福建土楼群

登録年
2008年
所在国
中国
登録区分
文化遺産
地域
アジア
登録基準
(iii) (iv) (v)

どこにあり、何が登録されたのか — 建造の時期が食い違う

中国福建省南西部。台湾海峡から内陸へ、120 km にわたって。

本体 152.65 ha
緩衝地帯 934.59 ha(本体の約6.12倍)
登録 2008年、基準 (iii)(iv)(v)
dossier 1113
連続性資産 はい(Serial: yes)
構成要素 46の建物(説明文)

建造の時期が食い違っている

書かれている場所 時期
説明文 「15世紀から20世紀のあいだに建造された」
顕著な普遍的価値 「13世紀から20世紀のあいだに建てられた」

2世紀の差があります。どちらかに決めず、両方を記録します。

顕著な普遍的価値は別の箇所で「七世紀にわたる土の建築の顕著な技」とも書くので、13世紀からと読むと七世紀と整合します。ただし一覧に時期の記載は無いので、一次資料の二つの記述を並べて残します。

どんな建物か

米、茶、タバコの畑のあいだに置かれた土楼は土の家である。 数階の高さで、内向きの円形または方形の平面に沿って、それぞれ最大800人の住まいとして建てられた。

防御の目的で、中央の開かれた中庭の周りに、ただ一つの入口と、1階より上だけの外への窓をもって建てられた。

入口が一つ、窓は2階より上だけです。

一族全体を収め、家は村の単位として機能し、「家族のための小さな王国」または「にぎやかな小さな都市」として知られていた。

二つの呼び名が書かれています。

外観 幅広く張り出した軒を持つ瓦屋根で頂かれた、高い要塞化された土の壁
もっとも精巧なもの 17・18世紀に遡る
内部の分け方 家族のあいだで垂直に分けられ、それぞれが各階に二つか三つの部屋を得ていた
内部の装飾 素朴な外観と対照的に、快適さのために建てられ、しばしば高度に装飾されていた

「垂直に分ける」——階ごとではなく、縦の区画を家族ごとに持つ形です。

顕著な普遍的価値の節が、見出しなしの形になっている

この資産のページは、節の形が23章のバハイ教聖所群1220 とプレア・ビヒア1224 と同じ型です。

ほかの資産にあるもの この資産
Brief synthesis の見出し 無い(見出しなしの導入段落がある)
基準ごとの正当化 ある((iii)(iv)(v))
Integrity の見出し 無い
Authenticity の見出し 無い
Protection and management requirements の見出し 無い

真正性と完全性が一段落、保護管理が一段落です。

導入段落

福建土楼は、中国南東部の山地の土楼のもっとも代表的でもっともよく保存された例である。13世紀から20世紀のあいだに建てられた、大きく、技術的に洗練され、劇的な土の防御の建物は、肥沃な山の谷というきわめて感じやすい環境の中で、時を越えて持続してきた定住への共同の応答の並外れた反映である。

土楼とその広範な関連する記録の文書庫は、七世紀にわたる土の建築の顕著な技の出現、革新、発展を映している。

精巧に区画された内部——一部は高度に装飾された表面を持つ——は、その共同体の物理的かつ霊的な必要の両方を満たし、遠隔で潜在的に敵意ある環境における洗練された社会の発展を並外れた仕方で映している。

巨大な建物とその景観との関係は、風水の原則と、景観の美と調和の観念の両方を体現している。

三つの基準

基準 中身
(iii) 共同の生活のための防御の建物の長く続いた文化の伝統への例外的な証であり、それは洗練された建築の伝統と、調和と協働の観念を映し、時を越えてよく記録されている
(iv) 大きさ、建築の伝統、機能の点で例外的であり、より広い地域内の経済と社会の歴史のさまざまな段階への社会の応答を映している
(v) その形の点で共同の生活と防御の必要の唯一無二の反映であり、その環境との調和した関係の点で、人間の集落の顕著な例である

