泉州:宋・元時代の中国における世界的な商業の中心地

木立の上に立つ、五層の石造の塔。
Joseph Oropel / Adobe Stock(通常ライセンス) / 出典 / 加工: 長辺1800pxへ縮小し WebP へ変換(切り取りなし)
登録年
2021年
所在国
中国
登録区分
文化遺産
地域
アジア
登録基準
(iv)

どこにあり、何が登録されたのか — 緩衝地帯の外にさらに区域がある

中国東南海岸、福建省。

本体 536.08 ha
緩衝地帯 11,126.02 ha(本体の約20.8倍)
登録 2021年、基準 (iv) 単独
dossier 1561rev
連続性資産 はい(Serial: yes)

「より広い環境」が緩衝地帯の外にある

資産のすぐの環境、重要な眺望、そのほかの支える区域や属性は、すべて緩衝地帯に含まれている。視覚的な影響に敏感な区域と、連続性資産との全体の結びつきを示す背景の環境は、すべて画されたより広い環境の区域に含まれ、実効的な保護のもとに置かれている。

本体・緩衝地帯・「より広い環境(wider setting)」の三層になっています。

これまで読んだ86件で、緩衝地帯の外に画された区域があると明記する資産はここだけです。

この章と前の章では、保護の及ぶ範囲の取り方がまったく違いました。

遺産 範囲の取り方
泉州1561 本体・緩衝地帯・より広い環境の三層
バガン1588 100 km × 100 km の保護区域
タフテ・ソレイマーン1077 緩衝地帯が本体の約744倍
ロロペニ1225 緩衝地帯が本体の約250倍
ペルシアの隊商宿1668 緩衝地帯が本体の約108.6倍
石窟庵と仏国寺736 境界から500 m

川と海の接点に、生産と輸送と市場が集まっていた

連続性資産「泉州:宋・元時代の中国における世界的な商業の中心地」は、生産・輸送・市場を組み合わせた空間の構造と、紀元後10〜14世紀に東・東南アジアの交易網の海の中心地としての泉州の壮観な興隆と繁栄に寄与した、鍵となる制度・社会・文化の要因を、例外的な仕方で映している。

宋・元の泉州の商業中心地の体系は、川と海の接点に位置する都市を中心とし、そこから力を得ていた——世界と結ぶ南東の海、生産をもたらす遠い北西の山、そしてそれらすべてをつなぐ水陸の輸送網。

「海」「山」「輸送網」の三つで一つの体系として書かれています。

構成要素

種類
行政の建物と構造の遺跡
宗教の建物と像
文化の記念の場と記念物
陶磁と鉄の生産地
橋・埠頭・仏塔からなる輸送網——仏塔が航海者を導いた

仏塔が「航海者を導いた」ものとして輸送網に入っています。

説明文に挙げられているもの

宗教の建物には、11世紀の清浄寺——中国でもっとも早いイスラームの建造物の一つ——、イスラームの墓、そして幅広い考古遺構が含まれる——行政の建物、商業と防衛に重要だった石の埠頭、陶磁と鉄の生産地、市の輸送網の要素、古い橋、仏塔、碑文。

紀元後10〜14世紀のアラビア語と西洋の文献では「ザイトゥン(Zayton)」として知られた。

この章では、外国語での呼び名が二つ出てきます——泉州1561 の「ザイトゥン」、ブリッゲン59 の「フォンダコ」。

基準(iv)

その構成部分を通じて、領土の統合された構造と、紀元後10〜14世紀のアジアの海上交易のきわめて繁栄した段階に、泉州を世界水準の商業中心地と鍵となる商業の拠点に変えた鍵となる制度・輸送・生産・市場・社会文化の要因を、顕著に例証している。 資産は、東・東南アジアの経済と文化の発展への泉州の大きな寄与を示している。

完全性と真正性 — 「実効的な統制のもとにあるように見える」

完全性

構成部分と寄与する要素は、互いに緊密な機能・社会・文化・空間の結びつきを維持しており、すべてが合わさって、宋・元の時代の泉州の海上交易の体系の統合された領土の体系と鍵となる諸面と要因を例証している。

