ヒマーの文化地域

登録年
2021年
所在国
サウジアラビア
登録区分
文化遺産
地域
アジア
登録基準
(iii)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 緩衝地帯が本体の約319倍

サウジアラビア南西部の、乾燥した山地。アラビア半島の古代の隊商路の一つの上。

本体 242.17 ha
緩衝地帯 77,255.34 ha(本体の約319倍)
登録 2021年
軽微な範囲変更 2024年
基準 (iii) 単独
dossier 1619bis
連続性資産 はい(Serial: yes)。六つの構成要素
保存状況報告 2023年・2025年

緩衝地帯の比が、また更新された

遺産 比
ヒマー1619 約319倍(242.17 ha → 77,255.34 ha)
ヴェゼール渓谷85 約161倍(105.733 ha → 17,022 ha)
マルタの巨石神殿群132 約52.9倍(3.155 ha → 167 ha)
木造多柱式モスク群1694(11章) 約60.1倍
メディナ・アサーラ1560(11章) 約19.69倍
ダマスカス20(11章) 約0.49倍

11章で 0.49〜60.1倍と記録しましたが、16章は 319倍まで開きました。

比が大きいときは「何が入っているか」を確かめます。ヒマー1619 の場合、資産と緩衝地帯の両方に未発掘の考古の資源があると書かれています。

何があるか

ヒマーの文化地域は、7,000年の文化の連続性の中で狩猟・動物相・植物相・生活様式を描く、岩絵の画像の相当な集成を含む。

遺跡に野営した旅人と軍隊が、時代を通じて20世紀後半まで豊かな岩の碑文とペトログリフを残し、そのほとんどが手つかずの状態で保存されている。

碑文の文字
ムスナド
アラム=ナバテア
南アラビア
タムード
ギリシア
アラビア

六つの文字が並んでいます。

未発掘の資源

資産とその緩衝地帯はまた、ケルン、石の構造物、埋葬、石器の散布、古代の井戸という形の未発掘の考古の資源に富んでいる。

井戸と通行料

この場所は、重要な古代の砂漠の隊商路の上の知られているもっとも古い通行料徴収所にあり、ビウル・ヒマーの井戸は少なくとも3,000年前に遡り、いまも新鮮な水を産している。

「いまも新鮮な水を産している」と書かれています。

基準(iii)だけ — 「岩の上の図書館」

大きな軍隊と無数の隊商のこの地域の通過が、比類ない歴史の「岩の上の図書館」をもたらした——完新世の期間にわたるアラビアの歴史を映す、膨大な数の岩の碑文とペトログリフからなる。

「岩の上の図書館(library on rock)」という語が使われます。

これらの壮観なペトログリフは少なくとも7000年の期間を覆い、最後の30年まで続いている。

基準(iii)

ヒマーの文化地域は、何千年にもわたるいくつもの古代の伝統への例外的な証をなし、ほかのいかなる場所よりも効果的にアラブの人びとの歴史を年代記にしており、したがってその歴史の巨大な野外の図書館を表している。

資産は、長い一連の文化の伝統への例外的な証をなす——おそらく旧石器時代から、少なくとも新石器時代から、そしてそれ以来現在まで伸びている。

「おそらく(arguably)」と「少なくとも(at the very least)」が同じ文に入っています。

ゼミは、この二段の言い方をそのまま残します。「旧石器時代から」と断定しません。

この長い期間にわたり、地域を通り過ぎた人びとは、岩の碑文と岩絵という形で彼らの存在と通過の手つかずの記録を残した——前者はいくつかの場合に彼らの生きた文脈と環境を記述し、岩絵の主題は環境の変わる性格と、彼らがそれにどう適応したかを映している。

