カムチャツカ火山群

雪をかぶった、きれいな円錐形の火山。
d345 / Adobe Stock(通常ライセンス) / 出典 / 加工: 長辺1800pxへ縮小し WebP へ変換(切り取りなし)
登録年
1996年
所在国
ロシア
登録区分
自然遺産
地域
アジア
登録基準
(vii) (viii) (ix) (x)

どこにあり、何が登録されたのか — 自然の4基準がそろう十件目

ロシア連邦、カムチャツカ半島。六つの遺跡からなる連続性資産。

本体 3,995,769.37 ha(小数点以下二桁)
緩衝地帯 一覧に行が無い
登録 1996年、重要な境界の変更:2001年
基準 (vii)(viii)(ix)(x)=4つ(自然の4基準がそろう)
区分 自然遺産
dossier 765bis
シリアル `Serial: yes`(六つの遺跡)
保存状況報告 22年分(1997〜2026年)
動画 1件(UNESCO/NHK)
お知らせ 2件(2001年の登録と、2007年6月4日「カムチャツカ火山群世界遺産の遺跡での激流の地滑り」)
リンク 10件(クロノツキー保護区、Kronoki の Facebook/Instagram/VKontakte、Vulcanikamchatki の二つ、UNEP-WCMC、WDPA、Protectedplanet.net。うち五つに「ロシア語のみ」の断り)
ほかの保全の仕組み 1つの仕組み / 1要素——生物圏保存地域(Kronotskiy)
訳のある言語 8つ(英・仏・アラビア・中・露・西・日・蘭)

自然の4基準がそろう資産は十件目です。本体が約400万 ha で、これまで読んだなかで大きいほうです。本体が小数点以下二桁まで書かれます。

顕著な普遍的価値の節が `Justification for Inscription`

この資産のページには `Outstanding Universal Value` の節がありません。代わりに `Justification for Inscription`(登録の正当化) の節があります。

あるもの 無いもの
`Justification for Inscription` `Outstanding Universal Value`
Criterion (viii)・(ix)・(vii)・(x) の各文 `Brief synthesis`
`Notes` `Integrity`(完全性)
— `Protection and management requirements`(保護管理)

完全性の節も保護管理の節もありません。38章のウランゲリ島1023 と同じ型です(あちらも `Justification for Inscription` だけ)。765 は1996年の登録で、2001年に重要な境界の変更があったのに、節の構成は古い形のままです。だからこの資産では、完全性・真正性・法令・管理計画・管理の主体・脅威が書けません。19章のシーギリヤ202 と同じ扱いにします。

基準の並び順が、一覧と違う

どこ 基準の並び
一覧 (vii)(viii)(ix)(x)
本文 (viii) → (ix) → (vii) → (x)

本文の基準の並び順が一覧と違う資産です。これまで読んだ273件で初めてです。理由は書かれていませんが、本文の書き方から読めることがあります。

委員会は、カムチャツカ火山群を、世界の火山の地域のもっとも傑出した例の一つとして、自然の基準(vii)、(viii)、(ix)に基づいて登録した。

読めること
登録の時点の基準 (vii)(viii)(ix)の三つ(冒頭の文)
(viii)と(ix)の文が「拡張」について書く 「クリュチェフスコイ自然公園を遺跡の六つ目の構成要素として加えたこと」が基準(viii)を満たす。「拡張された遺跡は生物学的に六つの島に類似し」(基準(ix))
(vii)の文も拡張に触れる 「クリュチェフスコイ自然公園は、遺跡の全体が基準(vii)を満たすことにきわめて意義深く寄与する」
(x)の文は拡張に触れない 固有種と鳥と鮭の話だけ

(viii)(ix)(vii)が「拡張がこの基準を満たす」という形で書かれ、(x)だけが別の形です。拡張の審査の文がそのまま並んでいると読めますが、一次資料はそう書いていません。ゼミは一覧の並び((vii)(viii)(ix)(x))を正とし、本文の並びを別に記録します。

