ルワンダ虐殺の記憶の場:ニャマタ、ムランビ、ギソジ、ビセセロ

登録年
2023年
所在国
ルワンダ
登録区分
文化遺産
地域
アフリカ
登録基準
(vi)

どこにあり、何が登録されたのか — 基準は(vi)だけ、四つの構成要素

ルワンダ。四つの記憶の場からなる連続性資産。

本体 24.65 ha
緩衝地帯 136.16 ha(本体の約5.5倍)
登録 2023年(境界の変更の行はどちらも無い)
基準 (vi)=1つだけ
区分 文化遺産
dossier 1586(接尾辞なし)
シリアル `Serial: yes`(四つの構成要素)
保存状況報告 1年分(2025年)
お知らせ 1件(2023年10月9日「2023年:アフリカの世界遺産の保護と振興における新しい重要な一歩」)
`Assistance` のタブ ある
リンク 節が無い
ほかの保全の仕組み 節が無い
訳のある言語 6つ(英・仏・アラビア・中・露・西。日本語と蘭語が無い)

基準(vi)だけで登録された資産です。この章の4件すべてに基準(vi)が付き、そのうち三つは(vi)だけです。

四つの構成要素

構成要素 何が建てられたか 年 一次資料が書く役
ニャマタ(東部州) カトリック教会 1980年 虐殺の現場。「虐殺の痕跡をいまも帯びる」
ムランビ(南部州) 技術学校 1990年 同じ
ギソジ(キガリ市) キガリ虐殺記念館 1999年 25万人超が埋葬され、「悲劇の規模を映す」
ビセセロ(西部州) 記念館 1998年 「二か月以上にわたって加害者に抵抗したのち絶滅させられた人びとの闘いを記憶するため」

四つとも「丘(hill)」の上にあると書かれます(ニャマタの丘/ムランビの丘/ギソジの丘/ビセセロの丘)。二つは出来事の現場そのもの、二つは後から建てられた記念館です。建てられた年が、虐殺より前(1980年・1990年)と後(1998年・1999年)に分かれます。四つが代表するものが書かれます——「四つの記憶の場は、虐殺が行われたルワンダの200を超える礼拝所、公共の場所、抵抗の場所を代表し、省察と和解を促し、平和と対話の文化を促進する教育の役割を果たす」。選ばれた四つと、代表される200超を書き分けます。資産は全体ではありません。

基準(vi)が、何を根拠にするか

1994年4月から7月の100日間に100万人超の命を奪った、ルワンダのツチに対して行われた虐殺における鍵となる出来事を目撃した。

虐殺の起源は、植民の権力が政治の同一性として枠づけた民族の違いにさかのぼれるが、その出来事は、突然の激しさ——比較的短い期間に殺された人の数——と、遂行の仕方——隣人、家族の成員、民兵による市民の計画的で組織された絶滅——のために普遍的な意義を得た。

基準(vi)が挙げる根拠
突然の激しさ 100日間で100万人超
規模 ツチに対して行われた虐殺の規模
遂行の仕方 家族の成員、隣人、民兵による市民の絶滅
国際的な帰結 2003年の国連総会の決定(4月7日を「1994年ルワンダのツチに対する虐殺についての国際的省察の日」とする)

「起源」と「普遍的な意義」を書き分ける形です。起源は植民の権力が枠づけた民族の違いにさかのぼれると書き、普遍的な意義は激しさと遂行の仕方にあると書きます。どちらかに寄せず、両方を記録します。国際の制度につながったことが概要に書かれます。

つながった先
ルワンダ国際刑事裁判所 1994-2015年(期間が書かれる)
国際刑事裁判所 2002年(「それを創る過程に寄与した」)
国際的省察の日 2003年の国連総会の決定で4月7日(「世界中の虐殺との闘いへの関与を促そうとして」)

資産の価値が、国際の法と制度の成立に結びつけて書かれます。説明文と概要で数の書き方が違います——説明文は「推定100万人(an estimated one million people)」、概要と基準(vi)は「100万人超(more than one million people)」。「推定100万人」と「100万人超」を書き分けて記録します。説明文は加害の主体を名指しします——「インテラハムウェと呼ばれる武装民兵がツチを標的にし、穏健なフツとトゥワの人びとも処刑した」。概要は「隣人、家族の成員、民兵」と書き、民兵の名は出しません。

完全性が、保存されているものの脆さを書く

完全性は、属性が顕著な普遍的価値を伝える能力、すなわちその完備性と無傷さにある。属性は四つの構成要素の境界の内に含まれるが、主要な属性の目録があれば、資産の保存と管理のための基準線を確立することが可能になるだろう。

