役を果たしています。
構成要素の数が、数えると合わない
連続性資産は八つの構成要素からなる。ファジル・ゲビの宮殿の囲いの内側にあるのは——皇帝ファシリダスの城、皇帝イヤスの城、ツァディチ・ヨハネスの図書館、ツァディチ・ヨハネスの書記局、皇帝ダヴィドの城、メントゥアブの宮殿、そして皇帝ベカファの宴会の広間。
残る七つの構成要素はゴンダール市とその周辺に位置する——デブレ・ベルハン・セラシエ(修道院と教会)、ファシリダスの浴場、キッドゥシュ・ヨハネス、クスクアム(修道院と教会)、温泉の区域、ソシニオス(マリアム・ゲムブとしても知られる)、ゴルゴラ(修道院と教会)、そしてグザラの宮殿。
| 数え方 | 結果 |
|---|---|
| 本文の宣言 | 八つの構成要素 |
| 「残る七つ」として並ぶ名前 | デブレ・ベルハン・セラシエ/ファシリダスの浴場/キッドゥシュ・ヨハネス/クスクアム/温泉の区域/ソシニオス/ゴルゴラ/グザラの宮殿=8つ |
| 1+7 | 8。宣言と合う |
| 1+(並ぶ名前の数) | 1+8=9。宣言と合わない |
「残る七つ」と書いたうえで、八つの名前が並びます。どちらを正とも書かれていないので、両方を記録します。「八つの構成要素」だけを覚えると、挙げられた名前と合いません。
囲いの中の建物も、数が二通り
囲いの内側として挙げられるのは7つ(ファシリダスの城/イヤスの城/図書館/書記局/ダヴィドの城/メントゥアブの宮殿/ベカファの宴会の広間)です。ところが次の段落は——
王の宮廷は、長さ900メートルの壁、十二の入口、三つの橋で囲まれたファジル・ゲビと呼ばれる要塞化された囲いへと、野営から六つの主要な建物の複合とほかの付属の建物からなるものに発展していた。
7つ挙げて「六つの主要な建物の複合」と書きます。「主要な(major)」が付くので、挙げた7つのうち6つが主要とも読めます。挙げた数と「主要な」数は別のこととして記録します。
年代が節によって違う — 16世紀か、1636年か、1864年か
四通りの年代が並ぶ
| 出どころ | 年代 |
|---|---|
| 説明文 | 「16世紀と17世紀に、要塞都市ファジル・ゲビはエチオピア皇帝ファシリダスとその後継者たちの居所だった」 |
| 概要 | 「ファシル(ファシリダス)王はゴンダールに落ち着き、1636年にそれを恒久の首都として確立した」 |
| 概要 | 「18世紀後期のその衰退の前に、王の宮廷は……発展していた」 |
| 概要 | 「要塞都市は1864年までエチオピア政府の中心として機能した」 |
| 概要 | 「19世紀におけるその衰退の後、ゴンダール市は北西エチオピアの重要な商業と輸送の拠点であり続けた」 |
| 基準(iii) | 「16世紀から18世紀までのタナ湖の北の高地におけるエチオピア文明の近代の時代」 |
衰退が「18世紀後期」と「19世紀」の二通りに書かれ、政府の中心としての機能は1864年まで続いたとされます。説明文の「16世紀と17世紀」は、1636年の首都の確立と合いません。どちらかを直さず、どこに何が書かれていたかを記録します。
グザラの宮殿が構成要素に入っているので、16世紀のものが含まれているとも読めますが、一次資料はグザラの年代を書いていません。書かれていないことを補いません。
移動する野営から、恒久の首都へ
13世紀と17世紀のあいだ、エチオピアの支配者たちはその王の野営を頻繁に移した。ファシル(ファシリダス)王はゴンダールに落ち着き、1636年にそれを恒久の首都として確立した。
「移動する首都」から「恒久の首都」への変化が、価値の説明の起点です。
900 m の壁、十二の入口、三つの橋
要塞都市は1864年までエチオピア政府の中心として機能した。それはおよそ二十の宮殿、王の建物、高度に装飾された教会、修道院、そして唯一無二の公共と私的な建物を持つ。それらはゴンダールにイエズス会の宣教師によってもたらされたバロック様式によって変容された。
正教会の首都の建物が、カトリックの修道会(イエズス会)がもたらしたバロックによって変容された、と書かれます。23章(大航海時代とキリスト教の海外布教)で読んだ布教の相手側です。
説明文にあって、概要に無いもの
説明文は「ヒンドゥーとアラブの影響によって印された唯一無二の公共と私的な建物、それが後にゴンダールにイエズス会の宣教師によってもたらされたバロック様式によって変容された」と書きます。概要はバロックとイエズス会だけを書き、ヒンドゥーとアラブの影響には触れません。
