ゴアの聖堂と修道院

登録年
1986年
所在国
インド
登録区分
文化遺産
地域
アジア
登録基準
(ii) (iv) (vi)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 七つの記念物

インド西海岸、ゴア州。州都パンジムの東約10 km、かつてのポルトガル領インドの首都。

記念物の数 7
登録 1986年、基準 (ii)(iv)(vi)
一覧の面積 行が無い
緩衝地帯 一覧に数値が無い(保護管理の節に禁止区域・規制区域の記述あり)
dossier 234
一覧の `Serial` 記載が無い。ただし本文は「連続性資産(serial property)」と書いている

一覧の表記と本文が合っていません。両方を記録します。

七つの教会と修道院

記念物 年 特徴
聖カタリナ礼拝堂 1510年 1534年に教皇パウルス3世によって大聖堂の地位に上げられた
アッシジの聖フランシスコ教会と修道院 1517年(1521年と1661年に再建) マヌエル、ゴシック、バロックの様式の要素
ロザリオの聖母教会 1549年 マヌエル様式で建てられた現存する教会のうちもっとも古い
セ大聖堂 1652年 トスカーナ様式の外観と古典的オーダー
聖アウグスチノ教会 1602年 廃墟となり、鐘塔の3分の1だけが立っている
ボン・ジェズス大聖堂 1605年 際立った古典的オーダー
聖カジェタン礼拝堂 1661年 ローマの聖ペトロ教会の元の設計に倣った

歴史

かつてのエッラ村が、ポルトガル人に奪われたあとゴア(現在のオールド・ゴア)に発展し、ポルトガル人は1730年にこの都市をアジアの占領地の首都として指定した。

UNESCO のページの記述のままです。

フランシスコ会、カルメル会、アウグスチノ会、ドミニコ会、イエズス会、テアチノ会といったヨーロッパの修道会の到来に続いて、多くの王家・公共・世俗の建造物が建てられ、多くの豪奢で壮麗な礼拝堂、教会、修道院、大聖堂も建てられた。

建築様式は同時代のヨーロッパで流行していたものに従ったが、在地の材料と工芸品の使用を通じて在地の条件に合うよう適応された。建物は、ポルトガルによる領土支配のあいだに発展した唯一無二のインド・ポルトガル様式の根を表している。その支配は1961年まで450年続いた。

この長い期間が、この場所の暮らし方と建築様式に深く影響し、それがゴアを越えた布教所に広がり、西洋と東洋の伝統の唯一無二の融合を創り出した。

基準の文が、ほかの世界遺産の名を挙げている

基準 中身
(ii) ゴアの記念物、「東洋のローマ」は、16世紀から18世紀まで、カトリックの布教所が設けられたアジアの国々全体にマヌエル、マニエリスム、バロックの美術の形を広めることによって、建築・彫刻・絵画の発展に大きな影響を及ぼした
(iv) アジアにおける宣教師の仕事を例証する建築アンサンブルの顕著な例。「アンサンブルの豊かさは、世界遺産リストに含まれるラテンアメリカのアンサンブル(クスコ1983年、オウロ・プレト1980年、オリンダ1982年、サルバドール・デ・バイーア1985年)と比べられる。」
(vi) ボン・ジェズス教会に聖フランシスコ・ザビエルの墓を保全している

基準(iv)の文が、ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較しています。

これまで読んだ73件で、基準の文がほかの世界遺産を名指しする例はここだけです。

しかも挙げられている四つのうち、クスコ1983年はこの章の資産です。

基準(vi)の中身

その精緻な芸術的な質を越えて(1665年にトスカーナ大公フェルディナンド2世によって発注され、フィレンツェで制作され、ジョヴァンニ・バッティスタ・フォッジーニによる見事なブロンズの仕事を含む)、インドと日本の使徒の墓は、近代におけるアジア世界へのカトリック宗教の影響の、普遍的に意義ある出来事を象徴している。

「インドと日本の使徒」と書かれています。

墓そのものが、発注地(トスカーナ)・制作地(フィレンツェ)・設置地(ゴア)に分かれています。

完全性と真正性 — 発見が真正性を「高める」

完全性

連続性資産の境界は、マヌエル、マニエリスム、バロックの様式が在地の実践と同化したことをともに示すすべての構造を囲んでいる。 定期的な監視と保全の工事が、構造と表面の特徴の完全性を守るために行われている。

同定された潜在的な脅威
風化
記念物への毛管作用
木彫と板絵へのシロアリの作用

シロアリが脅威に挙げられる資産は、これまで読んだ78件でここだけです。

この三つは、そのまま「長期に必要とされること」になります(13章のエローラー243 と同じ書き方)。

顕著な普遍的価値を長期に保つには、風化、記念物への毛管作用、木彫と板絵へのシロアリの作用に関わる問題を同定し処置する措置を取ることが必要となる。そのすべてがインド考古調査局の年次作業計画に織り込まれることになっている。

