クラドルビ・ナド・ラベムの儀式用馬車馬の繁殖と訓練の景観

登録年
2019年
所在国
チェコ
登録区分
文化遺産
地域
ヨーロッパ
登録基準
(iv) (v)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 馬1種のための景観

チェコ、エルベ(ラベ)川の氾濫原。ポラブスカー低地の中部。砂質の土壌、三日月湖、河畔林の残片がある平らな景観です。

登録されたのは、馬の繁殖と訓練という一つの目的のために作り変えられた景観そのものです。

要素
区画の構造と機能的な使い分け(牧草地・草地・森・耕地・公園)
道の網、並木道、列状に植えられた樹木と配置された群植、独立樹
水路の網
農場(ファームステッド)の建物群
それらの機能的な関係と結びつきを含む全体の構成

これらすべてが、ハプスブルク帝国宮廷の儀式で使われたバロックの輓馬・クラドルバー種の繁殖と訓練の必要に完全に応えている、とされます。景観の構成は、景観への意図的な芸術的取り組みの証だと書かれています。

1563年と1579年

1563年にハプスブルクの皇帝マクシミリアン2世が種馬場を創設し、1579年3月6日に後継の皇帝ルドルフ2世が宮廷種馬場(Imperial Court Stud Farm)としての特許状を与えました。

17世紀初め以来、種馬場は周囲の景観と密に関わりながら、ガラ・カロシエ型の儀式用馬車馬の繁殖に特化してきました——ひとえに宮廷の需要を満たすためです。資産内の歴史的な農場は今日まで稼働しており、この独特な景観の機能的な中心点をなしています。

なぜ「まれな例」なのか — 二つの文化的景観の統合

UNESCO はこの資産を、二種類の文化的景観の統合のまれな例と書いています。

種類 中身
生きて有機的に発展する景観 鍵となる機能が支配している
意図的に設計され作られた人工の景観 フランス式とイギリス式の造園建築の原理を用いている

そしてそれは特化した装飾農場——ferme ornée——の優れた例だとされます。

4章のほかの遺産は、ほとんどが「生きて発展してきた」側です。紅河ハニ族棚田群も景邁山古茶林もメイマンドもそうです。クラドルビはその上に「設計された庭園」が重なっている点が違います。

三部構成がいまも見分けられる

この河川域の歴史的な三部構成はいまも明らかに見分けられる、とされています。

部分 中身
ロマン派 古い蛇行跡と三日月湖を、後期の「ロマン派」の設計された景観に変えたもの
クラシシズム 「古典的」な規則正しい柵と樹木で区切られた牧草地、まっすぐな並木道
生産 クラドルプスキー用水に養われた灌漑水路の網、北側の森(さまざまな資源を供給)、それぞれ異なる機能をもつ農場、種馬場の建築、従属する村

基準(iv)は、絶対君主制が伸張していた時代のハプスブルクの発展とその表象の必要を例外的に反映していること、そして4世紀以上にわたるヨーロッパ固有の馬術文化の発展を物として反映する完全な例であることに対して認められています。

クラドルバーの馬は「生きている記念物(living monuments)」と見ることができると書かれています。

完全性 — 群れの規模が面積の根拠

完全性の根拠が、ほかの遺産と違います。

景観は今日まで、その歴史的な境界と面積の内で保存されてきた。その面積は、宮廷が定めた必要な数の訓練済み儀式用馬車馬を供給するのに要した群れの規模に、過去において対応していた。

「どれだけの馬が必要だったか」が、景観の広さを決めています。

実用的な性格は、構成の機能的完全性と主要な属性にいまも完全に表れているとされ、その属性が機能で並べられています。

属性 機能
牧草地 群れに見合う広さ
草地 干草の生産
耕地 穀物飼料の生産
森 建材と燃料に使う木材の生産
水 十分な給水
道と車道 手綱で馬車馬を訓練するのに必要
建物群 機能的に多様化した一そろい
知識 馬とその必要、その環境について数世紀かけて培われた伝統的知識

部分的にしか保存されていないもの

UNESCO は、保存の度合いを部分ごとに書き分けています。

クラシシズム部分の形式的構成の完全性は、部分的にしか保存されていません(並木の道、水路、牧区の格子など)。一方、モシュニツェのロマン派の絵画的な公園の構成は保存されています——馬車用の乗馬道から扇形に開ける眺望、遠近法の構成原理に従って配された豊富な独立樹と群植、かつての蛇行跡と三日月湖、氾濫原林の残片で自然に再生する河畔植生。北側の生産林の完全性は、馬の訓練に使われるまっすぐな伐開帯と林間の並木道の網に本質的に表れています。

「完全性が保たれている」と「部分的にしか保たれていない」が同じ資産の中で併記されます。

真正性 — 機能が続いていること、そして1876年の水路

この資産の真正性は「機能的真正性」として書かれています。

資産の機能的真正性は保存されてきた。景観はいまもガラ・カロシエ型の馬車馬、とくにクラドルバー種の繁殖と訓練に使われている。

クラシシズムとロマン派の設計要素をもつ三部構成は保存され、数世紀にわたる馬の繁殖と訓練の事業の必要を見分けられる形で反映しているとされます。

要素 真正性
線状の植栽(並木道・防風林・水路沿いの植栽) 在来種と全体の型の形で保存
水路の網 1876年と同じ構造で保存されている。維持には伝統的な材料を使う
牧柵 同様の考え方で維持
集落の歴史的な都市構造 近代の工業的な開発に損なわれておらず、田園との元来の結びつきが保存されている

