現代人的行動の出現:南アフリカにおける更新世の居住地群

登録年
2024年
所在国
南アフリカ
登録区分
文化遺産
地域
アフリカ
登録基準
(iii) (iv) (v)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 三つの遺跡

南アフリカ、西ケープ州とクワズール・ナタール州。

本体 57.4 ha
緩衝地帯 965.5 ha(本体の約16.8倍)
登録 2024年、基準 (iii)(iv)(v)
dossier 1723
連続性資産 はい(Serial: yes)。三つの構成要素
保存状況報告 一覧に記載が無い
ほかの保全の仕組み 二つの制度・二つの要素——生物圏保存地域(ゴウリッツ・クラスター)とラムサール(フェルローレンフレイ)

三つの遺跡

遺跡 位置
ディープクルーフ岩陰 現在の海岸線から約10キロメートル
シブドゥ洞窟 現在の海岸線から約10キロメートル
ピナクル・ポイント遺跡複合体 海岸に直接

「現在の海岸線から」という書き方です。当時の海岸線は違ったと読めますが、一次資料はそう書いていないので断定しません。

何が分かるのか

これらの遺跡は、現代人の行動の発展についての、知られているもっとも多様でもっともよく保存された記録を与えており、16万2,000年前まで遡る。

象徴の思考と進んだ技術が、次の証拠によって例示されている——

証拠
黄土(オーカー)の加工
黄土と骨への刻紋
体の装飾のための河口の貝のビーズ
装飾されたダチョウの卵殻
進んだ飛び道具のための石器技術
道具作りのための石の熱処理
マイクロリス(細石器)

七つが並んでいます。

この連続性資産は、行動の上で現代的な人類の起源、その認知の能力と文化、そして彼らが生き延びた気候の移行の理解に寄与している。

「彼らが生き延びた気候の移行」という書き方です。

三つの基準 — 基準(v)に気候変動が入る

基準 中身
(iii) 三つの遺跡の考古の層が、中期石器時代における行動と古環境の発展への例外的な証拠を与える。それらは象徴の思考と進んだ技術の早い証拠を含む。資料の大きな多様さ、早い年代、そして優れた保全の状態が、人類の発展のこの重要な一歩の証拠を例外的なものにしている
(iv) 約16万2,000年前から3万8,000年前に遡る古代の人類の生活の、例外的によく層をなし、よく年代決定された堆積の記録を保存している。抽象の思考、計画し戦略を立てる能力、そして技術の革新——たとえば接着剤の準備と使用、石の資料の熱処理を含む——の証拠によって例示される
(v) 中期と後期更新世における沿岸の資源の一貫した利用についての、知られているもっとも重要な証拠のいくつかを与えている

基準(v)に気候変動が入る

現在の海面が気候変動のために上昇するにつれ、人類の沿岸資源利用の古代の記録の多くが消し去られたか、重大な危険にある。そのため、これらのまれな遺跡の優れた保全の状態は、古気候と古環境の証拠を保存するために決定的である。

基準(v)の中に気候変動が書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。

11章では、基準(v)が付く5件すべてで基準の文に脆弱性が書かれていました。南アフリカ1723 もその形ですが、原因が気候変動です。

遺産 基準(v)の中の脆弱性の原因
南アフリカの更新世の居住地群1723 気候変動による海面上昇(資産の外の記録が消し去られた)
カイロ89(11章) 運河の埋め立て・新しい建築の模型・元の機能の変化
カイラワーン499(11章) 社会経済の変化
マラケシュ331(11章) 人口の変化
サナア385(11章) 同時代の社会の変化
イマーム広場115(11章) 本質的に脆弱な都市建築の形
ルーネンバーグ741(8章) 漁業の不可逆の変化

南アフリカ1723 は、「資産が脆弱」ではなく「ほかの場所の記録が失われたので、ここの保存が決定的である」という向きの書き方です。ゼミはこの違いを記録します。

完全性と真正性 — 発掘の標準と査読が根拠になる

完全性

資産は顕著な普遍的価値を表すのに必要なすべての属性を含み、その意義を伝える特徴の完全な表現を確かにするのに十分な大きさである。

三つの構成要素はすべて、合わせて約12万4,000年の時間幅(16万2,000年前から3万8,000年前まで)を覆う長い層序の連続を含んでいる。

保存の条件は、シブドゥ洞窟の有機の資料についてさえ非常によい。

「有機の資料についてさえ」という書き方です。

好ましい堆積の過程が、自然の侵食または人間あるいは動物の活動による喪失をほとんどまたは全く伴わずに、考古学的に意義ある堆積の着実な蓄積を許してきた。

サンギラン593 は「侵食が発掘者」でしたが、南アフリカ1723 は「侵食による喪失がほとんど無い」です。

発掘と公表が完全性の中身になる

遺跡からの眺めは概して乱されていない。 考古の発掘は最高の国際的な標準に従って行われてきた。 すべての遺物は国の収蔵に注意深く保管され目録化され、その意義とそれに基づく解釈は国際誌で報告され公表されてきた。