真正性 — 機能が続いている

教会は、その構造の完全性を守るために体系的に保全されてきた。それがいくつもの関係者に歴史的な用途と機能を維持させ、ほかの教会でときおり礼拝が行われることを可能にし、こうして資産の機能的な真正性を守っている。

発掘、原位置の保全、アズレージョ(タイル)の再固定が、聖アウグスチノ複合の遺跡の廃墟に正の影響を与えてきた。

儀礼の務め、祈り、結婚式、葬儀も、生きた記念物の中で行われている——守護聖人フランシスコ・ザビエルの祝日と、キリスト教のエートスの意義ある出来事を記念する聖遺物の公開とともに。

発見が真正性を高める

聖アウグスチノ複合内の発掘を通じて明らかになった発見——グルジアの聖ケテワンの遺物の発見を含む——によって、資産の真正性は高められ、資産の無形の価値に加わっている。

「真正性が高められる(enhanced)」という書き方です。

これまで読んだ資産の真正性は、「保たれている」「減じた」「損なわれた」「程度が低い」のように書かれていました。「高められる」は新しい形です。

誰が守っているか — 管理計画が無いが、人手と資金は十分

法と仕組み

州の規制 計画開発庁(開発計画)規則(1989年、2000年)。オールド・ゴアを含むゴア州の特別保全保存区域を明確に画する包括的な規制
委員会 町村法のもとで保全委員会が構成され、インフラ介入の申請を監督し、許可または却下する
国の規定 AMASR法(1958年)と規則(1959年)、改正(1992年)、改正・有効化法(2010年)
距離 保護された遺跡から100 m と 200 m の禁止区域と規制区域で、あらゆる種類の建設および/または鉱業活動が制限される

13章のカジュラーホ240 と同じ距離です。

管理計画が無い

「世界遺産資産のための特別な規定は無く、管理計画も無いが、資産はインド考古調査局の管理体系/モジュールによって管理されている。」

はっきり「無い」と書かれています。

在地の統治に権限がある

締約国(インド)はまた、憲法第72/73次改正を通じて在地の共同体に権限を与え、在地の統治を可能にした。すなわち、世界遺産資産がその境界内にあるセ・オールド・ゴアのパンチャーヤトが、資産の管理に参加し審議する権限を与えられている。

憲法の改正が、在地の統治の根拠として書かれています。

6章のナン・マドール1503 も憲法が首長の慣習上の利益を認めるでした。

人手と資金が「十分」と書かれている

世界遺産資産は、既存の法と規則のさまざまな規定を州政府当局と調整して実施することにより、在地の本部局を通じて国レベルで管理され保護されている。在地の本部局には、行政と十分に訓練された技術の人員の両方について十分な人手があり、配分された資金も十分である。

「十分である」と書かれる資産は、これまで読んだ78件でここだけです。

この章と前の章では、職員と資金の書かれ方がまったく逆になります。

遺産 職員と資金
ゴア234 人手も資金も十分である
エローラー243 保全職員の能力が完全性への潜在的な脅威
サント・ドミンゴ526 より有能でより多数の技術職員を与えることが必要
クスコ273 資金の不足のため1950年の地震の損傷がいまだに修理されていない
ビニャーレス渓谷840 承認済みの管理計画に対して実施の資源が乏しい

「管理計画が無い」ことと「人手と資金が十分」は、同じ資産の同じ節に並んで書かれています。一方だけを読んで全体を判断しません。

2級で押さえること

基準(ii)(iv)(vi)、七つの記念物、かつてのポルトガル領インドの首都。一覧に面積・緩衝地帯の行が無く、`Serial` の記載も無いのに、本文は「連続性資産」と書いている(両方を記録)。七つは聖カタリナ礼拝堂(1510年、1534年に教皇パウルス3世が大聖堂の地位に上げた)・アッシジの聖フランシスコ教会と修道院(1517年)・ロザリオの聖母教会(1549年、マヌエル様式で現存最古)・セ大聖堂(1652年)・聖アウグスチノ教会(1602年、廃墟で鐘塔の3分の1だけが立つ)・ボン・ジェズス大聖堂(1605年)・聖カジェタン礼拝堂(1661年、ローマの聖ペトロ教会の元の設計に倣った)。ポルトガルの支配は1961年まで450年続き、唯一無二のインド・ポルトガル様式を生んだ。基準(ii)は「東洋のローマ」、基準(iv)の文がほかの世界遺産(クスコ1983・オウロ・プレト1980・オリンダ1982・サルバドール・デ・バイーア1985)の名と登録年を挙げて比較している——これまで読んだ78件でここだけ。基準(vi)はボン・ジェズス教会の聖フランシスコ・ザビエルの墓(1665年にトスカーナ大公が発注、フィレンツェで制作、フォッジーニのブロンズ)で、「インドと日本の使徒」。潜在的な脅威は風化・記念物への毛管作用・木彫と板絵へのシロアリの作用で、この三つがそのまま長期に必要とされることになる。聖アウグスチノ複合内の発掘で明らかになった発見(グルジアの聖ケテワンの遺物を含む)によって、資産の真正性は「高められ」ている——これまでに無い形。「世界遺産資産のための特別な規定は無く、管理計画も無い」が、「在地の本部局には人手があり、配分された資金も十分である」——同じ節に並んで書かれている。憲法第72/73次改正で、セ・オールド・ゴアのパンチャーヤトが資産の管理に参加し審議する権限を与えられている。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
大航海時代と植民都市大航海時代が、その資産にどんな形で残っているか「ポルトガル人は1730年にこの都市をアジアの占領地の首都として指定した」
ヨーロッパの建築様式の名が、移った先でどう変わるか「マヌエル、マニエリスム、バロックの美術の形を広めることによって」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ゴアの聖堂と修道院の七つのうち、「マヌエル様式で建てられた現存する教会のうちもっとも古い」とされるものは?

