九寨溝:歴史的・景観的重要地区

森に囲まれた、底の見える青緑色の池。
David Maximillian Waterman / CC BY-SA 3.0 / 出典 / 加工: 長辺1800pxに縮小
登録年
1992年
所在国
中国
登録区分
自然遺産
地域
アジア
登録基準
(vii)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 基準が(vii)だけ

中国、四川省北部、南坪県。

本体 72,000 ha
緩衝地帯 60,000 ha(本体の約0.83倍)
登録 1992年、基準 (vii)だけ=1つ
dossier 637(bis / ter / rev なし)
保存状況報告 1年分(1998年)
ほかの保全の仕組み 1つの仕組み / 1要素——生物圏保存地域(九寨溝)
GIS データ 未受領
ページのタブ `Best Practice` がある
訳のある言語 8つ(日本語を含む)

基準が(vii)だけ

遺産 基準 数
九寨溝637 (vii) 1つ
バーバートン1575(30章)/ヘーガ・クステン898(30章) (viii) 1つ
ブナ原生林1133(5章)/ティグローヴァヤ・バルカ1685(38章) (ix) 1つ
エル・ビスカイノ554(39章)/黄海と渤海湾1606(33章) (x) 1つ

基準(vii)だけの資産は、これまで読んだ241件でここだけです。自然の基準が一つだけの資産は七つになり、四つの基準がそれぞれ単独で付く例がそろいました。

資産名に「歴史的」が入るのに、基準は(vii)だけ

資産名 `Jiuzhaigou Valley Scenic and Historic Interest Area`(景観的・歴史的重要地区)
基準 (vii)だけ(自然美と最高の現象)

名前に「歴史的(Historic)」が入っていても、歴史を根拠にする基準は付いていません。中国の国内制度の区分(風景名勝区)の訳と読めますが、一次資料は説明していないので推測しません。

`Best Practice` のタブがある

遺産 章
ロドス493 22章
カザン・クレムリン980 25章
九寨溝637 31章

241件で三つ目です。タブは顕著な普遍的価値の本文ではないので本文と分けて記録し、中身までは本文からは分かりません。

高さが二通りに書かれる — 4,800 m と4,752 m

どこ 高さ
説明文 「4,800 m を超える高さに達する」
概要 「南ミンシャン山脈において4,752 m の高さに達する」

差は48 m です。説明文は「超える」と幅のある書き方、概要は一点の数なので、どちらかが誤りとは書かれていません。両方を記録します。

ほかの数

もの 数
本体 72,000 ha(説明文・概要とも「72,000 ha」)
緩衝地帯 60,000 ha(本体より狭い)
鳥 約140種(説明文)
登録の時点の居住者 六つの村に約800人
管理局の部門 21

何が書かれているのか

九寨溝景観的・歴史的重要地区は、水晶のように澄んだ、奇妙な色の青、緑、紫がかった水たまり、湖、滝、石灰岩のテラス、洞窟とほかの美しい特徴の妖精の国の景観のまわりに、針葉樹林の上にそびえる壮観な鋸歯状の高山の山々を伴う、例外的な自然の美しさの保護区である。

「妖精の国の景観(a fairyland landscape)」という語が概要と基準(vii)の二度使われます。評語をそのまま写し、こちらの語に置き換えません。

「自然の博物館」と書かれる

これらには多数のカルストの形成が含まれる。実に、この区域は高山カルストの水文学と研究のための「自然の博物館(a “natural museum”)」である。

一次資料が引用符つきで「自然の博物館」と書きます。30章で読んだ「古典の産地」(ジャイアンツ・コーズウェイ369)や「今日の類似物」(レンソイス1611)と同じく、その場所が科学にとって何であるかを呼び名で書く型です。

「よく保存された第四紀の氷河の遺物の重要な数」と「大きな景観の価値」も概要に書かれます。

ジャイアントパンダとターキン(四川ターキン)、「数多くの脅威にある植物と動物の種」の生息地になる「古い成長の森(old-growth forests)」を含むとされますが、基準(x)は付いていません。本文に書かれていることと、付いている基準は別です。