`Notes` が基準の追加を書く

資産が拡張された時点で、自然の基準(iv)も適用できると分かった。

`Notes` が基準の追加を書く形です。しかも旧い番号(自然の基準(iv))で書かれます。1994年より前の自然の基準は N (i)〜N (iv) の四つでした(31章のプリトヴィツェ98・32章のヨセミテ308 の `Notes` で読んだとおり)。N (iv) はいまの(x)に当たると読めますが、一次資料は対応を書いていません。一覧はいまの番号で(vii)(viii)(ix)(x)と書きます。古い番号と新しい番号を混ぜず、`Notes` の記述をそのまま引きます。`Notes` の型が七つになりました。

型 遺産
①拡張と改名 マルタ132・ガウディ320
②越境資産への編入 ローマ帝国の境界線430
③基準の番号の変更 プリトヴィツェ98・ヨセミテ308
④二つの資産の再構成 テ・ワヒポウナム551
⑤拡張元の名と改名が二行で並ぶ ゴンドワナ雨林368
⑥再推薦 ンゴロンゴロ39
⑦基準の追加(旧い番号で) カムチャツカ火山群765

四つの基準が、別のものを根拠にする

基準 何を根拠にするか
(viii) 拡張の寄与——「クリュチェフスコイ自然公園を遺跡の六つ目の構成要素として加えたことは、カムチャツカの自然の特徴の範囲の全体の覆いにさらに加わる」。「遺跡への追加は、地質の過程と地形の傑出した例としてそれ自体の権利で明確に基準(viii)を満たす」
(ix) 島に似た孤立——「拡張された遺跡は生物学的に六つの島に類似し、大きな大陸の陸塊と太平洋のあいだという地理の位置が唯一無二の特徴を与えてきた」。「進行する火山の活動と定着とともに自然の過程が続く」
(vii) 景観と現象——「大きな対称の火山、湖、野生の川、壮観な海岸線」。「鮭の産卵域と、ベーリング海の海岸地帯沿いの野生生物の主要な集中(海鳥のコロニーなど)の形の至高の自然現象」
(x) 数と割合——「とくに多様な旧北区の植物相(国で絶滅の危機にあるいくつもの種と少なくとも16の固有種を含む)」。オオワシ(世界個体群の50%)、オジロワシ、シロハヤブサ、ハヤブサ。「遺跡の内部と隣接する川は、世界で知られているもっとも多様な鮭科の魚を含む。11種すべてがカムチャツカのいくつもの川で共存する」

基準(ix)の「生物学的に六つの島に類似し」を記録します。六つの遺跡が互いに離れているので、生物にとっては島のようだという読みです。シリアルの構成が生態の説明に使われる形です。割合の分母を読みます——「世界個体群の50%」の分母は世界のオオワシの個体群です。「11種すべてが……共存する」は、種の数と共存の両方を書きます。「世界で知られているもっとも多様な」は「知られている」の限定つきです。基準(vii)が「鮭の産卵域」を自然現象として挙げる点も記録します。美しさだけでなく、生き物の集まる現象が(vii)の根拠に入ります。

節が無い資産を、どう扱うか

書けることと、書けないこと

項目 書けるか
登録年・重要な境界の変更の年・基準・dossier 書ける(一覧から)
本体の面積 書ける(3,995,769.37 ha)
緩衝地帯 書けない(一覧に行が無い)
構成要素の数 書ける(六つ。説明文と基準(viii)から)
六つの名前 一つだけ書ける(クリュチェフスコイ自然公園。ほかの五つは書かれない)
四つの基準の根拠 書ける
完全性・保護管理 書けない(節が無い)
脅威・法令・管理計画・管理の主体 書けない(節が無い)