「ページに書かれている」と「顕著な普遍的価値の節に書かれている」は別です。どちらにあったかを分けて記録します。
中世ヨーロッパのような城と、はね橋のある浴場
主たる城は巨大な塔と、そびえる銃眼つきの壁を持ち、エチオピアに移された中世ヨーロッパの一片に似ている。
市の境を越えて北西、カハ川のそばに、皇帝ファシリダスに結びついた浴場の宮殿の二階の東屋がある。建物は、近くの川から運河で水を供給された矩形の水の池の内側、その一方の側に位置する二階の銃眼つきの構造である。浴場の東屋そのものは橋脚のアーチの上に立ち、石の橋でたどり着くいくつもの部屋を含む。その橋の一部は防御のために上げることができた。
宗教の建物でも宮殿でもなく、浴場に防御の仕掛けがあります。
イヤス大帝のような後の支配者たちは建設を続け、技術と建築の様式を改良し、市の中心の北西の丘、クスクアムとして知られる区域へ拡げた。
三つの信仰が並ぶ
ファジル・ゲビとゴンダール市のほかの遺構は、内と外の文化のあいだの顕著な接面を実証しており、エチオピア正教会、エチオピアのユダヤ人、ムスリムに関わる文化の要素を伴う。この関係は、遺跡の建築を通じてだけでなく、17世紀と18世紀に花開いた手工芸、絵画、文学、音楽を通じても表されている。
正教会の章の資産で、三つの信仰が並びます。9章のベツレヘムの聖誕教会1433 は基準(vi)で「キリスト教徒にとってと同じくムスリムにとっても聖なる」でしたが、ここは文化の要素として三つが並びます。
一次資料のこの文には `Church,Ethiopian` とカンマの後の空白が抜けた箇所があります。
いくつかの記念物はいまもその元の精神の機能を保っており、周囲の景観は在地の住民にとって重要な文化の意義を持つ。
完全性と真正性 — セメントを使った修復を、部分的に戻した
完全性 — 「全般の劣化の条件」
自然と文化の両方の要因に関わる全般の劣化の条件があり、維持の欠如と不適切な過去の介入を含むが、資産の構成要素はいまも完全性の必要な条件を維持している。
資産の全体における条件を改善し、資産の完全性のさらなる侵食を防ぐため、保全と維持のための持続的なプログラムがいまも必要とされている。
保全と、典礼の機能が衝突している
加えて、資産の歴史の価値の保全と、伝統的な典礼の機能を改善する必要とを釣り合わせるための既存の衝突に対処する手段は、まだ実施されていない。
「既存の衝突(the existing conflicts)」と書かれます。保全と、いま使っている人の必要がぶつかっていることが完全性の節に書かれる資産です。
資産の構成要素の環境を保存するため、緩衝地帯の管理のための規制の措置の定義と執行もまた必要とされている。
緩衝地帯の境界がまだ画定されていないのに、その管理のための規制の措置が必要とされます。
真正性 — 1930-36年のセメント
記念物の大部分はその真正性を保存し、全般に良い保存の状態にとどまっている。しかし、1930年から1936年のあいだに行われた不適切な保全の介入が、セメントと鉄筋コンクリートを用いて元の材料に損害を与え、介入された構成要素の真正性に影響した。
その状況は、1970年代に UNESCO によって行われた修復の仕事によって部分的に戻された。それはセメントとコンクリートの仕事を元の石灰モルタルの混合で置き換え、また1990年以来実施されたその後の主要な保全のプログラムによっても戻された。
不適切とされた介入が、別の時代の介入によって部分的に戻されています。しかも戻したのが UNESCO 自身だと書かれます。
| 遺産 | 過去の修復の扱い |
|---|---|
| ファジル・ゲビ19 | 1930-36年のセメントと鉄筋コンクリートは不適切とされ、1970年代の UNESCO の仕事と1990年以降のプログラムで部分的に戻された |
| トロイツェ・セルギエフ657 | 1920年代の「様式の統一」は「現代の保全の実務とは異なる方法」だが、歴史と文化の文脈のなかで見られなければならないと擁護される |
| モラヴィア教会入植地1468(9章) | 「場合によっては、改修はより真正性を尊重して実施されえた」 |
同じ「過去の修復への評価」が、断定/擁護/控えめな批判に分かれます。
現在、資産における保全の活動は、真正性を維持するよう以前の影響を戻すことを目指し、元の技法と材料の使用に焦点を置いている。