ニャマタのかつての教会の主要な建物の完全性は、虐殺の直後の状態で保存されており、建設の材料による自然の劣化と、その立地による都市開発から危険にさらされている。

構成要素の内の建物に保存された動産遺産の収蔵品と虐殺の証拠——ミイラ化した遺体、頭蓋骨、被害者の個人の持ち物など——の完全性は、環境の要因にきわめて脆弱である。

何が どんな危険に
ニャマタの教会の主要な建物(虐殺の直後の状態で保存) 建設の材料による自然の劣化/立地による都市開発
動産遺産の収蔵品と虐殺の証拠 環境の要因にきわめて脆弱

「虐殺の直後の状態で保存されている」ことが完全性の根拠であり、同時に脆さの原因です。その状態を保つことが保存の目標になるので、手を入れて直すことが目標にならない形です。属性の目録がまだ無いと書かれます——「主要な属性の目録があれば……基準線を確立することが可能になるだろう」。あれば可能になるという弱い形です。動産の収蔵品が完全性の対象として書かれます。建物と、建物の中にあるものを分けて書きます。

真正性が、証言の集め方で述べられる

ツチの虐殺の歴史は、包摂的で多様な仕方で報告されてきた。

誰から 何のために
虐殺の生存者 「迫害の期間における彼らの経験を記録するため」
虐殺の加害者 「彼らを同胞を殺すに至らせた政治および/または社会の仕組みと要因を理解するため」
伝統の法廷の会期(ガチャチャ法廷) 「ほかの語りの要素が集められた」
「正しい人(the Righteous)」 「彼らと愛する者にとってもっとも危険な時における抵抗の動機と理由を理解するため」
長老と賢者 「虐殺に至った憎しみが発展した歴史の文脈を理解するため」

真正性の節が、証言を誰からどう集めたかで述べられます。これまで読んだ269件で初めてです。加害者からも記述を集めたと書かれる点を記録します。目的は「仕組みと要因を理解するため」で、五つの出どころがそれぞれ別の目的を持ちます。建物と収蔵品についても真正性が書かれます——「教会の建物は、材料、形、設計が虐殺の時のままであるため、高い程度の真正性を保つ。一方で学校の建物は十分に無傷であり、どちらの場合も収蔵品は虐殺の恐ろしさを生々しく反映している」。建物ごとに評語が違います(「高い程度」/「十分に無傷」。)。作業指針第82項の三つの語(材料・形・設計)が使われます。解説への求めも書かれます——「四つの構成要素がルワンダのすべての虐殺の遺跡をどう映すか、虐殺の歴史と地理の文脈のより大きな理解にどう寄与するかだけでなく、その遂行の仕方が国際の共同体の注意と関心を引いた理由の解説も、強められるべきである」。

法が七つ、番号と日付つきで並ぶ

保護の法令

法令 何を定めるか
2016年7月22日法第28/2016号 文化遺産と伝統知識の保存
2024年2月8日大臣令第001/MINUBUMWE/24号 有形文化遺産の分類と、その利用および収入創出の条件
2016年5月2日法第15/2016号 ツチに対する虐殺を記念する式典と、記念の場の組織と管理
2007年2月16日法第09/2007号 虐殺との闘いのための国家委員会(CNLG)の権限・組織・機能
2021年10月21日首相令第021/03号 上を置き換え、国民統一市民参与省(MINUBUMWE)が CNLG の責任を引き継いだ
2005年4月8日組織法第04/2004号 環境の保護・保全・促進。第82条が「科学、文化、観光、歴史の関心のある遺跡と記念物を破壊する可能性のあるいかなる物質もどこにも投棄することを禁じる」
2014年の国家方針 虐殺とそのイデオロギーとの闘いと、その帰結の管理

法令の番号と日付の両方が、七つすべてに書かれます。組織法第04/2004号は「2005年4月8日」の日付が付きます。番号の年(2004)と日付の年(2005)が違うので、両方をそのまま写します。環境の法の条が引かれる点も記録します——第82条が投棄の禁止で遺跡を守ります。文化遺産を環境の法が守る形です。記念の式典を定める法がある点も記録します(法第15/2016号)。式典そのものが法の対象です。国家方針に記録の保全が含まれます——「ガチャチャ法廷とルワンダ国際刑事裁判所の記録を含む」。裁判の記録が記憶の保全の対象に入ります。「戦略計画が現在準備中である」とも書かれます。

