基本を学ぶ
どこにあり、何が登録されたのか — 複合遺産で文化2+自然2
レソト王国と南アフリカ共和国の国境にまたがる。
| 本体 | 249,313 ha |
|---|---|
| 緩衝地帯 | 329,909 ha(本体の約1.32倍) |
| 登録 | 2000年、基準 (i)(iii)(vii)(x) |
| 重要な境界変更 | 2013年 |
| 軽微な範囲変更 | 2024年 |
| dossier | 985ter |
| 連続性資産 | はい(Serial: yes) |
| 区分 | 複合遺産(文化の(i)(iii)と自然の(vii)(x)) |
文化の基準が二つ、自然の基準が二つです。
13章の黄山547 も複合遺産でしたが、あちらは文化(ii)が一つ、自然(vii)(x)が二つでした。
| 遺産 | 複合遺産の基準の組み合わせ |
|---|---|
| マロティ・ドラーケンスベルク公園985 | 文化2((i)(iii))+自然2((vii)(x)) |
| 黄山547(13章) | 文化1((ii))+自然2((vii)(x)) |
| バンディアガラ516(6章) | 複合遺産 |
| パパハナウモクアケア1326(6章) | 複合遺産 |
| トンガリロ421(4章) | 複合遺産だが顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い |
二つの公園
| 公園 | 国 | 面積 |
|---|---|---|
| セフラバテベ国立公園 | レソト | 6,500 ha |
| ウカランバ・ドラーケンスベルク公園 | 南アフリカ | 242,813 ha |
合計249,313 ha で、「南部アフリカの大断崖に沿う最大の保護区域の複合体」とされます。
レソト側が全体の約2.6%です。構成要素の大きさがきわめて不均衡です。
水の分かれ目
マロティ・ドラーケンスベルク公園の山脈は、南部アフリカにおける主要な水の生産区域をなしている。 二つの国のあいだの国際境界に沿う区域が大断崖上に分水界を作り、それが南部アフリカの最大の二つの流域の分水嶺をなしている。
| 川 | 流れる先 |
|---|---|
| ツケラ川(ウカランバ・ドラーケンスベルク公園から) | 東へインド洋へ |
| センクー/オレンジ川(セフラバテベ国立公園を含む南マロティ・ドラーケンスベルクの川) | 西へ大西洋へ |
国境が分水界になっており、二つの大洋へ水が分かれます。
「セフラバテベ国立公園を含める拡張が、この区域に特別な水文の性質を加えている」とされます。
四つの基準 — 岩絵と自然美が一つの資産に
岩絵の数
その手つかずの急斜面の川の谷と岩の峡谷を伴い、資産は推定690の岩絵の遺跡を含む多数の洞窟と岩陰を持つ。それらの遺跡の個々の図像の数はおそらく35,000を超える。
| 岩絵の遺跡 | 推定690 |
|---|---|
| 個々の図像 | おそらく35,000超 |
| サンの人びとが描いた期間 | 4,000年にわたって |
図像は動物と人間を描き、サンの人びとの霊的な生活を表し、数千年にわたる彼らの信仰と宇宙観を体現する例外的に一貫した伝統を表している。
19世紀と20世紀に遡る岩絵もあり、バントゥー語を話す人びとに帰せられる。
サン以外の人びとの岩絵も含まれています。
自然の側
| 固有植物種 | 250を超える |
|---|---|
| 高標高の湿地 | 標高2,750 m を超える広範なもの。ラムサール遺跡である |
| 鳥 | 重要野鳥生息地と同定され、レソト高地固有鳥類生息地の決定的な一部をなす |
四つの基準
| 基準 | 中身 |
|---|---|
| (i) | サハラ以南のアフリカにおける最大かつもっとも集中した岩絵の群であり、主題の質と多様さの両方で顕著である |
| (iii) | サンの人びとは山地のマロティ・ドラーケンスベルク区域に四千年を超えて住み、顕著な岩絵の集成を残した。それが彼らの生き方と信仰に多くの光を投げる唯一無二の証言を与えている |
| (vii) | そびえ立つ玄武岩の稜堡、鋭く劇的な切り込み、金色の砂岩の城壁を伴う例外的な自然美。うねる高標高の草原、手つかずの急斜面の川の谷、岩の峡谷も遺跡の美に寄与する |
| (x) | 生物多様性の原地保全のための著しい自然の生息地を含む。世界的な植物多様性と固有性の中心として認められ、それ自身の植物地理区——南アフリカのドラーケンスベルク高山区——の中にある。キバネセキレイのような世界的に脅威にある種の出現で注目される |
文化の基準と自然の基準が、同じ洞窟と岩陰の景観を違う角度から述べています。
完全性と真正性 — 保全しないことが真正性を保つ
完全性