資産の構成要素の真正性への将来の影響を防ぐため、歴史の建物のための指針と介入が、持続的な保全と維持の行動計画を通じて定義され執行される必要がある。
誰が守っているか — 「遺跡固有の法的枠組みは与えられていない」
法令が二つだけ、しかも固有のものが無い
エチオピア法1958年(エチオピア暦)「古物管理」が、エチオピアの文化遺産の保護と保存のための国内の立法の背景を与えている。
年が「1958年(EC)」と、エチオピア暦で書かれます。暦が明記される資産です。
ファジル・ゲビと資産のほかの構成要素を保護するための特別の法的枠組みは与えられていない。一般法である布告第209/2000号、文化遺産の研究と保全のための改訂された布告——それがまた ARCCH を担当の機関として設ける——を除いて。
「特別の法的枠組みは与えられていない」と明記される資産です。10章のキーウ527 は逆で、閣僚会議の政令が「遺跡固有の法的枠組みを与えている」と書かれます。
三層、そして教会
ARCCH と地域および区の文化・観光・情報局が管理に責任を負う。宗教の務めに使われる記念物はエチオピア正教会の直接の責任のもとにある。したがって、資産の管理は三つの水準すべて——資産、地域、中央行政——にかかっているが、日々の管理は在地の水準における資産の責任である。
予算が誰の負担かまで書かれる
| 費目 | 誰が負担するか |
|---|---|
| 経常予算(給与と通常の支出) | アムハラ州 |
| 資本予算(修復と保存のような開発の仕事) | ARCCH |
| 追加の収入 | 観光の料金。それは政府の国庫とエチオピア正教会へ行く |
給与を誰が払い、工事を誰が払い、入場料がどこへ行くかまで書かれる資産です。これまで読んだ197件でここだけです。観光の料金が教会にも行くことが明記されます。
仕組みの見直しが必要とされる
これらの取り決めが存在するにもかかわらず、国、地域、在地の水準における明確に定められた役割と責任を伴うより効率的な意思決定の構造が必要とされる。ならびに、資産の構成要素の管理、保全、保護、利用に向けられた行為の定義と実施における関係者の関与を促す確立された仕組みも。
改訂された構造は、その効率的で持続的な運用のための十分な財政と人の資源を確保するよう、多国間と二国間の協力の事業への考慮を含めて、法の規定によって完全に支えられる必要がある。
「多国間と二国間の協力の事業」が、資源の確保の手段として書かれます。
管理計画はまだ無い
管理の体系は、資産の統合された持続可能な発展と適切な利用をもたらす政策の定義を含めて、連続性資産のための適切な管理計画のうちにはっきり定められる必要がある。
管理計画は、資産の顕著な普遍的価値を支える属性の保全を確保するよう、ゴンダールのマスタープランのようなほかの計画の道具と関連づけられる必要がある。統合された年次の計画もまた、目録、考古の研究、保全、修復、解釈のための未処理の必要に対処するよう持続的に実施される必要がある。
「目録(inventory)」が未処理の必要に入ります。何があるかの目録そのものがまだ、ということです。境界の地図も目録も管理計画も無い状態で登録が続いています。
一覧の下部
| 記載 | 中身 |
|---|---|
| 本体/緩衝地帯 | どちらも行が無い |
| `Serial` | 行が無い(本文は「八つの構成要素」) |
| 保存状況報告 | 1年分(1996年) |
| GIS のデータ | 未受領 |
| ほかの保全の仕組み | 2003年無形文化遺産保護条約 2要素——「キリストの真の聖なる十字架の発見の記念の祝い」/「エチオピアの主顕節」 |
| タブ | `Assistance` |
無形文化遺産条約で2要素が挙がるのは、ケルン大聖堂292(20章)・ベツレヘムの聖誕教会1433(9章)・ゲラティ710 に続いて四つ目です。要素は二つとも祝祭で、同じ章のゲラティ710(ワイン作りと文字)とは中身が違います。
2級で押さえること