「1876年と同じ構造」という書き方に注目します。真正性は「古いままである」ことではなく、何がいつの状態で保たれているかを特定して述べるものです。

2級で押さえること

馬1種のために作り変えられた景観。1563年に種馬場創設、1579年3月6日に宮廷種馬場の特許状。二種類の文化的景観(生きて発展する/意図的に設計された)の統合のまれな例で、ferme ornée(装飾農場)の優れた例。完全性の根拠が「宮廷が求めた馬の数に見合う群れの規模」——必要な馬の数が景観の広さを決めている。クラシシズム部分の完全性は部分的にしか保存されていないと書き分けられている。真正性は機能的真正性で、水路の網は1876年と同じ構造。

準1級 準1級向けに理解を深める

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文化的景観「文化的景観」が、その資産で何を決めているか「二種類の文化的景観の統合のまれな例」

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級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:クラドルビ・ナド・ラベムの景観が「まれな例」とされる理由は?

  1. 一つの馬の品種のためだけに作られた景観であること
  2. 16世紀の創設以来、境界が一度も変更されていないこと
  3. 生きて有機的に発展する景観と、フランス式・イギリス式の造園原理で意図的に設計された人工の景観という、二種類の文化的景観の統合であること
  4. ハプスブルク家が直接所有した景観として唯一残っているもので、宮廷の表象の必要がそのまま保存されており、所有も当時から変わっていないこと
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正解:3.生きて有機的に発展する景観と、フランス式・イギリス式の造園原理で意図的に設計された人工の景観という、二種類の文化的景観の統合であること

UNESCO は二種類の文化的景観の統合のまれな例と書いています——鍵となる機能が支配する、生きて有機的に発展する景観と、フランス式とイギリス式の造園建築の原理を用いて意図的に設計され作られた人工の景観。そしてそれは特化した装飾農場(ferme ornée)の優れた例だとされます。4章のほかの遺産はほとんどが「生きて発展してきた」側だけです。

確認2:クラドルビ・ナド・ラベムの完全性で、景観の面積の根拠とされているものは?

  1. 宮廷が定めた必要な数の訓練済み儀式用馬車馬を供給するのに要した群れの規模
  2. エルベ川の氾濫原の地形が自然に区切る範囲
  3. 1579年の特許状が定めた領地の広がり
  4. 三部構成(ロマン派・クラシシズム・生産)のそれぞれに必要な面積を合算した広さで、造園の構成が面積を決めている
正解と解説を開く

正解:1.宮廷が定めた必要な数の訓練済み儀式用馬車馬を供給するのに要した群れの規模

UNESCO は、景観が歴史的な境界と面積の内で保存されてきたとし、その面積は宮廷が定めた必要な数の訓練済み儀式用馬車馬を供給するのに要した群れの規模に、過去において対応していたと書いています。どれだけの馬が必要だったかが、景観の広さを決めています。完全性の属性も、群れに見合う牧草地・干草用草地・穀物飼料の耕地など、機能で並べられています。

確認3:クラドルビ・ナド・ラベムの完全性について、UNESCO が「部分的にしか保存されていない」としているものは?

  1. モシュニツェのロマン派の公園の構成
  2. 北側の生産林の伐開帯と林間の並木道の網
  3. 農場の建物群で、19世紀初め以来の馬車馬の繋養の要件を反映する部分が失われている
  4. クラシシズム部分の形式的構成の完全性
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正解:4.クラシシズム部分の形式的構成の完全性

クラシシズム部分の形式的構成の完全性は部分的にしか保存されていません(並木の道、水路、牧区の格子など)。一方でモシュニツェのロマン派の絵画的な公園の構成は保存されており、北側の生産林の完全性も馬の訓練に使われるまっすぐな伐開帯と林間の並木道の網に表れています。農場の建物群は近年修復されています。保存の度合いが部分ごとに書き分けられています。

確認4:クラドルビ・ナド・ラベムの真正性について、水路の網に関して書かれていることは?

  1. 近代の工法で作り替えられたため、真正性の根拠から外されている
  2. 1876年と同じ構造で保存されており、維持には伝統的な材料が使われている
  3. 創設時の16世紀の姿がそのまま残っている
  4. 灌漑の機能を失ったため埋め戻され、位置だけが記録に残されているので、真正性は牧柵と並木道の植栽だけで判断されている
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正解:2.1876年と同じ構造で保存されており、維持には伝統的な材料が使われている

水路の網は1876年と同じ構造で保存されており、維持には伝統的な材料が使われています。牧柵も同様の考え方です。この資産の真正性は機能的真正性として書かれ、景観がいまもガラ・カロシエ型の馬車馬の繁殖と訓練に使われていることが根拠です。真正性は「古いままである」ことではなく、何がいつの状態で保たれているかを特定して述べるものです。

参考資料

確認日:2026年10月26日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

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