誰が守っているか

管理の責任 国民統一市民参与省(MINUBUMWE)が、2023年7月24日首相令第011/03号に従って責任を負う
資源 「政府が提供する人的・財政的・物的資源を使って管理し保存する」
各遺跡 「各遺跡が独自の管理者を持ち、公務員の身分に従い、日々の遺跡の保全に責任を負う」
計画 「定期的に更新される管理計画(2023-2028年計画を含む)が、戦略の道具として役立つ」。「地元共同体を計画・管理・保護に関与させる仕組みを通じた能力形成のためにも」
求められること 「遺産影響評価は、緩衝地帯と資産のより広い環境のための計画の過程に含められるべきである」

遺跡の管理者が「公務員の身分に従う」と書かれる資産です。管理計画が「定期的に更新される」と書かれ、現行のものが2023-2028年です。19章のカトマンズの谷121 の「5年の周期」と同じく、期間が過ぎることを前提にした書き方です。遺産影響評価が緩衝地帯とより広い環境について求められます。19章のジョグジャカルタ1671 は2012年から運用されていました。1586 はこれから含めるべきものです。

2級で押さえること

本体24.65 ha/緩衝地帯136.16 ha(本体の約5.5倍)、2023年登録(境界の変更の行はどちらも無い)、基準(vi)=1つだけ、区分は文化遺産、dossier 1586、`Serial: yes`=四つの構成要素、保存状況報告1年分(2025年)、お知らせ1件、`Assistance` のタブがある、リンクの節もほかの保全の仕組みの節も無い、訳のある言語は6つ(日本語と蘭語が無い)。この章の4件すべてに基準(vi)が付き、三つは(vi)だけ。四つは丘の上にあり、二つは出来事の現場、二つは後から建てられた記念館——ニャマタのカトリック教会(1980年。虐殺の痕跡をいまも帯びる)/ムランビの技術学校(1990年。同じ)/ギソジの丘のキガリ虐殺記念館(1999年。25万人超が埋葬され「悲劇の規模を映す」)/ビセセロの丘の記念館(1998年。「二か月以上にわたって加害者に抵抗したのち絶滅させられた人びとの闘いを記憶するため」)。建てられた年が虐殺より前と後に分かれる。四つが「虐殺が行われたルワンダの200を超える礼拝所、公共の場所、抵抗の場所を代表し」、省察と和解を促し教育の役割を果たすので、選ばれた四つと代表される200超を書き分ける。基準(vi)が「起源」と「普遍的な意義」を書き分ける——起源は植民の権力が政治の同一性として枠づけた民族の違いにさかのぼれるが、普遍的な意義は「突然の激しさ」(100日間で100万人超)と「遂行の仕方」(隣人、家族の成員、民兵による市民の計画的で組織された絶滅)にある。国際の制度につながったことが書かれる——ルワンダ国際刑事裁判所(1994-2015年)、国際刑事裁判所(2002年)を創る過程への寄与、2003年の国連総会の決定で4月7日を国際的省察の日に。説明文と概要で数の書き方が違う(「推定100万人」と「100万人超」。)。説明文は民兵の名(インテラハムウェ)を挙げ、概要は挙げない。完全性が、保存されているものの脆さを書く——ニャマタの教会は「虐殺の直後の状態で保存されており」、建設の材料による自然の劣化と立地による都市開発から危険にさらされている。動産遺産の収蔵品と虐殺の証拠(ミイラ化した遺体、頭蓋骨、被害者の個人の持ち物など)は環境の要因にきわめて脆弱。「直後の状態」が完全性の根拠であり同時に脆さの原因で、手を入れて直すことが目標にならない形。属性の目録がまだ無い(「あれば……基準線を確立することが可能になるだろう」。)。真正性が証言の集め方で述べられる——生存者(経験の記録)/加害者(「彼らを同胞を殺すに至らせた政治および/または社会の仕組みと要因を理解するため」)/伝統の法廷(ガチャチャ法廷)の会期/「正しい人(the Righteous)」(抵抗の動機と理由)/長老と賢者(憎しみが発展した歴史の文脈)。269件で初めて。建物ごとに評語が違う(教会は「高い程度の真正性」、学校は「十分に無傷」。)。解説は「強められるべきである」。法令が七つ、番号と日付つきで並ぶ——法第28/2016号(2016年7月22日)/大臣令第001/MINUBUMWE/24号(2024年2月8日)/法第15/2016号(2016年5月2日。記念の式典と記念の場の組織と管理)/法第09/2007号(2007年2月16日。CNLG)/首相令第021/03号(2021年10月21日。MINUBUMWE が CNLG の責任を引き継いだ)/組織法第04/2004号(2005年4月8日。第82条が投棄を禁じる)/2014年の国家方針。番号の年(2004)と日付の年(2005)が違う組織法をそのまま写す。環境の法の条が文化遺産を守る。国家方針にガチャチャ法廷とルワンダ国際刑事裁判所の記録の保全が含まれる。管理は MINUBUMWE(2023年7月24日首相令第011/03号)で、各遺跡の管理者は「公務員の身分に従う」。管理計画は「定期的に更新される」もので現行は2023-2028年。遺産影響評価は緩衝地帯とより広い環境について「含められるべきである」。

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ルワンダ虐殺の記憶の場の四つの構成要素について、正しいのは?