「碑文は文脈を記述し、岩絵は環境の変化を映す」と書き分けられています。

完全性と真正性 — パティナと割れが真正性の根拠

完全性

ヒマーの文化地域の大きさは、資産の完全性を確かにするのに十分である。

連続性資産をなす六つの構成要素は——おそらく10万を超えるペトログリフを含んでいて——地域の最大かつもっとも意義ある岩絵と岩の碑文の遺跡の集中を包含している。

「おそらく(possibly)」が付いています。数も確定していません。

資産は、遺跡の保護の工事と、ヒマーの小さな町を除いて、開発から自由である。 資産内の考古の資源はほとんど完全に無傷のままで、砂漠の景観の「手つかずの」性格も同様である。

ヒマーの文化地域のきわめて乾燥した環境と、太古からのベドウィンの守護(custodianship since time immemorial)のゆえに、その顕著な普遍的価値は例外的によく保存されてきた。

「太古からの守護」が保存の理由として書かれる資産は、これまで読んだ120件でここだけです。

真正性 — 何を根拠にするか

ペトログリフの真正性は、そのパティナ(被膜)の状態、風化の状態、および画像より後のものと判定された岩面の割れから明らかである。

サウジアラビアのほかの場所の直接年代決定された岩絵との様式の類似を含むほかの科学の作業も、その真正性を確認している。

「画像より後と判定された割れ」が真正性の根拠になる、という書き方です。

「新しくされた」彫刻

いくつかの彫刻は「新しくされ」ており、一部の区画が再敲打(re-pecked)されている。しかしながら、これらのほとんどは古代に行われたもので、それらが人びとの生活においてこれらの画像が果たした能動的な役割を表しているので、その真正性の一部と考えられうる。

「後から手を加えたことが真正性の一部」と書かれる例です。

24章の真珠採取1364 の「保全が過剰だと記憶を消し去りうる」、5章のマロティ985 の「体系的な保全が試みられていないことは正の要因」と並べて読みます。

碑文のほうが新しい

岩の碑文は、岩絵のほとんどより新鮮で明るい。いくつもの認識できる型の文字があり、古いものはよりパティナが付いている。いくつかの碑文は、知られた日付に起きた出来事を記述している。

井戸の壁は最近のもの

ビウル・ヒマーの井戸の位置、幅、深さは元のものであるが、地上の壁は、安全を確かにするため最近築かれた。井戸の壁と遺跡の周りの小道は最近の追加であり、完全に可逆である。

「完全に可逆(fully reversible)」と書かれています。

誰が守っているか — まだ無いものが具体的に書かれる

所有と法

管理 遺産委員会(文化省)
所有 サウジアラビア政府
岩絵と碑文 考古の記念物として保護
水準 その管轄内の最高水準——王令と古物法による

できているもの

地図と一貫した遺跡の記録のデータベース 編集され、職員に内部で利用できるようにされつつある
管理計画(2018年) 明確な一組の目的と、同定された責任を含む
観光管理計画(2018年) 観光の潜在的な成長に、分別のある実際的な仕方で対処している

まだ無いもの

ただし、遺産管理・考古学・岩絵の保全の訓練を受けた、ある種の専門の職員が必要である。

保全管理の戦略が、作られ、実施され、資産の管理計画へ統合されるべきである——測定できる鍵となる指標、周期、責任を持つ当局を同定する監視の計画とともに。

監視・保全・管理の計画と事業を実施するため、考古学・遺産管理・岩絵の保全の分野で能力構築が必要である。

ナジュド・ハイランでの観光の活動とインフラに関わるいかなる事業についても、実施される前に遺産影響評価が行われることが要求される。

地名を挙げて「その前に評価が必要」と書かれる資産は、これまで読んだ120件でここだけです。

この章では、「まだ無いもの」の書かれ方がいくつも出ました。

遺産 まだ無いもの
ヒマー1619 専門の職員・保全管理の戦略・監視の計画・能力構築
クエバ・デ・ラス・マノス936 遺跡委員会の強化と、もっとも近い村への常駐
ストーンヘンジ373 単一の資産管理計画(二つを置き換える)・環境の研究・A303 の長期の解決
南アフリカの更新世の居住地群1723 共同管理委員会の設立と、法的所有者との遺産協定
マルタの巨石神殿群132 長期の保存の戦略(覆いは暫定)

