リオ・デ・ジャネイロ:山と海のあいだのカリオカの景観

登録年
2012年
所在国
ブラジル
登録区分
文化遺産
地域
南北アメリカ
登録基準
(v) (vi)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 建物は入っていない

ブラジル。グアナバラ湾と大西洋の間の狭い沖積平野に横たわる都市。森に覆われた山々が市街の上にそびえ、ティジュカ山塊の最高峰は1,021 m。海岸へ下ると、シュガーローフ(パン・デ・アスーカル)・ウルカ・カラ・デ・カォン・コルコバードの急な円錐形がグアナバラ湾の広い入り江を縁取ります。

資産に含まれるのは、都市の発展を制約し、かつ霊感を与えた鍵となる自然の構造的要素です。

含まれるもの
ティジュカ国立公園の山々の最高点(再生された大西洋岸森林を伴う)
1808年に設立された植物園
コルコバード山とキリスト像
グアナバラ湾周囲の急峻な緑の丘の連なり(シュガーローフ・ピコ・レメ・グロリア)
コパカバーナ湾の埋立地の広大な設計景観(フラメンゴ公園などとともに、屋外で暮らす文化に寄与)
グアナバラ湾の歴史的な要塞の体系(リオに要塞都市の性格を与えた)
自然が都市の重要な文化的部分になった様子を味わえる最良の眺望点のすべて

建物は資産に含まれない

ここが2級の読みどころです。

市街のもっとも密集した建物は、山と海の間の狭い沖積地に、白い高層の塊の不規則な群れとして配され、山の緑と海の青と鮮やかに対比する。これらの建物はどれも資産に含まれない。ただし相当数が緩衝地帯に含まれる。

「リオの街が世界遺産」ではありません。登録されたのは山と海と、そのあいだに設計された景観で、街の建物は緩衝地帯の側にあります。

登録の範囲

面積
本体 7,248.78 ha
緩衝地帯 8,621.38 ha
推薦書 1100rev
構成 連続資産(serial)

登録は2012年、基準は(v)(vi)。緩衝地帯は本体の約1.19倍で、この章では比が小さいほうです。

基準(v) — 「持続する伝統的過程」ではない

4章のほかの遺産の基準(v)と、言っていることが違います。

リオ・デ・ジャネイロ市の発展は、自然と文化の創造的な融合によって形づくられてきた。この交流は、持続する伝統的な過程の結果ではなく、むしろ科学・環境・デザインの思想に基づく交流を反映しており、それが1世紀あまりの間に、都市の中心部で大規模な革新的な景観創造につながった。

紅河ハニ族棚田群は1,300年、ラヴォーは11世紀から、メイマンドは10世紀から続く慣行でした。リオは「1世紀あまり」の、思想に基づく設計です。

同じ基準(v)が、まったく違う種類の相互作用に認められています。「人と環境の相互作用」は、長く続いた慣行だけを指しません。

基準(vi) — 認知度の高さは正にも負にも働く

基準(vi)は芸術・文学・詩・音楽への霊感に対して認められています。湾・シュガーローフ・キリスト像を示すリオの図像は、19世紀半ば以来、世界的に高い認知度を持ってきました。

そのような高い認知度は、正にも負にも働きうる。リオの場合、投影されてきた、そしていまも投影されている像は、世界最大の都市の一つにしては息を呑むほど美しい場所という像である。

UNESCO が「負にも働きうる」と書いているのは珍しい箇所です。

完全性と真正性 — 枯れた椰子と、アンテナ

完全性

鍵となる自然の構造的要素はすべて含まれているとされます。どの要素も脅威にはないとしつつ、三つが挙げられています。

自然の要素と市街との境界面 都市の圧力に脆弱
より高い峰 アンテナの乱立によって損なわれている
ロドリゴ・デ・フレイタス潟(緩衝地帯内)と海 ある程度の水質汚染を受けている

「どの要素も脅威にない」と言ったあとに「損なわれている」「汚染されている」が続きます。紅河ハニ族棚田群の完全性の節と同じ形です。

真正性

ティジュカ国立公園の山と緑地、コルコバード、湾周囲の丘は、植民の時代と似た森と開けた観望点の組み合わせを保ち、多くの高所から市街の眺望に近づけるため、文化と自然の並外れた融合を明らかに示すとされます。