六つの遺跡のうち、名前が分かるのは一つだけです。基準(viii)と(ix)が「六つ目の構成要素」として挙げるクリュチェフスコイ自然公園だけで、ほかの五つは書かれていません。リンクに「クロノツキー保護区」があり、ほかの保全の仕組みに「生物圏保存地域(Kronotskiy)」があるので、クロノツキーも構成要素と読めますが、一次資料は基準の文と結びつけていません。一覧とリンクに名前があることまでを記録します。お知らせの2007年6月4日が「激流の地滑り」を伝えます。保存状況報告が22年分(1997〜2026年)あり、2007年も含みますが、一次資料は二つを結びつけていません。本文に脅威の節が無いので、お知らせと報告の年だけが手がかりです。

同じ章のほかの資産と比べる

遺産 節の構成
カムチャツカ火山群765 `Justification for Inscription` と四つの基準の文と `Notes` だけ(完全性も保護管理も無い)
スルツェイ1267 見出しの無い概要+Criterion (ix)+Integrity+Protection and management requirements
済州1264 見出しの無い概要+Criterion (vii)(viii)(保護管理の記述が基準(viii)の節の中にある)
プレ山1657 四つ(Brief synthesis / Integrity / Protection and management requirements と二つの基準)

同じ章の4件で、節の構成が四通りに分かれます。1657 だけが現在の標準の形です。ほかの三つはそれぞれ違う形で、登録年は1996年(765)・2007年(1264)・2008年(1267)・2023年(1657)なので、新しいほど標準に近いと読めますが、一次資料はそう書いていません。ゼミの原稿では、765 について「一覧と四つの基準の文と `Notes` から読めること」だけを書きます。書かれていないことを、ほかの資産の型から推測して埋めません。

2級で押さえること

本体3,995,769.37 ha(小数点以下二桁)/緩衝地帯は一覧に行が無い、1996年登録・重要な境界の変更2001年、基準(vii)(viii)(ix)(x)=4つで自然の4基準がそろう十件目、区分は自然遺産、dossier 765bis、`Serial: yes`=六つの遺跡、保存状況報告22年分(1997〜2026年)、動画1件、お知らせ2件(2001年の登録と2007年6月4日の「激流の地滑り」)、リンク10件(うち五つに「ロシア語のみ」の断り)、ほかの保全の仕組みは生物圏保存地域1要素(Kronotskiy)、訳のある言語は8つ。顕著な普遍的価値の節が `Justification for Inscription`——`Outstanding Universal Value` も `Brief synthesis` も無く、完全性の節も保護管理の節も無い。38章のウランゲリ島1023 と同じ型で、1996年の登録で2001年に重要な境界の変更があったのに節の構成は古い形のまま。基準の並び順が一覧と違う——一覧は(vii)(viii)(ix)(x)、本文は(viii)→(ix)→(vii)→(x)。273件で初めて。冒頭の文は「自然の基準(vii)、(viii)、(ix)に基づいて登録した」と三つしか挙げず、(viii)(ix)(vii)の文は「拡張がこの基準を満たす」形で書かれ、(x)だけが別の形(固有種と鳥と鮭の話だけ)。`Notes` が基準の追加を書く——「資産が拡張された時点で、自然の基準(iv)も適用できると分かった」で、旧い番号で書かれる。N (iv) はいまの(x)に当たると読めるが一次資料は対応を書かない。`Notes` の型が七つになった。四つの基準の根拠——(viii)はクリュチェフスコイ自然公園を六つ目の構成要素として加えたこと(「それ自体の権利で明確に基準(viii)を満たす」)/(ix)は「生物学的に六つの島に類似し」(シリアルの構成が生態の説明に使われる。)/(vii)は大きな対称の火山・湖・野生の川・壮観な海岸線と、鮭の産卵域とベーリング海沿いの野生生物の集中/(x)は少なくとも16の固有種、オオワシ(世界個体群の50%)、「世界で知られているもっとも多様な鮭科の魚。11種すべてがカムチャツカのいくつもの川で共存する」。六つの遺跡のうち名前が分かるのは一つだけ(クリュチェフスコイ自然公園。リンクの「クロノツキー保護区」とほかの保全の仕組みの「Kronotskiy」も構成要素と読めるが、一次資料は基準の文と結びつけない。)。完全性・保護管理・脅威・法令・管理計画・管理の主体は書けないので、19章のシーギリヤ202 と同じ扱いにする。お知らせの2007年の地滑りと保存状況報告の年(2007年も含む)を結びつけない。同じ章の4件で節の構成が四通りに分かれ、1657 だけが現在の標準の形。

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:カムチャツカ火山群のページの節の構成について、正しいのは?