2級で押さえること

基準(iii)単独、本体242.17 ha・緩衝77,255.34 ha(本体の約319倍で、これまで読んだなかでいちばん大きい比。11章で記録した 0.49〜60.1倍を超えた)、2021年登録・2024年に軽微な範囲変更(dossier は1619bis)、連続性資産(Serial: yes)で六つの構成要素、保存状況報告は2023年・2025年。サウジアラビア南西部の乾燥した山地、アラビア半島の古代の隊商路の一つの上。7,000年の文化の連続性の中で狩猟・動物相・植物相・生活様式を描く岩絵の集成で、旅人と軍隊が20世紀後半まで碑文とペトログリフを残し、そのほとんどが手つかずの状態で保存されている。碑文の文字はムスナド・アラム=ナバテア・南アラビア・タムード・ギリシア・アラビアの六つ。資産とその緩衝地帯は、ケルン・石の構造物・埋葬・石器の散布・古代の井戸という形の未発掘の考古の資源に富んでいる——緩衝地帯の比が大きいときは何が入っているかを確かめる。この場所は「知られているもっとも古い通行料徴収所」にあり、ビウル・ヒマーの井戸は少なくとも3,000年前に遡り、いまも新鮮な水を産している。「比類ない歴史の『岩の上の図書館』」「その歴史の巨大な野外の図書館」。基準(iii)は「おそらく旧石器時代から、少なくとも新石器時代から」と二段で書くので、「旧石器時代から」と断定しない。「碑文はいくつかの場合に生きた文脈と環境を記述し、岩絵の主題は環境の変わる性格と、彼らがそれにどう適応したかを映している」——碑文と岩絵を書き分けている。完全性は、六つの構成要素が「おそらく10万を超えるペトログリフを含んでいて」地域最大の集中を包含するとし(数も確定していない)、「遺跡の保護の工事と、ヒマーの小さな町を除いて、開発から自由である」。「きわめて乾燥した環境と、太古からのベドウィンの守護のゆえに、その顕著な普遍的価値は例外的によく保存されてきた」——「太古からの守護」が保存の理由として書かれるのは120件でここだけ。真正性の根拠が具体的——パティナの状態、風化の状態、画像より後のものと判定された岩面の割れ、ほかの場所の直接年代決定された岩絵との様式の類似。「いくつかの彫刻は『新しくされ』ており、一部が再敲打されているが、これらのほとんどは古代に行われたもので、……その真正性の一部と考えられうる」——後から手を加えたことが真正性の一部になる例。岩の碑文は岩絵のほとんどより新鮮で明るく、古いものはよりパティナが付いている。いくつかの碑文は知られた日付に起きた出来事を記述している。井戸の位置・幅・深さは元のものだが、地上の壁は安全のため最近築かれ、井戸の壁と小道は「完全に可逆」。管理は遺産委員会(文化省)、所有はサウジアラビア政府、王令と古物法による最高水準の保護。管理計画(2018年)と観光管理計画(2018年)はある。まだ無いのは、遺産管理・考古学・岩絵の保全の訓練を受けた専門の職員、保全管理の戦略(「作られ、実施され、管理計画へ統合されるべきである」)、測定できる鍵となる指標・周期・責任を持つ当局を同定する監視の計画、そして能力構築。ナジュド・ハイランでの観光の事業には、実施される前に遺産影響評価が要求される——地名を挙げて「その前に評価が必要」と書かれるのも120件でここだけ。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産が出てくるキーワード

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
道の遺産道そのものか、道沿いの施設か、道が残した跡か「知られているもっとも古い通行料徴収所」

いまのところ、この遺産が出てくるキーワードは1つです。ゼミの試作46本で数えた話で、公式テキストの分類ではありません。

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。このキーワードの練習では、ほかの参加記事と並べて読みます——同じ論点が、別の資産でどう書かれているかを見るためです。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ヒマーの文化地域の緩衝地帯について、UNESCO の一覧に合うものは?