完全性 — 住む人を「自発的な合意で徐々に減らす」方針

林業で傷んだが回復している

九寨溝はその自然の美しさを示し守るのに必要なすべての要素を含み、緩衝地帯に囲まれている。遺跡は以前の林業の活動によって部分的に劣化したが、植林と、水質、大気の質、森林を守ることを含む厳格な管理を通じて回復しつつある。

「緩衝地帯に囲まれている(surrounded by buffer zones)」と複数形で書かれます。一覧の緩衝地帯は60,000 ha の一つの数ですが、本文は複数形なので、語をそのまま写します。

住む人を減らす方針が書かれる

登録の時点で、六つの村に約800人の居住者が遺跡の内側に住んでいた。方針は、保護区の内側の人の人口を徐々に減らすための自発的な合意を求めること(to seek voluntary agreement to gradually reduce the human population within the reserve)である。

資産の中に住む人について、人口を減らす方針が書かれる資産は、これまで読んだ241件でここだけです。

遺産 資産の中に住む人 書かれ方
九寨溝637 約800人(六つの村) 「自発的な合意」で徐々に減らす
レンソイス1611(30章) 4,000人超 権利が守られる必要がある(「約束の条項」で公式に認める)
ヘーガ・クステン898(30章) 約7,000人 「地質の価値に無視できる影響しか持たない」

「減らす」「権利を守る」「影響が小さい」はまったく別の扱いです。どの向きで書かれているかを読みます。「自発的な合意を求める」は強制ではないと書かれていますが、一次資料は実際にどれだけ減ったかを書いていないので、結果は未確認のままにします。

保護管理 — 省の条例が「世界遺産の保護」を名に持ち、管理局に21の部門がある

省と自治州の条例が世界遺産を名指しする

2004年に、四川省における世界遺産保護に関する四川省条例と、アバ自治州における四川省世界遺産保護条例の実施に関する条例が法になり、資産の保護のためのより厳格な根拠を与えた。

国の法ではなく省と自治州の条例が「世界遺産保護」を名に持つ資産です。

遺産 世界遺産を名指しする仕組み 水準
九寨溝637 四川省条例とアバ自治州の実施条例(2004年) 省と自治州
バーバートン1575(30章) 世界遺産条約法1999 国
ジャイアンツ・コーズウェイ369(30章) 二つの計画方針声明(PPS) 国と地域
ブランクーシ1473(25章) 法564/2001 国
ポツダムとベルリン532(26章) 地区の規程 州と行政区

「国の法」「省の条例」「地区の規程」「計画方針」は別の水準です。どの水準の文書かまで読みます。

管理局に21の部門がある

設立 2006年、九寨溝世界遺産遺跡管理局
役割 「アバ州の四川省世界遺産保護条例実施の指針に遺跡が従うことを確かにする」
部門の数 21
挙げられる部門 自然保護部門/多分野の科学部門/計画建設部門/住民管理室(a resident management office)

部門の数が書かれる資産は、これまで読んだ241件でここだけです。とくに「住民管理室」があることは、完全性の節の「人口を徐々に減らす方針」と並べて読めます。ただし一次資料は二つを結びつけていないので、こちらから因果を足しません。

研究が管理の方針のもとになる

計画 九寨溝国立公園一般計画が国の政府によって承認され、「公園の資源のための詳しい監視計画」を含む
監視するもの 水資源/生物多様性/森林の害虫と病気/気象と気候
研究 科学部門が「国内と国際の大学と研究者との協働の研究に密接に関わる」
研究の対象 九寨溝の石灰華(tufa)の堆積物の進化/大気と水の質/考古学/草地の再植林と生物多様性/人と景観の相互作用
使い方 「これらの研究の事業の結果が新しい管理の方針の基礎をなす」

研究の結果が管理の方針のもとになると書かれる資産です。30章の資産では「その場所が科学にとって何であるか」が価値の根拠として書かれましたが、637 は研究が管理の仕組みに組み込まれていることを書きます。価値の根拠としての科学と、管理の道具としての科学は別です。

研究の対象に考古学が入ります。基準は(vii)だけなので、考古学は価値の根拠として書かれていないのに研究と監視の対象には入っています。

観光が課題として書かれる

「計画は、増大する観光の開発のもとでの生物多様性、伝統文化、環境の保護をも定める」。「観光の継続する成長は課題であり懸念である」とされ、「人の活動の影響を統制するための多くの改善の行動が、研究と監視の事業に基づいて行われてきた」と続きます。

