ラバト:近代の首都と歴史都市の側面を併せもつ都市

登録年
2012年
所在国
モロッコ
登録区分
文化遺産
地域
アフリカ
登録基準
(ii) (iv)

どこにあり、何が登録されたのか — 保護領期の新市街と12世紀の遺構

モロッコ北西部、大西洋岸。

本体 348.59 ha
緩衝地帯 一覧に行が無い
登録 2012年、基準 (ii)(iv)
dossier 1401
連続性資産 はい(Serial: yes)
節の見出し 年は付いていない
保存状況報告 2019年・2021年・2023年
境界データ GIS のデータ未受領の注記がある
ほかの保全の仕組み 2003年条約1要素——マルフーン(マラケシュ331 と同じ要素)

同じ章のダマスカス20・カイラワーン499・マラケシュ331 には節の見出しに年が付いていましたが、ラバト1401 には付いていません。

同じ国(モロッコ)の二つの資産で、節の形が違います。

何が登録されたか

要素 中身
新市街 1912年から1930年代まで、フランス保護領のもとで構想され建設された。王と行政の区域、住宅と商業の開発、ジャルダン・デセ(試験場)植物・遊楽庭園を含む
より古い部分 12世紀に遡る
ハサン・モスク(1184年着工)とアルモハードの城壁と門 アルモハード朝カリフ国の大首都の事業の、唯一現存する部分
17世紀のムーア(アンダルシア)公国の遺構 —

「唯一現存する部分」と書かれています。24章で記録した「これが全部ではない」の系統です。

新市街の位置づけ

新市街は、20世紀にアフリカで建設された、もっとも大きくもっとも野心的な近代の都市の事業の一つであり、おそらくもっとも完全なものである。

「おそらく(probably)」が入っています。断定ではありません。

何が価値とされたか

ラバトは、20世紀初めの保護領の時代に構想された首都を証している。その事業は、マグリブの文脈の中で近代主義の都市計画と建築の価値をうまく適応させ、同時にそれらを、多くの歴史と遺産の構成要素を持つ古い市の枠組みへ組み込んでいる。 その結果は、同時代のモロッコに特徴的な、際立った建築と装飾の様式の出現を体現している。

四つの文化が共有する遺産

資産は全体として、人類の歴史のいくつもの主要な文化によって共有された遺産を可視化している——古代・イスラム・ヒスパノ=マグリブ・ヨーロッパ。

イスラム教の章ですが、四つの文化が並べて書かれています。

この章では、ほかの宗教や文化の層が価値の一部として書かれる資産が四つありました(カイロ89・ダマスカス20・サナア385・ラバト1401)。

二つの基準 — 公衆衛生の観念が都市計画に入る

基準 中身
(ii) その都市の総体、記念物、公共空間を通じて、ラバトの近代都市は、より早いアラブ・ムスリムの遺産への敬意を示し、そこから着想を得ている。20世紀初めのヨーロッパの観念の普及、そのマグリブへの適応、そして返礼として、在地の在来の様式が建築と装飾芸術へ与えた影響への、際立った証をなす
(iv) 20世紀の首都のための近代の都市計画の、際立って十分に実現された例であり、近代主義の事業の中に過去の文化の価値を組み込む機能的な領域の組織によって達せられた。装飾・建築・景観の要素の総合と、現在と過去のあいだの相互の働きかけが、際立って洗練された都市の総体を与えている

基準(ii)に「返礼として(in return)」という語があります。影響が一方通行でないことが書かれています。

新市街の特徴

よく保全された近代都市は合理的に設計されており、明確に定められた機能と、意義ある視覚と建築の質を持つ区画と建物を含んでいる。

近代都市は、その公共空間の一貫性と、公衆衛生の観念の実践(施設、植生の役割など)によって特徴づけられている。

「公衆衛生の観念」が都市計画の特徴として書かれる資産は、これまで読んだ116件でここだけです。

四つの住まいの区画

区画
メディナとカスバ
近代都市の住宅区画
近代都市の中産階級の住宅
ハブース・ド・ディウル・ジャマアの新伝統の区画

「新伝統(neo-traditional)」という語が使われています。

近代都市ラバトは、歴史記念物と伝統的な住まいを保存することに心を配ってきた、都市計画への先駆的な取り組みを有形に表している。 過去の再領有と、それが20世紀の都市計画家と建築家に与えた影響が、際立って洗練された都市・建築・装飾の総合をもたらした。

完全性と真正性 — 数量化されたデータが「有用な追加」とされる

完全性

資産の完全性のさまざまな次元は満足できる——近代都市の都市計画と、その多くのより早い都市の層の保全とのあいだの均衡、さまざまな区画における住まいの完全性、考古の総体の完全性、アルモハードの城壁の十分に保全された要塞など。

四つの次元が並べられています。

ただし、資産の外の工事

しかしながら、資産の外で検討されている大工事の影響を注意深く監視することが必要である——とくに、それらを見下ろすカスバの遺跡からの、資産とブー・レグレグ川の眺めに関して。

