ナハニ国立公園

登録年
1978年
所在国
カナダ
登録区分
自然遺産
地域
南北アメリカ
登録基準
(vii) (viii)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか

カナダ・ノースウェスト準州。山脈を切り抜ける深い河川峡谷の撹乱されていない自然の区域で、巨大な滝と複雑な洞窟系を伴います。

本体 482,342.88 ha(Brief synthesis は470,000 ha)
緩衝地帯 設定されていない
登録 1978年、基準 (vii)(viii)

一覧の482,342.88 ha と本文の470,000 ha は概数と実数の違いです(シエナ717 の170/107のような同じものを指す食い違いとは性質が違います)。

地形

資産の地形学は、形の富と進化の複雑さにおいて際立っている。河川の過程と地形が優越する。 資産の中には、知られている河川や小川のほとんどすべての異なる範疇の例があり、北アメリカでもっとも印象的な滝の一つ——ヴァージニア滝を伴う。

フラット川とサウス・ナハニ川は、それらが刻む山々より古く、北緯60度以北で世界最良の河川峡谷の例を生み出してきた。

「川が山より古い」という書き方です。火成岩が地殻変動を通じて注入された結果、壮観な花崗岩の峰が生じたとされます。

基準(vii)はサウス・ナハニ川が北アメリカでもっとも壮観な野生の川の一つで、深い峡谷・巨大な滝・壮観なカルスト地形・洞窟系・温泉を伴うことを挙げ、いまの河川の水位よりはるか上に持ち上げられた古代の川の蛇行が露出していると書いています。

基準があとから足された — トンガリロと同じ Notes

UNESCO のページに「Notes」があります。

1994年より前に、自然基準 N(ii) のもとで地質と生態の両方の価値に対して登録された。N(i)(2002年の作業指針)が加えられた。詳細は決定 30.COM 8D.1 を見よ。

4章のトンガリロ国立公園(421)と同じ文です。

トンガリロは1990年登録で、1993年に境界の大きな変更を経て文化的景観の基準(vi)が加わり、さらに自然基準も整理されました。ナハニは1978年登録で、同じ整理を受けています。

基準は登録のときに決まって動かないものではありません。古い登録の資産では、あとから番号が付け替えられたり足されたりしています。

基準(viii)は、河川の侵食、地殻の隆起、褶曲と峡谷の発達、風の侵食、カルストと疑似カルストの地形、さまざまな温泉という進行中の地質学的な過程の例外的な表現があるとし、主要な地質と地形の特徴が世界的に唯一無二の地質学的な過程の組み合わせを与えているとしています。

完全性 — 公園が250万 ha 増えたが、世界遺産の境界は変わらない

この節が、この資産のいちばん面白いところです。

年 出来事
1976年 ナハニ国立公園が設定された
1978年 世界遺産リストに登録された
2009年 カナダが250万 ha を加えてナハニ国立公園保護区を設定し、国立公園の限界を大きく拡張した

拡張された保護区域はいまや約300万 ha に達し、資産の地質遺産とサウス・ナハニ川の水系に重要な保護を与えている。 世界遺産の境界は、当初登録されたままである。 世界遺産資産の95%超が、いまやより大きな国立公園保護区の境界に囲まれており、それが優れた保護を与え、その顕著な普遍的価値の完全性を確かにしている。

国立公園が6倍以上に広がっても、世界遺産の範囲は1978年のままです。

この章と前の章では、国立公園と世界遺産の範囲の関係が資産ごとに違いました。

資産 関係
英国の湖水地方422 境界が1951年指定の国立公園そのまま(だから緩衝地帯が無い)
シングヴェトリル1152 国立公園24,000 ha のうち世界遺産は9,270 ha。2004年に拡大された保護区域が緩衝地帯に相当する保護を与える
ラパ・ヌイ715 公園は島の約40%
ナハニ24 公園が約300万 ha に拡張されたが、世界遺産は当初の482,342.88 ha のまま。資産の95%超が公園保護区に囲まれている

著しい脅威は無い

遠隔の立地、常住者の不在、より広い地域のきわめて低い人口密度、先住の人びとの支持、そして生態的完全性の維持のための管理を優先する国立公園の法令の結果として、資産に著しい脅威は無い。 しかしながら、資産を囲むより広い生態系における資源開発の可能性がある。

「著しい脅威は無い」と書かれる資産は、これまで読んだ中では少数です。シミエン9 は80%が人の利用の下にあった、バンディアガラ516 は完全性は脅かされているでした。

誰が守っているか — 先住民と協同で管理する

資産はナハニ国立公園保護区の中にあり、カナダ国立公園法のもとで設定され、それが実効的な法的保護を与えます。この法令の要件のもとで、資産は管理計画を持ち、それが顕著な普遍的価値の基礎となる資産の特徴を守る方向と、来訪者が公園保護区を体験し学ぶ機会を与える方向を示します。

協同管理

公園保護区はデチョ・ファースト・ネーションズ(DFN)——ノースウェスト準州のデチョ地域のファースト・ネーションズとメティスの人びとを代表する統括団体——と協同で管理されている。 ナハ・デヘ合意チーム(Naha Dehé Consensus Team)——パークス・カナダと DFN の代表からなる——が、国立公園保護区の生態的完全性を維持するための協同の管理を行う機関である。

先住の人びとの組織と、公園当局が対等に入る機関です。

前の章では、先住・在地の人びとの関わり方が資産ごとに違いました——ナン・マドール1503(憲法が首長の慣習上の利益を認める)、ティムリチ・オヒンガ1450(長老のタブーが法を補強)、ラパ・ヌイ715(国家の介入への共同体の一部のためらい)。ナハニは、協同管理の機関が名前つきで書かれています。