2級で押さえること

本体72,000 ha/緩衝地帯60,000 ha=本体の約0.83倍、1992年登録、基準(vii)だけ=1つで241件でここだけ(自然の基準が一つだけの資産は七つになり、四つの基準がそれぞれ単独で付く例がそろった。)、dossier 637(bis / ter / rev なし)、保存状況報告1年分(1998年)、生物圏保存地域1要素(九寨溝)、GIS データ未受領、ページのタブに `Best Practice` がある(ロドス493・カザン・クレムリン980 に続いて241件で三つ目。)、訳のある言語は8つで日本語を含む。資産名に「歴史的」が入るのに基準は(vii)だけ——`Jiuzhaigou Valley Scenic and Historic Interest Area`(景観的・歴史的重要地区)。中国の国内制度の区分の訳と読めるが、一次資料は説明していないので推測しない。高さが二通りに書かれる——説明文「4,800 m を超える高さに達する」と概要「南ミンシャン山脈において4,752 m の高さに達する」で差は48 m。説明文は「超える」と幅のある書き方、概要は一点の数なので、どちらかが誤りとは書かれていない。両方を記録する。ほかの数は鳥が約140種(説明文)、登録の時点の居住者が六つの村に約800人、管理局の部門が21。「水晶のように澄んだ、奇妙な色の青、緑、紫がかった水たまり、湖、滝、石灰岩のテラス、洞窟」とほかの美しい特徴の「妖精の国の景観(a fairyland landscape)」のまわりに、針葉樹林の上にそびえる「壮観な鋸歯状の高山の山々」を伴う。「妖精の国の景観」は概要と基準(vii)の二度使われるので、評語をそのまま写す。「自然の博物館」と書かれる——「実に、この区域は高山カルストの水文学と研究のための『自然の博物館(a “natural museum”)』である」。30章の「古典の産地」(ジャイアンツ・コーズウェイ369)や「今日の類似物」(レンソイス1611)と同じく、その場所が科学にとって何であるかを呼び名で書く型。ジャイアントパンダとターキン、「数多くの脅威にある植物と動物の種」の生息地になる「古い成長の森」を含むとされるが基準(x)は付いていないので、本文に書かれていることと付いている基準は別。完全性は「九寨溝はその自然の美しさを示し守るのに必要なすべての要素を含み、緩衝地帯に囲まれている」と複数形で書く。一覧の緩衝地帯は60,000 ha の一つの数だが、本文は複数形なので語をそのまま写す。「遺跡は以前の林業の活動によって部分的に劣化したが、植林と、水質、大気の質、森林を守ることを含む厳格な管理を通じて回復しつつある」。住む人を減らす方針が書かれる——「登録の時点で、六つの村に約800人の居住者が遺跡の内側に住んでいた。方針は、保護区の内側の人の人口を徐々に減らすための自発的な合意を求めることである」。241件でここだけ。レンソイス1611(4,000人超。権利が守られる必要がある)・ヘーガ・クステン898(約7,000人。「無視できる影響」)とはまったく別の扱いなので、どの向きで書かれているかを読む。「自発的な合意を求める」は強制ではないと書かれているが、一次資料は実際にどれだけ減ったかを書いていないので結果は未確認のままにする。省と自治州の条例が世界遺産を名指しする——「2004年に、四川省における世界遺産保護に関する四川省条例と、アバ自治州における四川省世界遺産保護条例の実施に関する条例が法になり、資産の保護のためのより厳格な根拠を与えた」。国の法ではなく省と自治州の条例が「世界遺産保護」を名に持つ。バーバートン1575 の世界遺産条約法1999 は国、ジャイアンツ・コーズウェイ369 の PPS は国と地域、ポツダムとベルリン532 の規程は州と行政区で、どの水準の文書かまで読む。管理局に21の部門がある——2006年に設立された九寨溝世界遺産遺跡管理局が「アバ州の四川省世界遺産保護条例実施の指針に遺跡が従うことを確かにする」。21の部門のうち自然保護部門・多分野の科学部門・計画建設部門・住民管理室(a resident management office)が挙げられる。部門の数が書かれる資産は241件でここだけで、とくに「住民管理室」があることは完全性の節の「人口を徐々に減らす方針」と並べて読めるが、一次資料は二つを結びつけていないので因果を足さない。研究が管理の方針のもとになる——九寨溝国立公園一般計画が国の政府によって承認され「公園の資源のための詳しい監視計画」を含み、水資源・生物多様性・森林の害虫と病気・気象と気候を監視する。科学部門が「国内と国際の大学と研究者との協働の研究に密接に関わる」。研究の対象は石灰華の堆積物の進化・大気と水の質・考古学・草地の再植林と生物多様性・人と景観の相互作用で、「これらの研究の事業の結果が新しい管理の方針の基礎をなす」。30章の資産では科学が価値の根拠として書かれたが、637 は研究が管理の仕組みに組み込まれていることを書くので、価値の根拠としての科学と管理の道具としての科学は別。研究の対象に考古学が入るのに基準は(vii)だけなので、考古学は価値の根拠として書かれていないのに研究と監視の対象には入っている。「計画は、増大する観光の開発のもとでの生物多様性、伝統文化、環境の保護をも定める」「観光の継続する成長は課題であり懸念である」「人の活動の影響を統制するための多くの改善の行動が、研究と監視の事業に基づいて行われてきた」。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産が出てくるキーワード