植物園は当初の新古典主義の設計と特別な軸線を保ち、要塞はポルトガル人の入植の記憶を保っています。

ブルレ・マルクスの景観設計——フラメンゴ公園とコパカバーナ海岸の再設計——は、原設計の景観形態を完全に保存し、いまも市に高い社会的便益を与えているとされます。

漸進的な変化に弱い

しかしいくつかの例では、設計された景観の要素が漸進的な変化に脆弱である。——コパカバーナとフラメンゴ公園沿いの舗装と植栽では欠けた樹木とモザイクの補充が必要であり、植物園では大通り沿いのインペリアル・パームが枯死し、植え替えが必要である。

真正性の弱点が、枯れた椰子と欠けたモザイクという具体物で書かれています。紅河は「材料が手に入らない」、メイマンドは「担う人が減っている」、リオは「補充が追いついていない」。

誰が守っているか — 高さを決める規則

指定と法

対象 根拠
ティジュカ国立公園 1961年の連邦令で創設
植物園研究所 2001年の法により環境省の下の連邦の自治機関として創設
シュガーローフとウルカ 2000年6月18日の法律第9.985号で国家記念物に指定
目録 IPHAN(国家歴史芸術遺産研究所)とその前身が1938年以来、全体を目録化し国の保護のため個別の構造物を定めた

IPHAN の保護対象には、ティジュカ国立公園と植物園のほか、パルケ・ラージェ邸、フラメンゴ公園、カラ・デ・カォン、バビロニア、ウルカ、シュガーローフ、ドイス・イルマオンス、ペドラ・ダ・ガーヴェアの丘、サン・ジョアン要塞、サンタ・クルス要塞、そしてレメ・コパカバーナ・イパネマ・レブロン海岸の都市景観が含まれます。

IPHAN 令第127号(2009年4月30日)がブラジル文化的景観の指定の制度を定め、リオ・デ・ジャネイロの景観をブラジル文化的景観に指定する申請がされているとされます。

高さと標高で建築を抑える

この資産の保護は、建物の高さの規則で成り立っています。

規則 中身
20世紀 12階を超える高さの建築を認めない規範を創設
1970年代 丘へ向かう都市の成長を抑える計画手段を採用(1976年に認可)
シュガーローフとウルカの周辺 海抜60 m を超える建築は認めない
市のほかの丘(森林保護区域とされる) 海抜100 m が上限

2011年2月に「リオ・デ・ジャネイロ市の持続可能な都市開発のための新しいマスタープラン」が施行されました。この計画は、リオ・デ・ジャネイロの景観が市のもっとも価値ある資産を表すと定めています。

都市計画が景観を「市の最も価値ある資産」と位置づけている点が、スレイマン・トーやケルソネソスと対照的です。あちらは都市計画の承認待ちでした。

2級で押さえること

街の建物は資産に含まれない(相当数が緩衝地帯の側)。登録されたのは山と海と、そのあいだに設計された景観。基準(v)が「持続する伝統的な過程の結果ではない」と明記されている——科学・環境・デザインの思想に基づく、1世紀あまりの革新的な景観創造。紅河1,300年・ラヴォー11世紀・メイマンド10世紀と同じ基準で中身が違う。基準(vi)で認知度の高さは正にも負にも働きうると書かれている。完全性の弱点は高い峰のアンテナの乱立と水質汚染、真正性の弱点は枯れたインペリアル・パームと欠けたモザイク(補充が追いつかない)。保護は建物の高さの規則(12階上限、シュガーローフ周辺は海抜60 m、他の丘は100 m)。2011年のマスタープランが景観を「市の最も価値ある資産」と定める。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
文学文学が、価値のどこに入るか「芸術・文学・詩・音楽への霊感」
景観問題「眺望」が、どの節に出てくるか「白い高層の塊の不規則な群れ」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:リオ・デ・ジャネイロの登録範囲について正しいものは?