基準(ii)(iii)、エチオピア・アムハラ州北ゴンダール行政区、一覧に本体も緩衝地帯も `Serial` の行も無い、1979年登録。完全性の節が「連続性資産のすべての構成要素のための地図はまだ作られておらず、資産と緩衝地帯のための境界はまだ画定されていない」と書く——一覧に面積の行が無い理由が本文に書かれる唯一の資産(197件)。「ファジル・ゲビを含む構成要素のいくつかは壁で囲まれており、それらが自然の境界を与えている。」構成要素の数が数えると合わない——本文は「八つの構成要素」と宣言し、ファジル・ゲビの囲いの内側に7つの建物を挙げ、「残る七つの構成要素」としてゴンダール市内と周辺の8つの名前を並べる。1+7=8 なら宣言と合うが、並ぶ名前を数えると1+8=9になる。囲いの内側も、挙げられるのは7つなのに次の段落は「六つの主要な建物の複合」と書く。年代も節によって違う——説明文「16世紀と17世紀」/概要「1636年に恒久の首都」「18世紀後期の衰退の前」「1864年までエチオピア政府の中心」「19世紀における衰退の後」/基準(iii)「16世紀から18世紀まで」。「13世紀と17世紀のあいだ、エチオピアの支配者たちはその王の野営を頻繁に移した」ところから、恒久の首都への変化が価値の起点。長さ900メートルの壁、十二の入口、三つの橋。およそ二十の宮殿・王の建物・高度に装飾された教会・修道院・唯一無二の公共と私的な建物。それらは「ゴンダールにイエズス会の宣教師によってもたらされたバロック様式によって変容された」(正教会の首都がカトリックの修道会の様式で変容)。説明文は「ヒンドゥーとアラブの影響」を書くが、概要は書かない。主たる城は「エチオピアに移された中世ヨーロッパの一片に似ている」。カハ川のそばの浴場の東屋は矩形の水の池の内側に立ち、橋脚のアーチの上に載り、石の橋の一部は防御のために上げることができた。「エチオピア正教会、エチオピアのユダヤ人、ムスリムに関わる文化の要素」が並び、関係は建築だけでなく手工芸・絵画・文学・音楽を通じても表される。完全性は「維持の欠如と不適切な過去の介入」を含む全般の劣化の条件を認めつつ、完全性の必要な条件は維持されているとする。「資産の歴史の価値の保全と、伝統的な典礼の機能を改善する必要とを釣り合わせるための既存の衝突に対処する手段は、まだ実施されていない。」真正性では、1930-36年の不適切な介入がセメントと鉄筋コンクリートで元の材料に損害を与え、1970年代に UNESCO が行った修復の仕事がそれを元の石灰モルタルの混合で置き換えて部分的に戻した(1990年以降のプログラムも)。保護は「エチオピア法1958年(エチオピア暦)『古物管理』」と、一般法の布告第209/2000号(ARCCH を設ける)だけで、「特別の法的枠組みは与えられていない」と明記される。管理は資産・地域・中央行政の三層で、日々の管理は在地の水準の資産。宗教の務めに使われる記念物はエチオピア正教会の直接の責任。予算の負担が費目ごとに書かれる——経常予算(給与と通常の支出)はアムハラ州/資本予算(修復と保存のような開発の仕事)は ARCCH/追加の収入は観光の料金で、政府の国庫とエチオピア正教会へ行く(197件でここだけ)。より効率的な意思決定の構造が必要とされ、改訂された構造は「多国間と二国間の協力の事業への考慮を含めて」法の規定に支えられる必要がある。管理計画はまだ無く、年次の計画は「目録、考古の研究、保全、修復、解釈」の未処理の必要に対処する必要がある。ゴンダールのマスタープランと関連づける必要も。一覧下部は保存状況報告1年分(1996年)/GIS 未受領/無形文化遺産条約2要素(キリストの真の聖なる十字架の発見の記念の祝い/エチオピアの主顕節)/タブに `Assistance`。
準1級
準1級向けに理解を深める
準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。
この遺産は、準1級のキーワードで3通りに出てきます
| キーワード | このキーワードで見るもの | 本文の手がかり |
|---|---|---|
| 文学 | 文学が、価値のどこに入るか | 「手工芸、絵画、文学、音楽を通じても表されている」 |
| ヨーロッパの建築 | 様式の名が、移った先でどう変わるか | 「ゴンダールにイエズス会の宣教師によってもたらされたバロック様式によって変容された」 |
| 近現代建築 | 新しい様式と材料が、どんな扱いを受けているか | 「セメントと鉄筋コンクリートを用いて元の材料に損害を与え」 |
準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。
キーワードで練習する
級別の確認問題
2級 確認問題
答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。
確認1:ファジル・ゲビ19 の一覧に本体も緩衝地帯も面積の行が無い理由は、一次資料にどう書かれているか?