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
カルスト地形溶ける岩が、その資産で何をしているか「基準(vii)だけ=1つ」

いまのところ、この遺産が出てくるキーワードは1つです。ゼミの試作46本で数えた話で、公式テキストの分類ではありません。

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。このキーワードの練習では、ほかの参加記事と並べて読みます——同じ論点が、別の資産でどう書かれているかを見るためです。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:九寨溝の資産の中に住む人について、完全性の節に書かれているのは?

  1. 資産の中に住む人については書かれていない
  2. 登録の時点で約800人が住んでいたが、その権利が守られる必要があると書かれている
  3. 人口を徐々に減らすための自発的な合意を求める方針である
  4. 住民の活動は景観の価値に無視できる影響しか持たないと書かれている
正解と解説を開く

正解:3.人口を徐々に減らすための自発的な合意を求める方針である

資産の中に住む人について、人口を減らす方針が書かれる資産は241件でここだけです。30章の二つ(権利を守る/影響が小さい)とはまったく別の扱いです。

確認2:九寨溝の基準について、一覧に書かれているのは?

  1. (vii)だけで、ほかの基準は付いていない
  2. 基準の行は無い
  3. (vii)(viii)の二つで、カルストの地形が地球の歴史の基準の根拠になっている
  4. (vii)(x)の二つで、ジャイアントパンダの生息地が生物多様性の基準の根拠になっている
正解と解説を開く

正解:1.(vii)だけで、ほかの基準は付いていない

基準(vii)だけの資産は、これまで読んだ241件でここだけです。ジャイアントパンダも石灰岩のテラスも本文に書かれますが、基準には出てきません。

確認3:九寨溝の管理局について、保護管理の節に書かれているのは?

  1. 管理局については書かれていない
  2. 2006年に設立されたが、部門は置かれておらず職員は数名だけであると書かれている
  3. 国の政府が直接管理しており、地方の管理局は置かれていないと書かれている
  4. 2006年に設立され、21の部門があり、そのなかに住民管理室が含まれる
正解と解説を開く

正解:4.2006年に設立され、21の部門があり、そのなかに住民管理室が含まれる

部門の数が書かれる資産は241件でここだけです。「住民管理室」があることは完全性の節の方針と並べて読めますが、一次資料は二つを結びつけていないので因果を足しません。

確認4:九寨溝が「自然の博物館」と呼ばれているのは、何のためだと概要に書かれているのは?

  1. 「自然の博物館」という語は使われていない
  2. 高山カルストの水文学と研究のため
  3. ジャイアントパンダとターキンの繁殖と展示のためであると書かれている
  4. 第四紀の氷河の遺物を展示する施設が園内にあるためであると書かれている
正解と解説を開く

正解:2.高山カルストの水文学と研究のため

その場所が科学にとって何であるかを呼び名で書く型です。30章の「古典の産地」(369)や「今日の類似物」(1611)と同じ軸です。

参考資料

確認日:2026年10月28日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。