基準(v)は「形」と「環境との関係」を二つに分けて述べています。

真正性と完全性が、景観とつながっている

この資産では、真正性と完全性が一段落にまとめられています。

土楼の真正性は、土楼そのものとその建築の伝統、および耕作され森に覆われた景観の環境に関わる構造と過程を維持することに関わっている。 土楼の完全性は、建物としてのその無傷性に、また周囲の耕作され森に覆われた景観の無傷性にも関わっている——その景観の中に、土楼は風水の原則に従ってきわめて注意深く位置づけられたのである。

「建物だけでなく、周囲の景観の無傷性も完全性に関わる」という書き方です。

理由が「風水の原則に従って位置づけられたから」とされています。

この章では、構成要素と周囲の関係がいくつも書かれました。

遺産 周囲との関係
福建土楼群1113 風水の原則に従って位置づけられたので、周囲の耕作され森に覆われた景観の無傷性も完全性に関わる
ヨーロッパの大温泉都市群1613 建物と空間は周囲の景観と視覚的・物理的につながり、その景観は治療の一環としての運動に使われる
カルパティアの木造教会群1424 周壁または柵と、それに沿って植えられた木が、明確に認識できる区域または目印をなしている
ブナ原生林1133 構成部分の近隣における伐採が微気候の変化と栄養の動員の効果を引き起こしうる

誰が守っているか — メルヴとほぼ同じ文が出てくる

この資産の保護管理は、一段落です。

推薦された区域とその緩衝地帯の法的保護は十分である。資産の全体の管理体系は十分であり、政府の行政機関と在地の共同体の両方が関わっている。ただし、在地の農業と林業の伝統を尊重する景観の持続性のための計画は、もっとよく整える必要がある。

13章のメルヴ886 とほぼ同じ文です

遺産 書かれていること
福建土楼群1113 「全体の管理体系は十分であり、政府の行政機関と在地の共同体の両方が関わっている。ただし、在地の農業と林業の伝統を尊重する景観の持続性のための計画は、もっとよく整える必要がある。」
メルヴ886(13章) 「全体の管理体系は適切であり、政府の行政機関と在地の共同体の両方が関わっている。ただし、在地の農業と農耕の伝統を尊重する景観の持続性のための計画は、もっとよく整える必要がある。」

違うのは「林業」と「農耕」、そして「十分(adequate)」と「適切(adequate)」の訳し分けだけです。

UNESCO の顕著な普遍的価値の文には、資産をまたいで使い回される定型の文があります。

ゼミは、同じ文が別の資産に出てくることに気づいたら、それも記録します。「この資産にだけ書かれている」と書いてしまわないためです。

この資産について分かっていないこと

節が無いので、次のことはこのページからは分かりません。

分からないこと
46の建物のそれぞれが何か(名前、所在、規模)
46をどう選んだか
脅威として何が同定されているか
来訪者の数と管理の仕組み
建造の時期が13世紀からか15世紀からか
法令と管理機関の名

「書かれていない」を「無い」と読み替えず、未確認として記録します。

2級で押さえること

基準(iii)(iv)(v)、本体152.65 ha・緩衝934.59 ha、連続性資産(Serial: yes)、2008年登録、46の建物(説明文)。建造の時期が、説明文「15世紀から20世紀」と顕著な普遍的価値「13世紀から20世紀」で食い違う(別の箇所の「七世紀にわたる」は13世紀からと整合する。一覧に時期の記載は無いので両方を記録)。福建省南西部の120 km にわたる。数階の高さで、内向きの円形または方形の平面に沿って、それぞれ最大800人の住まいとして建てられた。防御の目的で、中央の開かれた中庭の周りに、ただ一つの入口と、1階より上だけの外への窓をもって建てられた。「家族のための小さな王国」または「にぎやかな小さな都市」。内部は家族のあいだで垂直に分けられ、それぞれが各階に二つか三つの部屋を得ていた。素朴な外観と対照的に、内部は快適さのために建てられ、しばしば高度に装飾されていた。ページの節の形が独特——Brief synthesis / Integrity / Authenticity / Protection の見出しがどれも無く、見出しなしの導入段落+基準+真正性と完全性を一段落+保護管理を一段落(23章のバハイ教聖所群1220 とプレア・ビヒア1224 と同じ型)。真正性と完全性が、耕作され森に覆われた景観の環境とつながっている——理由は風水の原則に従ってきわめて注意深く位置づけられたから。保護管理の文が、13章のメルヴ886 とほぼ同じ(違うのは「林業」と「農耕」だけ)——UNESCO の文には資産をまたいで使い回される定型があり、「この資産にだけ書かれている」と書かないために記録する。46の建物のそれぞれが何か、46をどう選んだか、脅威、来訪者数、法令と管理機関の名は、このページからは分からない=未確認。

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:福建土楼群の建造の時期について、UNESCO のページの記述に合うものは?