ウカランバ・ドラーケンスベルク公園は、1903年から1973年のあいだに設定された12の保護区域からなり、実効的な保全管理の長い歴史を持つ。面積242,813 ha を覆い、自然の区域として生き延び自然の価値を維持するのに十分な大きさである。 四つの宣言された原生自然区域を含み、公園のほぼ50%である。
| 脅威 | 中身 |
|---|---|
| 外部の土地利用 | 農業、植林、エコツーリズムを含む。ただしエゼムヴェロ・クワズールー・ナタール野生生物と在地の関係者のあいだの合意が、これらの脅威を管理するために実施されている |
| ほか | 侵略的種、火、インフラの開発、土壌侵食、脆弱な高山の小道への観光客の影響、そして密猟 |
| レソト側 | 国境を越えた山の生態系の正式な保護の欠如(セフラバテベ国立公園の緩衝地帯の外)が、これらの脅威を悪化させている |
一方の国で保護が欠けていることが脅威を悪化させると書かれています。
境界の空隙
登録のときに浮き彫りになった境界の問題には、公園の北部とはるかに大きな南部のあいだにある、アマングワネとアマジジ伝統評議会に属する空隙が含まれた。 生態的な完全性を維持するため標高1,650 m の等高線より上の開発を制限する計画の仕組みがある。 アマングワネとアマジジ伝統評議会とエゼムヴェロ・クワズールー・ナタール野生生物とのあいだの協力協定を策定する過程が進行中である。
資産の中に、別の主体に属する空隙があります。
越境平和公園
完全性を強めるための重要な一歩は、マロティ・ドラーケンスベルク越境保全開発区域(MDTFCA)の策定であった。それは、レソトのセフラバテベ国立公園(SNP)とウカランバ・ドラーケンスベルク公園を結ぶ「越境平和公園(Transboundary Peace Park)」の重要性を認めてきた。 クワズールー・ナタールとレソトの両方の事業調整委員会が、計画の過程で協力している。
「平和公園」という呼び名が使われる資産は、これまで読んだ101件でここだけです。
真正性 — 何もしないことが正の要因
マロティ・ドラーケンスベルク公園における岩絵の遺跡とその自然の環境の統合は、環境、立地、雰囲気において、また材料、実体、職人技においても、きわめて強い真正性の感覚を伝えている。
資産の大きな部分で、体系的な保全または固めの処置が試みられていないことは、正の要因として留意されるべきである。それは岩絵の遺跡をおそらくより脆いままにしたが、可能なかぎり最大の程度の真正性をもって残した。
「何もしなかったことが正の要因」と書かれています。
24章の真珠採取1364 は「保全が過剰に行われれば、建物がいま呼び起こしている記憶を消し去りうる」でした。マロティ985 は「試みられていないことが正の要因」です。
| 遺産 | 保全しないことの扱い |
|---|---|
| マロティ・ドラーケンスベルク公園985 | 体系的な保全が試みられていないことは正の要因。より脆いが、最大の程度の真正性をもって残した |
| 真珠採取1364 | 保全が過剰に行われれば、記憶を消し去りうる |
| ブナ原生林1133 | 厳格な不介入が本質的 |
| 雲岡石窟1039 | 最小介入の保全原則に従ってきた |
このサンの岩絵の伝統は後期石器時代の終わりに終わるのではなく続いており、コイと鉄器時代の人びとの両方に関連する遺跡で表されている。
紫外線と風化の図像への潜在的な影響が、色の退色と図像の内容の明確さの低下につながりうる。それは今度は、その意味を示す能力を減じうる。サンの人びとによって理解されたとおりの図像の内容の解釈を、解説の資料が助けることが重要である。
誰が守っているか — 採掘の完全禁止と、自然と文化の均衡
二国の法
管理は統合管理計画と補助の計画に導かれ、両国の多数の法に従って行われます。
| 国 | 法 |
|---|---|
| 南アフリカ | 世界遺産条約法1999/国家遺産資源法1999/国家環境管理:保護区域法2003/国家環境管理生物多様性法2004/クワズールー・ナタール自然保全管理改正法1999 |
| レソト | 狩猟保存布告1951/歴史記念物・遺物・動植物法1967/国家遺産法2011/環境法2008 |
ほかに世界遺産条約の作業指針、レソトの環境方針、エゼムヴェロKZN野生生物の方針も挙げられています。
二つの評価が両方必要
この法令の点で、資産内またはその緩衝地帯内のすべての開発は、それぞれ環境影響評価と遺産影響評価の対象となる。どちらも資産の顕著な普遍的価値を考慮する。
複合遺産なので、環境と遺産の二つの評価が両方必要です。
採掘の完全禁止
加えて、すべての世界遺産は保護区域として認められており、それは採掘または試掘が資産内または宣言された緩衝地帯内で行われることが完全に禁じられることを意味する。
「完全に禁じられる」と書かれています。
23章のポトシ420 は逆に、標高4,400 m と 4,700 m のあいだの探査・採掘を止めるための政令の改正が長期の必要に挙げられていました。こちらは既に完全禁止です。
