イグアスの滝|一つの滝が、二つの世界遺産になっている

幾筋にも分かれて落ちるイグアスの滝と、谷に立ちのぼる水煙
robnaw / Adobe Stock(通常ライセンス) / 出典
登録年
1984年
所在国
アルゼンチン/ブラジル
登録区分
自然遺産
地域
南北アメリカ
登録基準
(vii) (x)

同じ滝なのに、登録は二つに分かれています。アルゼンチン側とブラジル側が、別々の年に別々の遺産として載りました。

二つの登録に分かれている

イグアスの滝は、アルゼンチン側とブラジル側で別々に登録されています。アルゼンチンのイグアス国立公園は1984年、ブラジルのイグアス国立公園は1986年。登録基準はどちらも(vii)(x)で同じですが、面積は55,000haと169,695.88haで三倍以上ちがいます。UNESCO はたがいを姉妹の世界遺産と呼んでいます。

滝そのもの

川の名前イグアスは、先住民の言葉で「大きな水」を意味します。滝は幅およそ3kmにわたり、約80mを一気に落ちます。一本の滝ではなく、たくさんの滝と早瀬が連なった仕組みです。川は二つの公園の真ん中で馬蹄形に大きく曲がり、その曲がりがそのまま両国の国境になっています。

(vii) — 見た目と、音

(vii)は「ひときわ優れた自然美、または類いまれな自然現象」。UNESCO は両方の説明で、この滝を目と耳の両方でもっとも印象的な自然の場所のひとつだと書きます。音が評価の言葉に入っているのは、ゼミで扱う遺産の中でここだけです。まわりに広がる亜熱帯の広葉樹林も、この基準の中に含まれます。

(x) — 滝ではなく森のほう

(x)は「生物多様性の保全にとってもっとも重要な生息地」。ここで守られているのは滝ではなく森です。両側と周りの保護区を合わせると、パラナエンセ亜熱帯林(内陸大西洋林)の、最大級に残ったまとまりになります。アルゼンチン側では2,000種を超える植物、ブラジル側ではジャガーやオセロットといった絶滅のおそれがある動物が挙げられています。滝を見に行く場所が、森を守る場所でもある。

ヴィクトリアの滝・ローマとくらべる

国をまたぐ遺産の形は一つではありません。ヴィクトリアの滝はザンビアとジンバブエで1件、ローマの歴史地区はイタリアとバチカン市国で1件。イグアスは2件です。同じ「二つの国にまたがる」でも、一つにまとめた例と、国ごとに分けた例がある。件数を数えるときに効いてくる違いです。

第5版での扱い(ゼミの断り)

第5版の正誤表には「イグアス国立公園」とだけあり、どちらの登録を指すかは書かれていません。ゼミでは、どちらの読み方でも成り立つように両側をまとめて1本の記事にしています。本の該当ページを確かめたら、この断りは書き直します。

覚えておきたいこと

  • アルゼンチン側1984年・ブラジル側1986年。基準はどちらも(vii)(x)
  • 幅およそ3km・落差約80m。馬蹄形の曲がりが国境
  • 国をまたぐ遺産には、1件にする形(ヴィクトリアの滝・ローマ)と2件に分ける形がある

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:イグアスの滝の世界遺産としての登録のされ方として正しいものは?

  1. アルゼンチン側とブラジル側が、別々の年に別々の遺産として登録されている
  2. アルゼンチンとブラジルが共同で、一つの遺産として登録している
  3. アルゼンチン側だけが登録され、ブラジル側は含まれていない
  4. 国境にあるため、どちらの国の遺産としても数えられていない
正解と解説を開く

正解:1.アルゼンチン側とブラジル側が、別々の年に別々の遺産として登録されている

アルゼンチン側は1984年、ブラジル側は1986年。登録基準はどちらも(vii)(x)ですが、面積は三倍以上ちがいます。

確認2:イグアスの滝の登録基準(x)が守っているものは?

  1. 滝そのものの形と、落ちる水の量
  2. 川底に残る5億年前の火山岩の層
  3. パラナエンセ亜熱帯林の、最大級に残ったまとまり
  4. 周辺の町に伝わる先住民の祭り
正解と解説を開く

正解:3.パラナエンセ亜熱帯林の、最大級に残ったまとまり

両側と周りの保護区を合わせたものです。アルゼンチン側では2,000種を超える植物、ブラジル側ではジャガーやオセロットが挙げられています。滝を見に行く場所が、森を守る場所でもあります。

確認3:イグアスの滝とヴィクトリアの滝の、登録のされ方の違いは?

  1. イグアスは2か国で1件、ヴィクトリアの滝は2件に分かれている
  2. どちらも2件に分かれて登録されている
  3. どちらも2か国で1件として登録されている
  4. イグアスは2件に分かれ、ヴィクトリアの滝は2か国で1件
正解と解説を開く

正解:4.イグアスは2件に分かれ、ヴィクトリアの滝は2か国で1件

ローマの歴史地区もイタリアとバチカン市国で1件です。同じ「二つの国にまたがる」でも、一つにまとめた例と国ごとに分けた例があります。

確認4:イグアスの滝が「目と耳の両方で」と説明されているのはなぜ?

  1. 世界でもっとも落差が大きい滝であること
  2. 目と耳の両方でもっとも印象的な自然の場所のひとつであること
  3. 一年を通して水量がまったく変わらないこと
  4. 人の手がいっさい入ったことがない場所であること
正解と解説を開く

正解:2.目と耳の両方でもっとも印象的な自然の場所のひとつであること

音が評価の言葉に入っているのは、ゼミで扱う遺産の中でここだけです。まわりの亜熱帯の広葉樹林もこの基準に含まれます。

参考資料

確認日:2026年10月2日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

どこにあるか

アルゼンチン/ブラジル アルゼンチン ミシオネス州/ブラジル パラナ州

イグアスの滝(代表地点)

この遺産は複数の場所に分かれています。ピンは代表地点で、登録範囲そのものではありません。

Google マップで見る 地図データ: Natural Earth / OpenStreetMap

参照した公式教材の版: きほんを学ぶ世界遺産100 第5版

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。