  1. 聖カタリナ礼拝堂(1510年)
  2. ロザリオの聖母教会(1549年)
  3. ボン・ジェズス大聖堂(1605年)
  4. ロザリオの聖母教会(1549年)で、聖カタリナ礼拝堂(1510年)がそれに次ぐ
正解と解説を開く

正解:2.ロザリオの聖母教会(1549年)

ロザリオの聖母教会(1549年)が「マヌエル様式で建てられた現存する教会のうちもっとも古い」とされます。聖カタリナ礼拝堂(1510年)は年代は古いものの、1534年に教皇パウルス3世によって大聖堂の地位に上げられたことが書かれており、様式の記述はありません。「それに次ぐ」という記述もありません。

確認2:ゴアの聖堂と修道院の基準(iv)の文の、きわめて珍しい特徴は?

  1. ほかの世界遺産(クスコ、オウロ・プレト、オリンダ、サルバドール)の名と登録年を挙げて比較している
  2. 将来の工事への警告になっている
  3. 基準(iv)は付いていない
  4. ほかの世界遺産(クスコ、オウロ・プレト、オリンダ、サルバドール)の名と登録年を挙げて比較し、さらにそれらより豊かだと結論している
正解と解説を開く

正解:1.ほかの世界遺産(クスコ、オウロ・プレト、オリンダ、サルバドール)の名と登録年を挙げて比較している

> 「アンサンブルの豊かさは、世界遺産リストに含まれるラテンアメリカのアンサンブル(クスコ1983年、オウロ・プレト1980年、オリンダ1982年、サルバドール・デ・バイーア1985年)と比べられる。」「比べられる(compares with)」で、「より豊かだ」とは書かれていません。これまで読んだ73件で、基準の文がほかの世界遺産を名指しする例はここだけです。しかもクスコ1983年は同じ章の資産です。

確認3:ゴアの聖堂と修道院の真正性について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 発掘によって真正性は損なわれた
  2. 発掘についての記述は無い
  3. 聖アウグスチノ複合内の発掘による発見で真正性は高められたが、同時に構造の完全性は損なわれた
  4. 聖アウグスチノ複合内の発掘で明らかになった発見によって、真正性は高められている
正解と解説を開く

正解:4.聖アウグスチノ複合内の発掘で明らかになった発見によって、真正性は高められている

> 聖アウグスチノ複合内の発掘を通じて明らかになった発見——グルジアの聖ケテワンの遺物の発見を含む——によって、資産の真正性は高められ、資産の無形の価値に加わっている。完全性が損なわれたという記述はありません。「真正性が高められる(enhanced)」は、これまで読んだなかで新しい形です(ほかは「保たれている」「減じた」「損なわれた」「程度が低い」でした)。

確認4:ゴアの聖堂と修道院の管理と体制について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 管理計画があり、人手と資金も十分である
  2. 管理計画は無く、人手と資金も足りない
  3. 世界遺産資産のための特別な規定も管理計画も無いが、在地の本部局には人手があり配分された資金も十分である
  4. 世界遺産資産のための管理計画は無いが人手と資金は十分で、特別な規定も近年の州の規則によって整えられ、国の規定と重なっている
正解と解説を開く

正解:3.世界遺産資産のための特別な規定も管理計画も無いが、在地の本部局には人手があり配分された資金も十分である

> 「世界遺産資産のための特別な規定は無く、管理計画も無いが、資産はインド考古調査局の管理体系/モジュールによって管理されている。」> 「在地の本部局には、行政と十分に訓練された技術の人員の両方について十分な人手があり、配分された資金も十分である。」特別な規定が「近年整えられた」という記述はありません。「無いもの」と「十分なもの」が同じ節に並んでいます。一方だけを読んで全体を判断しません。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。