  1. 説明文も顕著な普遍的価値も「15世紀から20世紀」で一致している
  2. 説明文も顕著な普遍的価値も「13世紀から20世紀」で一致している
  3. 説明文は「15世紀から20世紀」、顕著な普遍的価値は「13世紀から20世紀」で食い違う
  4. 説明文は「15世紀から20世紀」、顕著な普遍的価値は「13世紀から20世紀」で食い違い、一覧にはさらに別の時期がある
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正解:3.説明文は「15世紀から20世紀」、顕著な普遍的価値は「13世紀から20世紀」で食い違う

説明文は「15世紀から20世紀のあいだに建造された」、顕著な普遍的価値は「13世紀から20世紀のあいだに建てられた」です。一覧に時期の記載はありません。顕著な普遍的価値は別の箇所で「七世紀にわたる土の建築の顕著な技」とも書くので、13世紀からと読むと七世紀と整合しますが、どちらかに決めず両方を記録します。

確認2:福建土楼群の防御のつくりについて、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 四方に入口があり、各階に外への窓がある
  2. 防御のつくりについては書かれていない
  3. 中央の中庭の周りに、ただ一つの入口と1階より上だけの外への窓をもって建てられ、さらに周囲に堀を備えていた
  4. 中央の開かれた中庭の周りに、ただ一つの入口と、1階より上だけの外への窓をもって建てられた
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正解:4.中央の開かれた中庭の周りに、ただ一つの入口と、1階より上だけの外への窓をもって建てられた

> 防御の目的で、中央の開かれた中庭の周りに、ただ一つの入口と、1階より上だけの外への窓をもって建てられた。堀についての記述はありません。「幅広く張り出した軒を持つ瓦屋根で頂かれた、高い要塞化された土の壁」とされます。

確認3:福建土楼群の内部の分け方について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 階ごとに別の家族が住んでいた
  2. 家族のあいだで垂直に分けられ、それぞれが各階に二つか三つの部屋を得ていた
  3. 内部の分け方については書かれていない
  4. 家族のあいだで垂直に分けられて各階に二つか三つの部屋を得ていたが、最上階は共同の空間だった
正解と解説を開く

正解:2.家族のあいだで垂直に分けられ、それぞれが各階に二つか三つの部屋を得ていた

> 建物は家族のあいだで垂直に分けられ、それぞれが各階に二つか三つの部屋を得ていた。階ごとではなく、縦の区画を家族ごとに持つ形です。最上階についての記述はありません。内部は「素朴な外観と対照的に、快適さのために建てられ、しばしば高度に装飾されていた」とされます。

確認4:福建土楼群の保護管理の文について、記録すべきことは?

  1. 13章のメルヴ886 とほぼ同じ文で、違うのは「林業」と「農耕」だけである
  2. この資産にだけ書かれた固有の文である
  3. 保護管理の節は無い
  4. 13章のメルヴ886 とほぼ同じ文だが、メルヴのほうが後から書かれたものである
正解と解説を開く

正解:1.13章のメルヴ886 とほぼ同じ文で、違うのは「林業」と「農耕」だけである

福建土楼群1113 は「在地の農業と林業の伝統を尊重する景観の持続性のための計画は、もっとよく整える必要がある」、メルヴ886 は「在地の農業と農耕の伝統を尊重する景観の持続性のための計画は、もっとよく整える必要がある」です。どちらが後に書かれたかは、このページからは分かりません。UNESCO の文には資産をまたいで使い回される定型があるので、「この資産にだけ書かれている」と書かないために記録します。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

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