  1. 四つすべてが虐殺の後に記念のために新しく建てられた施設で、出来事の現場は含まれていない
  2. 二つは出来事の現場で、二つは後から建てられた記念館である
  3. 四つすべてが出来事の現場で、記念のために後から建てられた施設は含まれていない
  4. 四つのうち三つはカトリック教会で、残る一つが技術学校だと書かれている
正解と解説を開く

正解:2.二つは出来事の現場で、二つは後から建てられた記念館である

ニャマタのカトリック教会(1980年建設)とムランビの技術学校(1990年建設)は虐殺の現場で、「虐殺の痕跡をいまも帯びる」と書かれます。ギソジの丘のキガリ虐殺記念館(1999年建設)とビセセロの丘の記念館(1998年建設)は後から建てられたものです。四つは「虐殺が行われたルワンダの200を超える礼拝所、公共の場所、抵抗の場所を代表する」と書かれるので、資産は全体ではありません。

確認2:ルワンダ虐殺の記憶の場の真正性の節が述べているのは?

  1. 五つの出どころから証言や記述を集めてきたこと
  2. 建物の材料と形と設計が建設の時のままであることだけを根拠にしていること
  3. 証言の収集はこれから行う必要があり、まだ着手されていないこと
  4. 生存者の証言だけを根拠とし、ほかの出どころは意図的に除いていること
正解と解説を開く

正解:1.五つの出どころから証言や記述を集めてきたこと

生存者(経験の記録のため)、加害者(彼らを同胞を殺すに至らせた政治および/または社会の仕組みと要因を理解するため)、伝統の法廷の会期、「正しい人」(抵抗の動機と理由を理解するため)、長老と賢者(憎しみが発展した歴史の文脈を理解するため)の五つです。真正性の節が証言の集め方で述べられる資産は、これまで読んだ269件で初めてです。建物についても別に書かれ、教会は「高い程度の真正性」、学校は「十分に無傷」と評語が違います。

確認3:ルワンダ虐殺の記憶の場の完全性の節が、ニャマタの教会について書いているのは?

  1. すでに全面的に修復されていて、建設の当初の姿に戻されたので保存の危険は無いということ
  2. 建物は取り壊され、跡地に新しい記念館が建てられているということ
  3. 資産の境界の外にあるため、完全性の評価の対象に入っていないということ
  4. 虐殺の直後の状態で保存されており、材料の劣化と都市開発の危険にあること
正解と解説を開く

正解:4.虐殺の直後の状態で保存されており、材料の劣化と都市開発の危険にあること

「虐殺の直後の状態で保存されており、建設の材料による自然の劣化と、その立地による都市開発から危険にさらされている」と書かれます。その状態を保つことが保存の目標なので、手を入れて直すことが目標にならない形です。建物の中の動産遺産の収蔵品と証拠は「環境の要因にきわめて脆弱である」と別に書かれます。

確認4:ルワンダ虐殺の記憶の場の保護管理の節における法令の書かれ方は?

  1. 法令の名前はいっさい書かれず、「国内法による保護」とだけ書かれている
  2. 文化遺産の法が一つだけ書かれ、ほかの分野の法令には触れていない
  3. 七つの法令が、それぞれ番号と日付つきで並ぶ
  4. 法令は番号だけが書かれ、いつ定められたかは分からないようになっている
正解と解説を開く

正解:3.七つの法令が、それぞれ番号と日付つきで並ぶ

文化遺産と伝統知識の保存の法、有形文化遺産の分類の大臣令、記念の式典と記念の場の組織と管理の法、虐殺との闘いのための国家委員会の法、それを置き換えた首相令、環境の組織法、2014年の国家方針です。環境の組織法は第82条が投棄の禁止で遺跡を守るので、文化遺産を環境の法が守る形です。番号の年と日付の年が違う組織法も、そのまま写して記録します。

参考資料

確認日:2026年10月29日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。