  1. 本体242.17 ha に対して緩衝地帯77,255.34 ha で、約319倍
  2. 本体と緩衝地帯がほぼ同じ面積である
  3. 一覧に緩衝地帯の行が無い
  4. 本体242.17 ha に対して緩衝地帯77,255.34 ha で約319倍だが、緩衝地帯には考古の資源は含まれていない
正解と解説を開く

正解:1.本体242.17 ha に対して緩衝地帯77,255.34 ha で、約319倍

本体242.17 ha・緩衝地帯77,255.34 ha で、約319倍です。これまで読んだ120件でいちばん大きい比です。緩衝地帯にも考古の資源があります——「資産とその緩衝地帯はまた、ケルン、石の構造物、埋葬、石器の散布、古代の井戸という形の未発掘の考古の資源に富んでいる」。比が大きいときは「何が入っているか」を確かめます。

確認2:ヒマーの文化地域の基準(iii)が文化の伝統の始まりをどう書いているか?

  1. 「旧石器時代から」と断定している
  2. 始まりについての記述は無い
  3. 「おそらく旧石器時代から、少なくとも新石器時代から」と書き、さらに中石器時代の証拠も挙げている
  4. 「おそらく旧石器時代から、少なくとも新石器時代から」と二段で書いている
正解と解説を開く

正解:4.「おそらく旧石器時代から、少なくとも新石器時代から」と二段で書いている

> 資産は、長い一連の文化の伝統への例外的な証をなす——おそらく旧石器時代から、少なくとも新石器時代から、そしてそれ以来現在まで伸びている。中石器時代についての記述はありません。「おそらく(arguably)」と「少なくとも(at the very least)」が同じ文に入っているので、「旧石器時代から」と断定しません。

確認3:ヒマーの文化地域で「新しくされた」彫刻について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 再敲打は真正性を損なっている
  2. 一部が再敲打されているが、そのほとんどは古代に行われたもので、その真正性の一部と考えられうる
  3. 再敲打についての記述は無い
  4. 一部が再敲打されており、そのほとんどは古代に行われたものだが、真正性の一部とは考えられていない
正解と解説を開く

正解:2.一部が再敲打されているが、そのほとんどは古代に行われたもので、その真正性の一部と考えられうる

> いくつかの彫刻は「新しくされ」ており、一部の区画が再敲打されている。しかしながら、これらのほとんどは古代に行われたもので、それらが人びとの生活においてこれらの画像が果たした能動的な役割を表しているので、その真正性の一部と考えられうる。「後から手を加えたことが真正性の一部」と書かれる例です。24章の真珠採取1364・5章のマロティ985 と並べて読みます。

確認4:ヒマーの文化地域の保護管理で、まだ無いものとして書かれているのは?

  1. 管理計画と観光管理計画
  2. まだ無いものは書かれていない
  3. 遺産管理・考古学・岩絵の保全の訓練を受けた専門の職員と、保全管理の戦略と監視の計画
  4. 専門の職員・保全管理の戦略・監視の計画と、すでにある管理計画および観光管理計画のすべて
正解と解説を開く

正解:3.遺産管理・考古学・岩絵の保全の訓練を受けた専門の職員と、保全管理の戦略と監視の計画

管理計画(2018年)と観光管理計画(2018年)はすでにあります。まだ無いのは、「遺産管理、考古学、岩絵の保全の訓練を受けた、ある種の専門の職員」と、「作られ、実施され、資産の管理計画へ統合されるべき」保全管理の戦略、そして測定できる鍵となる指標・周期・責任を持つ当局を同定する監視の計画です。ほかに考古学・遺産管理・岩絵の保全の分野での能力構築も必要とされます。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。