都市開発の圧力、気候変動からの影響、自然の脅威、観光の圧力は、一組の保護と管理の措置を通じて実効的な統制のもとにあるように見える。

「あるように見える(appear)」という書き方です。

ゼミはこの推量形を断定に変えません。13章の聖ヒラリオン修道院1749 の「役立ったかもしれない」と同じ扱いです。

真正性

連続は全体として、その構成部分と寄与する要素からなり、宋・元の時代の世界的な海上商業中心地としての泉州の、全体の領土の配置、歴史的な交易の体系の機能、歴史的な社会構造、そして歴史の年代の情報を、信頼できる仕方で伝えている。

真正性を支えるもの
残存する元の立地
明確に認識し理解できる歴史的な機能の情報
物理的な遺構とその歴史記録に映された形・材料・工程・伝統的な維持の仕組みと技術の体系の歴史情報
これらの記念物と遺跡が担う、残存する信仰と文化の伝統

物理的な証拠は、豊富な歴史文書と、中国および国際的な研究の成果によって確かめられる。

「伝統的な維持の仕組み」が真正性の根拠に入っています。

これは保護管理の節でもう一度出てきます。

誰が守っているか — 四層の行政と、四半期ごとの会合

法と指定

国 中華人民共和国文物保護法とその施行条例
省 福建省文物保護管理条例
所有 すべて国有
指定 歴史文化名城、宗教事務、海洋事務、風景名勝区を統べる法と規則に従い、しばしば複数の保護指定を与えられている

伝統的な維持と保全の仕組みも、この点で積極的な役割を果たしている。

真正性の根拠が、保護の仕組みとしても書かれています。

緩衝地帯とより広い環境も体系に入っている

保護と管理の実効性のため、緩衝地帯とより広い環境が資産の保護管理の体系に組み込まれており、策定され実施されている「泉州連続性資産管理計画」と、改訂された「福建省古代泉州(ザイトゥン)歴史記念物遺跡保護管理規則」に覆われている。

四層の行政

資産の管理体系は、中国の文化遺産のための行政の仕組みに従って設計され、国・省・市/県・資産の四層の行政の枠組みに組み込まれている。それは、異なる水準に指定された責任、現地化された行政、積極的な共同体の参加の原則に基づいている。

市の水準における調整された管理体系が、それぞれの構成部分のための管理措置と実施計画を統合している。管理作業部会が四半期ごとに会合し、全体の調整を保証する。

会合の周期が書かれています。

これまで読んだなかの周期を並べます。

遺産 周期
泉州1561 管理作業部会が四半期ごと
ブッダガヤ1056 委員会が3〜4か月に1度
石窟庵と仏国寺736 専門的な詳細の監視が3〜4年ごと
カジュラーホ240 介入・研修・研究・普及を毎年
ジェロニモス修道院263 DGPCが年次計画を作成
メルヴ886 管理計画を6年ごとに更新

「十分な保証」

管理の主体は十分な財政・人的・技術的な保証を与え、連続性資産の全体とそれぞれの構成部分の真正性と完全性の継続的で適切な保全を可能にしている。

「十分な」と書かれる資産は少数です。

遺産 財政と人員
泉州1561 十分な財政・人的・技術的な保証
ゴア234 人手も資金も十分である
ペトラ326 職員数の増加が点検と統制の運動を可能にした
グラン・プラス857 予算と人員の点で増やされた手段が望ましい
サント・ドミンゴ526 より有能でより多数の技術職員が必要

固有の要件を示す長期の保護管理戦略が連続のために準備されており、その漸進的な実施が全体の管理の実効性にとって決定的である。

南音(ナンイン)と中国のジャンクの水密隔壁技術が無形文化遺産として記録されています。南音は12章のマカオ1110 と同じ要素です。

2級で押さえること

基準(iv)単独、本体536.08 ha・緩衝11,126.02 ha、連続性資産(Serial: yes)、2021年登録。本体・緩衝地帯・「より広い環境」の三層になっており、緩衝地帯の外に画された区域があると明記する資産はこれまで読んだ86件でここだけ。宋・元の泉州の商業中心地の体系は、川と海の接点に位置する都市を中心とし、世界と結ぶ南東の海、生産をもたらす遠い北西の山、それらをつなぐ水陸の輸送網から成っていた。構成は行政の建物/宗教の建物と像/文化の記念の場/陶磁と鉄の生産地/橋・埠頭・仏塔からなる輸送網(仏塔が航海者を導いた)。11世紀の清浄寺は中国でもっとも早いイスラームの建造物の一つ。10〜14世紀のアラビア語と西洋の文献では「ザイトゥン」として知られた。完全性は、都市開発・気候変動・自然の脅威・観光の圧力が「実効的な統制のもとにあるように見える」——推量形を断定に変えない。真正性の根拠に「伝統的な維持の仕組みと技術の体系」が入り、それは保護管理の節でも「積極的な役割を果たしている」と書かれる。すべて国有で、歴史文化名城・宗教事務・海洋事務・風景名勝区を統べる法と規則に従い、しばしば複数の保護指定。国・省・市/県・資産の四層の行政の枠組み。管理作業部会が四半期ごとに会合する。管理の主体は十分な財政・人的・技術的な保証を与えている。