さらに、資産への潜在的な影響を伴ういかなるふさわしくない開発も、環境と文化を所管する南アフリカとレソトの大臣によって許可されない。
火と侵略的種
侵略的種と火が主要な管理の課題である。これは公園の生態的な完全性に、またその湿地と川の体系からの水の産出にも脅威をもたらす。 侵略的種の管理と火の管理の相互作用も、固有のカエルのような火に敏感な動物への火の影響を考慮して、注意深く検討されるべきである。
「固有のカエル」が具体的に挙げられています。
3章のイエローストーン28 は「落雷起源の火災を燃えるままにする」、メサ・ヴェルデ27 は「野火のあとの侵食」、24章のブリッゲン59 は「火災の危険」でした。マロティ985 は「火とカエル」です。
自然と文化の均衡
自然と文化の管理のあいだの公平な均衡を確かにする必要がある——世界遺産資産の管理に十分な文化遺産の専門知識を組み込み、責任ある文化遺産の当局に目録・保全・監視の仕事のための十分な予算を与えることによって。
複合遺産で、自然と文化の均衡が課題として書かれる資産は、これまで読んだ101件でここだけです。
これは、すべての土地管理の過程が絵を尊重し、満足できる自然のシェルターが岩絵の遺跡に与えられ、岩絵の図像の監視がふさわしく資格を持つ保存家によって定期的に行われ、絵へのアクセスが十分に規制されることを確かにする。
さらに、資産内の環境に影響するいかなる提案された開発についても、遺産影響評価が環境影響評価と併せて行われることを確かにする必要がある。
ラムサール(ナタール・ドラーケンスベルク公園)が記録されています。
2級で押さえること
複合遺産で基準は(i)(iii)(vii)(x)——文化2+自然2(13章の黄山547 は文化1+自然2)。レソト+南アフリカの越境資産、本体249,313 ha・緩衝329,909 ha、2000年登録、2013年に重要な境界変更、2024年に軽微な範囲変更(dossier は 985ter)。レソトのセフラバテベ国立公園(6,500 ha)+南アフリカのウカランバ・ドラーケンスベルク公園(242,813 ha)で、レソト側は全体の約2.6%。南部アフリカの大断崖に沿う最大の保護区域の複合体。国際境界に沿う区域が大断崖上に分水界を作り、ツケラ川は東へインド洋、センクー/オレンジ川は西へ大西洋へ流れる。推定690の岩絵の遺跡と、おそらく35,000を超える個々の図像。サンの人びとが4,000年にわたって描いた。19世紀と20世紀の岩絵はバントゥー語を話す人びとに帰せられる。250を超える固有植物種、標高2,750 m を超える高標高の湿地はラムサール遺跡。ウカランバ・ドラーケンスベルク公園は1903年から1973年のあいだに設定された12の保護区域からなり、四つの原生自然区域が公園のほぼ50%。レソト側の国境を越えた山の生態系の正式な保護の欠如が脅威を悪化させている。資産の中に、アマングワネとアマジジ伝統評議会に属する空隙がある(標高1,650 m より上の開発を制限する仕組み)。マロティ・ドラーケンスベルク越境保全開発区域(MDTFCA)が「越境平和公園」の重要性を認めてきた。真正性で「資産の大きな部分で、体系的な保全または固めの処置が試みられていないことは、正の要因として留意されるべきである。それは岩絵の遺跡をおそらくより脆いままにしたが、可能なかぎり最大の程度の真正性をもって残した」——何もしなかったことが正の要因。すべての世界遺産は保護区域として認められ、採掘または試掘が資産内または宣言された緩衝地帯内で行われることが完全に禁じられる。侵略的種と火が主要な管理の課題で、固有のカエルのような火に敏感な動物への影響を考慮すべきとされる。自然と文化の管理のあいだの公平な均衡を確かにする必要がある——複合遺産でこれが課題として書かれるのは101件でここだけ。
準1級
準1級向けに理解を深める
準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。
この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます
| キーワード | このキーワードで見るもの | 本文の手がかり |
|---|---|---|
| 聖山 | 山を、一次資料がどんな役で書いているか | 「サンの人びとの霊的な生活を表し、数千年にわたる彼らの信仰と宇宙観を体現する」 |
| 人為的な環境問題 | 起きたことと、起こりうることの書き分け | 「侵略的種と火が主要な管理の課題」 |
準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。
キーワードで練習する
級別の確認問題
2級 確認問題
答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。
確認1:マロティ・ドラーケンスベルグ公園の登録基準の組み合わせは?