「資産の外の工事」が完全性の課題として書かれています。

この章では、資産の外が課題になる書かれ方がいくつも出ました。

遺産 資産の外
ラバト1401 資産の外で検討されている大工事の影響を、カスバの遺跡からの眺めに関して監視する必要
ダマスカス20 城壁都市の外の歴史の地帯のための保全の方針の欠如と、地域の計画の事業
マラケシュ331 資産の周囲の保護を増すために境界の見直しが想定されている
サナア385 周囲の景観における新しい近代ホテルと通信塔の増加が、視覚の完全性を脅かす
イマーム広場115 緩衝地帯内の歴史的中心に多層の商業・駐車場の建物を認める圧力

真正性

多くの個々の要素が目録の記述に示されており、資産をなす要素が高い水準の真正性を持つことは明らかである——とくに知覚される都市の真正性に関して。 より一般に、都市と記念物の点での真正性の条件は満足できる。

数量化されたデータが「有用な追加」

しかしながら、住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータは、すでに整っている目録の体系への有用な追加となるだろう。

真正性の評価に数値を使うことが書かれる資産は、これまで読んだ116件で二つです。

遺産 書かれ方
ラバト1401 住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータは、すでに整っている目録の体系への有用な追加となるだろう(将来形)
ラ・ショー・ド・フォン1302(8章) 都市の総体の完全性と真正性の評価における、精確なデータに基づく数値の指標は有用である(現在形)

どちらも「数値が役に立つ」という趣旨ですが、ラバト1401 は「まだ無い」、ラ・ショー・ド・フォン1302 は「有用である」と書き方が違います。

ゼミは、将来形と現在形を書き分けます。

誰が守っているか — 新しい包括的な当局

保護の措置

都市の総体、記念物、考古遺跡を保護する措置は整っている。

早い時期からの導入のゆえに、ラバト市に適用される法令は、古くもあり近代でもある都市の総体としてのその保全の歴史へ、根本的な寄与をしてきた。

「法令が保全の歴史に寄与してきた」という書き方です。

より広範な都市の保護と、資産がなす都市の景観の保護に関する発表された新しい措置は、現在公布されつつある。

「公布されつつある(currently being promulgated)」——進行中です。

新しい包括的な当局

管理の構造は整っており、ラバト文化遺産保存財団という新しい包括的な当局によって調整されている。

役 担い手
調整 ラバト文化遺産保存財団(新しい包括的な当局)
技術と科学の事柄 国家遺産局
資産の固有の要素 さまざまなほかの機関
在地 ラバト市とラバト県の業務

多数の資格ある職員が、資産の保全と管理に割り当てられている。

「多数の資格ある職員」と書かれる資産は限られています。

遺産 人と資金
ラバト1401 多数の資格ある職員
イマーム広場115 財政の資源は(不十分であると認められている)国・州・市の予算と私人を通じて与えられる——資産のための管理計画は無い
サナア385 保全ユニットの設立が提案されている(まだ無い)
ゴア234(23章) 人手も資金も十分である
ヴェネツィア394(24章) 資格ある作業者の欠如

管理計画

すべての規制と組織の規定、および5年行動計画が、管理計画に定められている。

管理計画があり、その中に5年行動計画がある、という形です。

同じ章のイマーム広場115 は「包括的な市の計画はあるが、資産のための管理計画は無い」でした。

2級で押さえること

基準(ii)(iv)、本体348.59 ha、一覧に緩衝地帯の行が無い、2012年登録、連続性資産(Serial: yes)、節の見出しに年は付いていない(同じモロッコのマラケシュ331 は(2009)が付く——同じ国でも節の形が違う)、保存状況報告は2019年・2021年・2023年、2003年条約1要素(マルフーン。マラケシュ331 と同じ要素)。登録されたのは、1912年から1930年代までフランス保護領のもとで構想され建設された新市街(王と行政の区域、住宅と商業の開発、ジャルダン・デセ植物・遊楽庭園を含む)と、12世紀に遡るより古い部分。ハサン・モスク(1184年着工)とアルモハードの城壁と門は、アルモハード朝カリフ国の大首都の事業の「唯一現存する部分」(24章の「これが全部ではない」の系統)。17世紀のムーア(アンダルシア)公国の遺構も含む。新市街は「20世紀にアフリカで建設された、もっとも大きくもっとも野心的な近代の都市の事業の一つであり、おそらくもっとも完全なもの」——「おそらく」が入るので断定ではない。「資産は全体として、人類の歴史のいくつもの主要な文化によって共有された遺産を可視化している——古代・イスラム・ヒスパノ=マグリブ・ヨーロッパ」。基準(ii)は「20世紀初めのヨーロッパの観念の普及、そのマグリブへの適応、そして返礼として、在地の在来の様式が建築と装飾芸術へ与えた影響」とし、影響が一方通行でないことを書く。基準(iv)は「近代主義の事業の中に過去の文化の価値を組み込む機能的な領域の組織」による達成とする。近代都市は「公共空間の一貫性」と「公衆衛生の観念の実践(施設、植生の役割など)」で特徴づけられる——公衆衛生の観念が都市計画の特徴として書かれるのはこれまで読んだ116件でここだけ。住まいの区画は、メディナとカスバ/近代都市の住宅区画/近代都市の中産階級の住宅/ハブース・ド・ディウル・ジャマアの「新伝統」の区画。完全性は四つの次元(近代都市の都市計画と早い層の保全の均衡・各区画の住まい・考古の総体・アルモハードの城壁の要塞)で満足できるとするが、「資産の外で検討されている大工事の影響を注意深く監視することが必要」——とくにそれらを見下ろすカスバの遺跡からの、資産とブー・レグレグ川の眺め。真正性は高い水準(とくに知覚される都市の真正性)だが、「住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータは、すでに整っている目録の体系への有用な追加となるだろう」——8章のラ・ショー・ド・フォン1302 の「数値の指標は有用である」(現在形)と違い、こちらは将来形。将来形と現在形を書き分ける。「より広範な都市の保護と、資産がなす都市の景観の保護に関する新しい措置は、現在公布されつつある」。管理は「ラバト文化遺産保存財団という新しい包括的な当局」が調整し、技術と科学の事柄は国家遺産局に依拠し、ラバト市とラバト県の業務も関わる。「多数の資格ある職員」が保全と管理に割り当てられている(同じ章のイマーム広場115 は資源が不十分と認められ、資産のための管理計画も無い)。すべての規制と組織の規定、および5年行動計画が管理計画に定められている。一覧に GIS データ未受領の注記がある。