- 理由は書かれていない
- 完全性の節が「すべての構成要素のための地図はまだ作られておらず、資産と緩衝地帯のための境界はまだ画定されていない」と書いている
- 資産が国家の全領域と一致するため、緩衝地帯が必要ないと書かれている
- 完全性の節が、構成要素がすべて壁で囲まれていてそれが自然の境界を与えているため、地図も面積も示す必要がなく、緩衝地帯も要らないと書いている
正解と解説を開く
正解:2.完全性の節が「すべての構成要素のための地図はまだ作られておらず、資産と緩衝地帯のための境界はまだ画定されていない」と書いている
> 連続性資産のすべての構成要素のための地図はまだ作られておらず、資産と緩衝地帯のための境界はまだ画定されていない。一覧に面積の行が無い理由が本文にはっきり書かれる資産は、これまで読んだ197件でここだけです。1979年の登録から半世紀近く経っています。なお壁については「構成要素のいくつかは壁で囲まれており、それらが自然の境界を与えている」と、一部についてだけ書かれます。
確認2:ファジル・ゲビ19 の構成要素の数は、一次資料のなかでどうなっているか?
- 「八つの構成要素」と宣言し、並ぶ名前も八つで合っている
- 構成要素の数は書かれていない
- 「九つの構成要素」と宣言し、ファジル・ゲビの囲いの内側の七つを別に数えるので合計十六になり、そのことが完全性の節で食い違いとして明記されている
- 「八つの構成要素」と宣言しているが、「残る七つの構成要素」として八つの名前が並ぶので、数えると合わない
正解と解説を開く
正解:4.「八つの構成要素」と宣言しているが、「残る七つの構成要素」として八つの名前が並ぶので、数えると合わない
本文は「連続性資産は八つの構成要素からなる」と宣言します。ファジル・ゲビの囲いの内側に7つの建物を挙げ、「残る七つの構成要素」としてゴンダール市内と周辺の八つの名前(デブレ・ベルハン・セラシエ/ファシリダスの浴場/キッドゥシュ・ヨハネス/クスクアム/温泉の区域/ソシニオス/ゴルゴラ/グザラの宮殿)を並べます。1+7=8 なら宣言と合いますが、並ぶ名前を数えると1+8=9です。どちらを正とも書かれていないので、両方を記録します。
確認3:ファジル・ゲビ19 の1930年から1936年のあいだに行われた介入について、一次資料が書いていることは?
- セメントと鉄筋コンクリートを用いて元の材料に損害を与えた不適切な介入で、1970年代に UNESCO が行った修復の仕事が元の石灰モルタルの混合で置き換えて部分的に戻した
- 元の技法と材料を用いた適切な介入だったと評価されている
- セメントを用いた介入だったが、歴史の文脈のなかで見られなければならないと擁護されている
- セメントと鉄筋コンクリートを用いた不適切な介入で、1970年代に UNESCO が行った修復の仕事が完全に取り除いたので、いまは元の材料だけが残り、真正性への影響も解消したとされている
正解と解説を開く
正解:1.セメントと鉄筋コンクリートを用いて元の材料に損害を与えた不適切な介入で、1970年代に UNESCO が行った修復の仕事が元の石灰モルタルの混合で置き換えて部分的に戻した
> 1930年から1936年のあいだに行われた不適切な保全の介入が、セメントと鉄筋コンクリートを用いて元の材料に損害を与え、介入された構成要素の真正性に影響した。その状況は、1970年代に UNESCO によって行われた修復の仕事によって部分的に戻された。「完全に」ではなく「部分的に(partially)」です。なお10章のトロイツェ・セルギエフ657 は、1920年代の修復を「歴史と文化の文脈のなかで見られなければならない」と擁護します。同じ「過去の修復への評価」が資産によって分かれます。
確認4:ファジル・ゲビ19 の予算について、保護管理の節が書いていることは?
- 予算については書かれていない
- すべての予算を ARCCH が負担する
- 経常予算(給与と通常の支出)はアムハラ州、資本予算(開発の仕事)は ARCCH、追加の収入は観光の料金で政府の国庫とエチオピア正教会へ行く
- 経常予算と資本予算の両方をアムハラ州が負担し、観光の料金は全額がエチオピア正教会へ行くので、ARCCH は予算の負担には関わっていないと書かれている
正解と解説を開く
正解:3.経常予算(給与と通常の支出)はアムハラ州、資本予算(開発の仕事)は ARCCH、追加の収入は観光の料金で政府の国庫とエチオピア正教会へ行く
給与を誰が払い、工事を誰が払い、入場料がどこへ行くかまで書かれる資産は、これまで読んだ197件でここだけです。経常予算(給与と通常の支出)——アムハラ州。資本予算(修復と保存のような開発の仕事)——ARCCH。追加の収入——観光の料金で、政府の国庫とエチオピア正教会へ行く(全額が教会へ行くのではありません)。
参考資料
確認日:2026年10月28日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。