採掘は「近くだが、中ではない」

具体的には、世界遺産資産の近くの、しかしその中ではない、提案された採掘開発からの起こりうる影響が含まれる。 すべての採掘活動は環境影響評価の対象となり、承認された場合は、生態系への危険を緩和するための適切な規制にさらにかけられる。

「近くだが中ではない」という書き分けです。ケルソネソス1411 は市内に侵入的な開発があり一部は移転が約束されている、オルホン渓谷1081 は採掘に伴う地下水位の低下でした。

2級で押さえること

公園が約300万 ha に拡張されても、世界遺産の境界は1978年のまま。2009年にカナダが250万 ha を加えてナハニ国立公園保護区を設定したが、資産の95%超がその保護区に囲まれているという形で完全性が確かにされている。「川が山より古い」——フラット川とサウス・ナハニ川はそれらが刻む山々より古く、北緯60度以北で世界最良の河川峡谷を生んだ。Notes がトンガリロ421 と同じ文で、1994年より前に自然基準 N(ii) で登録され、N(i)(2002年作業指針)が足された(決定 30.COM 8D.1)。基準は登録のときに決まって動かないものではない。「資産に著しい脅威は無い」と書かれる珍しい例(遠隔・常住者の不在・低い人口密度・先住の人びとの支持・生態的完全性を優先する法令のため)。デチョ・ファースト・ネーションズと協同で管理し、ナハ・デヘ合意チームが生態的完全性の維持を担う。採掘の提案は「近くだが、その中ではない」と書き分けられている。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産が出てくるキーワード

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
カルスト地形溶ける岩が、その資産で何をしているか「カルストと疑似カルストの地形」

いまのところ、この遺産が出てくるキーワードは1つです。ゼミの試作46本で数えた話で、公式テキストの分類ではありません。

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。このキーワードの練習では、ほかの参加記事と並べて読みます——同じ論点が、別の資産でどう書かれているかを見るためです。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ナハニ国立公園について、2009年に起きたことと世界遺産の境界の関係は?

  1. 国立公園保護区の設定で保護区域は約300万 ha になったが、世界遺産の境界は当初登録されたままである
  2. 世界遺産の境界も同時に約300万 ha へ拡張された
  3. 国立公園が縮小され、世界遺産の境界も縮小された
  4. カナダが250万 ha を加えて保護区を設定したが世界遺産の境界は当初のままで、資産の半分ほどが保護区の境界の外に残されている
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正解:1.国立公園保護区の設定で保護区域は約300万 ha になったが、世界遺産の境界は当初登録されたままである

2009年にカナダが250万 ha を加えてナハニ国立公園保護区を設定し、保護区域は約300万 ha に。世界遺産の境界は当初登録されたままです。そして世界遺産資産の95%超がより大きな国立公園保護区の境界に囲まれており、それが優れた保護を与え、顕著な普遍的価値の完全性を確かにしているとされます。半分が外に残っているのではありません。

確認2:ナハニ国立公園の Notes に書かれている内容と、同じ文が置かれている資産は?

  1. 基準の変更は無かったという記述
  2. 危機遺産の記載についての記述
  3. 1994年より前に自然基準 N(ii) で登録され N(i) が加えられたという記述で、トンガリロ国立公園(421)に同じ文がある
  4. 1994年より前に自然基準 N(ii) で登録され N(i) が加えられたという記述で、イエローストーン国立公園(28)に同じ文がある
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正解:3.1994年より前に自然基準 N(ii) で登録され N(i) が加えられたという記述で、トンガリロ国立公園(421)に同じ文がある

> 1994年より前に、自然基準 N(ii) のもとで地質と生態の両方の価値に対して登録された。N(i)(2002年の作業指針)が加えられた。詳細は決定 30.COM 8D.1 を見よ。4章のトンガリロ国立公園(421)に同じ文があります。イエローストーン28 のページには Notes がありません。基準は登録のときに決まって動かないものではありません。

確認3:ナハニ国立公園の完全性について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 資産は複数の著しい脅威にさらされている
  2. 遠隔の立地や常住者の不在などのため、資産に著しい脅威は無い
  3. 採掘開発が資産の中で進んでいる
  4. 遠隔の立地と常住者の不在のため著しい脅威は無く、資産を囲むより広い生態系における資源開発の可能性も否定されている
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正解:2.遠隔の立地や常住者の不在などのため、資産に著しい脅威は無い

> 遠隔の立地、常住者の不在、より広い地域のきわめて低い人口密度、先住の人びとの支持、そして生態的完全性の維持のための管理を優先する国立公園の法令の結果として、資産に著しい脅威は無い。> しかしながら、資産を囲むより広い生態系における資源開発の可能性がある。可能性は否定されていません。採掘の提案は「近くの、しかしその中ではない」と書き分けられています。

確認4:ナハニ国立公園保護区の協同管理を行う機関は?

  1. パークス・カナダ単独
  2. ノースウェスト準州政府
  3. パークス・カナダとデチョ・ファースト・ネーションズの代表からなるナハ・デヘ合意チームで、準州政府がその議長を務めている
  4. パークス・カナダとデチョ・ファースト・ネーションズの代表からなるナハ・デヘ合意チーム
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正解:4.パークス・カナダとデチョ・ファースト・ネーションズの代表からなるナハ・デヘ合意チーム

> ナハ・デヘ合意チーム(Naha Dehé Consensus Team)——パークス・カナダと DFN の代表からなる——が、国立公園保護区の生態的完全性を維持するための協同の管理を行う機関である。準州政府が議長を務めるという記述はありません。合意チームはほかのレベルの政府やほかの提携者・関係者と協働するとされます。DFN はデチョ地域のファースト・ネーションズとメティスの人びとを代表する統括団体です。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。