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ラバトのページの節の見出しについて、UNESCO のページに合うものは?

  1. (2009) が付いている
  2. (2012) が付いている
  3. 年は付いていないが、それは同じモロッコのマラケシュ331 も同じで、モロッコの資産にはどれも年が付かないからである
  4. 年は付いていない。同じモロッコのマラケシュ331 には(2009) が付いており、同じ国でも節の形が違う
正解と解説を開く

正解:4.年は付いていない。同じモロッコのマラケシュ331 には(2009) が付いており、同じ国でも節の形が違う

ラバト1401 の完全性・真正性・保護管理の見出しに年はありません。マラケシュ331 には `Integrity (2009)` などの年が付いています。同じ国でも節の形が違うので、「この国はこう」とまとめません。この章で年が付くのはダマスカス20・カイラワーン499・マラケシュ331 が (2009)、サナア385 が (2011) です。

確認2:ラバトの新市街について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 「20世紀にアフリカで建設された、もっとも完全な近代の都市の事業である」と断定されている
  2. 「20世紀にアフリカで建設された、もっとも大きくもっとも野心的な近代の都市の事業の一つであり、おそらくもっとも完全なもの」
  3. 新市街についての評価は書かれていない
  4. 「もっとも大きくもっとも野心的な事業の一つであり、おそらくもっとも完全なもの」と書かれ、さらにアフリカの外でも比較されている
正解と解説を開く

正解:2.「20世紀にアフリカで建設された、もっとも大きくもっとも野心的な近代の都市の事業の一つであり、おそらくもっとも完全なもの」

> 新市街は、20世紀にアフリカで建設されたもっとも大きくもっとも野心的な近代の都市の事業の一つであり、おそらくもっとも完全なものである。アフリカの外との比較は書かれていません。「おそらく(probably)」が入るので断定ではありません。ゼミはこれを「である」に変えません。

確認3:ラバトの近代都市の特徴として、UNESCO が挙げているものは?

  1. 高層の建物の集中
  2. 近代都市の特徴は書かれていない
  3. 公共空間の一貫性と、公衆衛生の観念の実践(施設、植生の役割など)
  4. 公共空間の一貫性と公衆衛生の観念の実践、および高層の建物による都市の景観の形成
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正解:3.公共空間の一貫性と、公衆衛生の観念の実践(施設、植生の役割など)

> 近代都市は、その公共空間の一貫性と、公衆衛生の観念の実践(施設、植生の役割など)によって特徴づけられている。高層の建物についての記述はありません。「公衆衛生の観念」が都市計画の特徴として書かれる資産は、これまで読んだ116件でここだけです。

確認4:ラバトの真正性で、数量化されたデータについて書かれていることは?

  1. 住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータは、すでに整っている目録の体系への有用な追加となるだろう(将来形)
  2. 数量化されたデータに基づく数値の指標は有用である(現在形)
  3. 数量化されたデータについての記述は無い
  4. 住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータが有用な追加となるだろうと書かれ、そのデータはすでに目録の体系に含まれている
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正解:1.住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータは、すでに整っている目録の体系への有用な追加となるだろう(将来形)

> しかしながら、住宅の建物の個々の真正性に関する数量化されたデータは、すでに整っている目録の体系への有用な追加となるだろう。まだ含まれていません。「数量化されたデータに基づく数値の指標は有用である」(現在形)は8章のラ・ショー・ド・フォン1302 です。ゼミは将来形と現在形を書き分けます。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。