  1. 市街の建物も含めて市域の全体が登録されている
  2. 建物は資産に含まれるが、緩衝地帯は設定されていない
  3. 市街のもっとも密集した建物はどれも資産に含まれず、相当数が緩衝地帯に含まれる
  4. 市街の建物のうち12階以下のものだけが資産に含まれ、それを超える高層の建物は緩衝地帯に置かれている
正解と解説を開く

正解:3.市街のもっとも密集した建物はどれも資産に含まれず、相当数が緩衝地帯に含まれる

> これらの建物はどれも資産に含まれない。ただし相当数が緩衝地帯に含まれる。「リオの街が世界遺産」ではありません。登録されたのは山と海と、そのあいだに設計された景観で、街の建物は緩衝地帯の側です。12階を超える高さを認めない規範は、20世紀に作られた保護の仕組みのほうの話です。

確認2:リオ・デ・ジャネイロの登録基準(v)が、4章のほかの遺産と違う点は?

  1. 農業ではなく牧畜に対して認められている
  2. 持続する伝統的な過程の結果ではなく、科学・環境・デザインの思想に基づく交流で、1世紀あまりの間の革新的な景観創造を指している
  3. 自然の要素だけに対して認められている
  4. 1世紀あまりという短い期間であることを理由に、基準(v)が条件つきで認められており、持続する伝統的な過程が確認されるまで保留されている
正解と解説を開く

正解:2.持続する伝統的な過程の結果ではなく、科学・環境・デザインの思想に基づく交流で、1世紀あまりの間の革新的な景観創造を指している

> この交流は、持続する伝統的な過程の結果ではなく、むしろ科学・環境・デザインの思想に基づく交流を反映しており、それが1世紀あまりの間に、都市の中心部で大規模な革新的な景観創造につながった。紅河ハニ族棚田群は1,300年、ラヴォーは11世紀から、メイマンドは10世紀から続く慣行でした。同じ基準(v)が、まったく違う種類の相互作用に認められています。

確認3:リオ・デ・ジャネイロの完全性の節で、損なわれているとされているものは?

  1. 大西洋岸森林が失われている
  2. コルコバードのキリスト像が劣化している
  3. 山と海の境界面に高層の建物が建ち、眺望点から市街を見渡せなくなっている
  4. より高い峰がアンテナの乱立によって損なわれている
正解と解説を開く

正解:4.より高い峰がアンテナの乱立によって損なわれている

完全性の節は、どの要素も脅威にないとしつつ三つを挙げています——自然の要素と市街との境界面は都市の圧力に脆弱、より高い峰はアンテナの乱立によって損なわれている、ロドリゴ・デ・フレイタス潟(緩衝地帯内)と海はある程度の水質汚染を受けている。「脅威にない」と「損なわれている」が同じ節に並びます(紅河ハニ族棚田群と同じ形)。

確認4:リオ・デ・ジャネイロの真正性で、漸進的な変化に脆弱な例として挙げられているものは?

  1. コパカバーナとフラメンゴ公園の舗装と植栽で欠けた樹木とモザイクの補充が必要であり、植物園の大通りのインペリアル・パームが枯死していること
  2. ブルレ・マルクスの設計が全面的に作り替えられたこと
  3. 植物園の新古典主義の軸線が失われたこと
  4. 要塞がポルトガル人の入植の記憶を失い、グアナバラ湾の要塞都市としての性格が読み取れなくなっていること。植物園の新古典主義の軸線も失われ、設計の記憶が残っていないこと
正解と解説を開く

正解:1.コパカバーナとフラメンゴ公園の舗装と植栽で欠けた樹木とモザイクの補充が必要であり、植物園の大通りのインペリアル・パームが枯死していること

ブルレ・マルクスの景観設計(フラメンゴ公園とコパカバーナ海岸の再設計)は原設計の景観形態を完全に保存しているとされます。そのうえで、コパカバーナとフラメンゴ公園沿いの舗装と植栽では欠けた樹木とモザイクの補充が必要であり、植物園の大通り沿いのインペリアル・パームは枯死し植え替えが必要と書かれています。真正性の弱点が具体物で書かれている例です。

参考資料

確認日:2026年10月26日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。