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:泉州の保護の及ぶ範囲について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 本体・緩衝地帯のほかに「より広い環境」の区域が画され、実効的な保護のもとに置かれている
  2. 本体と緩衝地帯の二層である
  3. 緩衝地帯は設定されていない
  4. 本体・緩衝地帯・「より広い環境」の三層だが、より広い環境には保護の措置がまだ及んでおらず、今後の課題とされている
正解と解説を開く

正解:1.本体・緩衝地帯のほかに「より広い環境」の区域が画され、実効的な保護のもとに置かれている

> 視覚的な影響に敏感な区域と、連続性資産との全体の結びつきを示す背景の環境は、すべて画されたより広い環境の区域に含まれ、実効的な保護のもとに置かれている。保護が及んでいます。緩衝地帯の外に画された区域があると明記する資産は、これまで読んだなかで泉州1561 だけです。

確認2:泉州の商業中心地の体系について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 海路だけで成り立っていた
  2. 体系についての記述は無い
  3. 川と海の接点の都市を中心とし、世界と結ぶ南東の海、生産をもたらす遠い北西の山、それらをつなぐ水陸の輸送網から成っていた
  4. 川と海の接点の都市を中心とし、世界と結ぶ南東の海と北西の山と水陸の輸送網から成っていたが、山は生産にも交易にも関わらなかった
正解と解説を開く

正解:3.川と海の接点の都市を中心とし、世界と結ぶ南東の海、生産をもたらす遠い北西の山、それらをつなぐ水陸の輸送網から成っていた

> 宋・元の泉州の商業中心地の体系は、川と海の接点に位置する都市を中心とし、そこから力を得ていた——世界と結ぶ南東の海、生産をもたらす遠い北西の山、そしてそれらすべてをつなぐ水陸の輸送網。山は「生産をもたらす」ものとして体系に入っています。輸送網には橋・埠頭・仏塔が含まれ、仏塔が航海者を導きました。

確認3:泉州の完全性の節が、脅威について書いていることは?

  1. 脅威は完全に取り除かれたと書かれている
  2. 都市開発の圧力、気候変動、自然の脅威、観光の圧力が実効的な統制のもとにあるように見えると書かれている
  3. 脅威は挙げられていない
  4. 都市開発の圧力、気候変動、自然の脅威、観光の圧力が実効的な統制のもとにあると断定して書かれており、推量の表現は使われていない
正解と解説を開く

正解:2.都市開発の圧力、気候変動、自然の脅威、観光の圧力が実効的な統制のもとにあるように見えると書かれている

> 都市開発の圧力、気候変動からの影響、自然の脅威、観光の圧力は、一組の保護と管理の措置を通じて実効的な統制のもとにあるように見える。「あるように見える(appear)」という推量形です。ゼミはこれを断定に変えません。13章の聖ヒラリオン修道院1749 の「役立ったかもしれない」と同じ扱いです。

確認4:泉州の管理体系について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 国と省の二層である
  2. 管理体系についての記述は無い
  3. 国・省・市/県・資産の四層の枠組みに組み込まれているが、管理作業部会の会合の周期は定められていない
  4. 国・省・市/県・資産の四層の行政の枠組みに組み込まれ、管理作業部会が四半期ごとに会合する
正解と解説を開く

正解:4.国・省・市/県・資産の四層の行政の枠組みに組み込まれ、管理作業部会が四半期ごとに会合する

> 資産の管理体系は……国・省・市/県・資産の四層の行政の枠組みに組み込まれている。> 管理作業部会が四半期ごとに会合し、全体の調整を保証する。周期が書かれています。ほかに管理の主体は十分な財政・人的・技術的な保証を与えているとされます。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。