- (vii)(x)のみで自然遺産
- (i)(iii)のみで文化遺産
- (i)(iii)(vii)(x)で、文化が1つ、自然が3つ
- (i)(iii)(vii)(x)で、文化が2つ、自然が2つ
正解と解説を開く
正解:4.(i)(iii)(vii)(x)で、文化が2つ、自然が2つ
(i)(iii)が文化、(vii)(x)が自然なので、文化2+自然2の複合遺産です。13章の黄山547 は文化(ii)が1つ、自然(vii)(x)が2つでした。基準(i)はサハラ以南のアフリカにおける最大かつもっとも集中した岩絵の群、基準(vii)はそびえ立つ玄武岩の稜堡などの例外的な自然美です。
確認2:マロティ・ドラーケンスベルグ公園の真正性について、UNESCO の記述に合うものは?
- 体系的な保全が行われたことで真正性が保たれた
- 真正性についての記述は無い
- 資産の大きな部分で体系的な保全または固めの処置が試みられていないことは正の要因で、より脆いままにしたが最大の程度の真正性をもって残した
- 資産の大きな部分で体系的な保全または固めの処置が試みられていないことは正の要因だが、そのために岩絵の遺跡の真正性はすでに損なわれているとされる
正解と解説を開く
正解:3.資産の大きな部分で体系的な保全または固めの処置が試みられていないことは正の要因で、より脆いままにしたが最大の程度の真正性をもって残した
> 資産の大きな部分で、体系的な保全または固めの処置が試みられていないことは、正の要因として留意されるべきである。それは岩絵の遺跡をおそらくより脆いままにしたが、可能なかぎり最大の程度の真正性をもって残した。「真正性が損なわれている」とは書かれていません。24章の真珠採取1364 の「保全が過剰に行われれば記憶を消し去りうる」と同じ系統です。
確認3:マロティ・ドラーケンスベルグ公園の採掘について、UNESCO の記述に合うものは?
- すべての世界遺産は保護区域として認められるため、採掘または試掘が資産内または宣言された緩衝地帯内で行われることが完全に禁じられる
- 採掘は環境影響評価を経れば認められる
- 採掘についての記述は無い
- 採掘または試掘が資産内で完全に禁じられるが、宣言された緩衝地帯内では環境影響評価と遺産影響評価をそれぞれ経れば認められることになっている
正解と解説を開く
正解:1.すべての世界遺産は保護区域として認められるため、採掘または試掘が資産内または宣言された緩衝地帯内で行われることが完全に禁じられる
> 加えて、すべての世界遺産は保護区域として認められており、それは採掘または試掘が資産内または宣言された緩衝地帯内で行われることが完全に禁じられることを意味する。緩衝地帯内も含めて完全禁止です。環境影響評価と遺産影響評価は、それ以外の開発について両方が必要とされます。
確認4:マロティ・ドラーケンスベルグ公園の管理の課題としてUNESCO が書いている、複合遺産に固有のものは?
- 侵略的種と火の管理
- 自然と文化の管理のあいだの公平な均衡を確かにする必要
- 複合遺産に固有の課題は書かれていない
- 自然と文化の管理の均衡と、侵略的種と火の管理の両方が複合遺産に固有の課題とされている
正解と解説を開く
正解:2.自然と文化の管理のあいだの公平な均衡を確かにする必要
> 自然と文化の管理のあいだの公平な均衡を確かにする必要がある——世界遺産資産の管理に十分な文化遺産の専門知識を組み込み、責任ある文化遺産の当局に目録・保全・監視の仕事のための十分な予算を与えることによって。侵略的種と火は「主要な管理の課題」として別に書かれており、複合遺産に固有のものではありません(固有のカエルのような火に敏感な動物への影響が考慮されるべきとされます)。複合遺産で自然と文化の均衡が課題として書かれる資産は、これまで読んだ101件でここだけです。
参考資料
確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。