  1. 四つの節がすべてそろっているので、価値の根拠から完全性、真正性、法令、管理の体制までを一通り読み取れる
  2. 顕著な普遍的価値の節はあるが、基準の各文だけが欠けている
  3. `Justification for Inscription` だけで、完全性も保護管理の節も無い
  4. 完全性の節はあるが、保護管理の節が欠けているので法令が読めない
正解と解説を開く

正解:3.`Justification for Inscription` だけで、完全性も保護管理の節も無い

`Outstanding Universal Value` も `Brief synthesis` も無く、`Justification for Inscription` と四つの基準の文と `Notes` だけです。38章のウランゲリ島と同じ型で、1996年の登録で2001年に重要な境界の変更があったのに節の構成は古い形のままです。だからこの資産では、完全性・真正性・法令・管理計画・管理の主体・脅威が書けません。

確認2:カムチャツカ火山群の本文の基準の並び順について、正しいのは?

  1. 一覧とまったく同じ(vii)(viii)(ix)(x)の順で書かれているので、食い違いは無い
  2. 基準の各文は書かれておらず、一覧の番号だけが並んでいる
  3. 一覧には(viii)だけが載っていて、本文に四つの基準の文が書かれている
  4. 一覧の並びと違い、(viii)(ix)(vii)(x)の順で書かれている
正解と解説を開く

正解:4.一覧の並びと違い、(viii)(ix)(vii)(x)の順で書かれている

一覧は(vii)(viii)(ix)(x)ですが、本文は(viii)から始まり(ix)(vii)(x)と続きます。これまで読んだ273件で初めてです。冒頭の文は「自然の基準(vii)、(viii)、(ix)に基づいて登録した」と三つしか挙げ、(viii)(ix)(vii)の文は拡張がその基準を満たす形で書かれます。ゼミは一覧の並びを正とし、本文の並びを別に記録します。

確認3:カムチャツカ火山群の `Notes` に書かれているのは?

  1. 資産の名前が拡張の時点で変更されたことと、その旧名
  2. 拡張の時点で自然の基準(iv)も適用できると分かったこと
  3. 以前に登録されていた別の資産が、この資産の一部になったこと
  4. 基準の番号が1994年より前の表記から変更された経緯と、その決定の番号
正解と解説を開く

正解:2.拡張の時点で自然の基準(iv)も適用できると分かったこと

「資産が拡張された時点で、自然の基準(iv)も適用できると分かった」と書かれ、旧い番号で記されます。1994年より前の自然の基準は N (i) から N (iv) の四つでした。N (iv) はいまの(x)に当たると読めますが、一次資料は対応を書いていません。一覧はいまの番号で四つの基準を書くので、古い番号と新しい番号を混ぜません。

確認4:カムチャツカ火山群の六つの遺跡について、一次資料から分かるのは?

  1. 名前が分かるのは六つ目に加えられた一つだけである
  2. 六つすべての名前と面積が、基準の文の中に並んで書かれている
  3. 六つの遺跡の名前は一覧の下部に一覧の形で載っている
  4. 遺跡の数は書かれておらず、六つという数も読み取れない
正解と解説を開く

正解:1.名前が分かるのは六つ目に加えられた一つだけである

基準(viii)と(ix)が「クリュチェフスコイ自然公園を遺跡の六つ目の構成要素として加えた」と書くので、その一つだけが分かります。リンクに「クロノツキー保護区」があり、ほかの保全の仕組みに「生物圏保存地域(Kronotskiy)」がありますが、一次資料は基準の文と結びつけていません。六つという数は説明文と基準(viii)から読めます。

参考資料

確認日:2026年10月29日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。