発掘の標準・収蔵・公表が完全性の中身として書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。

真正性 — 査読が根拠になる

資産の文化の価値は、その属性を通じて真実にかつ信頼できる仕方で表されている。

層序の連続と異なる堆積の年代決定——いくつもの国際的な多分野の専門家チームによって発掘され記録され、公表の時点で査読されたもの——が、現代人の行動の証拠をなす考古の文脈と遺存の真正性を確認している。

「査読されたもの」が真正性の根拠として書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。

この章では、真正性の根拠がいくつも出ました。

遺産 真正性の根拠
南アフリカの更新世の居住地群1723 国際的な多分野のチームによる発掘と記録、そして公表時の査読
ヒマー1619 パティナの状態、風化の状態、画像より後と判定された岩面の割れ、ほかの場所の直接年代決定された岩絵との様式の類似
クエバ・デ・ラス・マノス936 重なりの詳細な研究、色調の異なる使い方、炭素年代決定、壁からはがれ落ちて発掘で見つかった彩色された断片
ウィランドラ湖167 「西洋またはヨーロッパの文化の意味で」厳格な科学の調査/伝統的部族集団にとっては疑いが生じたことがない
サンギラン593 それぞれの元の層からの文化の資料

先史時代の資産では、真正性が「研究の手続」で述べられることがあります。

誰が守っているか — 私有で、協定がまだ

三つの法

法 中身
1999年世界遺産条約法第49号 三つの構成要素を保護し、遺産影響評価の体系を定める
1999年国家遺産資源法第25号 同上
1998年国家環境管理法第107号 影響評価の体系も含む

三つの法がすべて「影響評価」に関わります。

州ごとに管理が分かれる

構成要素 調整と主催
西ケープの構成要素 州の水準で、文化・スポーツ執行協議会の構成員(大臣)によって
クワズール・ナタールの構成要素 クワズール・ナタール・アマファ・研究研究所によって

二つの当局が、共同管理委員会の設立を通じて全体の管理当局を共同で務めることになる。

「務めることになる(will jointly serve)」——将来形です。

それぞれの構成要素が、在地の文脈に基づく遺跡管理委員会を持つことになる。

これも将来形です。

5章では、国際的な調整の仕組みが実績と将来形に分かれました。南アフリカ1723 は、国内の二つの州のあいだでも同じ形が出ます。

遺産 調整の体 書かれ方
南アフリカの更新世の居住地群1723 共同管理委員会 将来形
アルマデンとイドリア1313(5章) 国際委員会 機能していることを示してきた
カルパティアの木造教会群1424(5章) 運営委員会 将来形
クエバ・デ・ラス・マノス936 遺跡委員会 結成されたが強化を要する

助言と計画

南アフリカ世界遺産条約委員会が、世界遺産リストに登録された資産に関わる論点について助言する。

締約国の世界遺産条約法のもとで要求されるとおり、統合保全管理計画が策定されてきた。

関係者と在地の共同体は、管理の過程によく組み込まれている。

私有であることの課題

構成要素は私有であり、そのため遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化が、できるだけ早く完了すべき重要な一歩である。

「できるだけ早く(as soon as possible)」と書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。

11章では、所有の形が資産ごとに違うことを記録しました。南アフリカ1723 は、私有であることが「正式化がまだ」という課題として書かれます。

遺産 私有の扱い
南アフリカの更新世の居住地群1723 私有なので、遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化をできるだけ早く完了すべき
ルーネンバーグ741(8章) ほぼ全体が私有。所有者への圧力が脅威
サナア385(11章) 「非常に高い割合の持ち家」が無形の価値
メディナ・アサーラ1560(11章) 大部分が公有。それが保護を助ける
ストーンヘンジ373 約3分の1が保全団体の所有と管理。資産内に相当な数の私的な世帯があり、在地の住民が管理に重要な役割

2級で押さえること

基準(iii)(iv)(v)、本体57.4 ha・緩衝965.5 ha(約16.8倍)、2024年登録、連続性資産(Serial: yes)で三つの構成要素、一覧に保存状況報告の記載が無い、他制度との重なりが二つの制度・二つの要素(生物圏保存地域ゴウリッツ・クラスターとラムサールのフェルローレンフレイ)。三つの遺跡——ディープクルーフ岩陰とシブドゥ洞窟は「現在の海岸線から約10キロメートル」、ピナクル・ポイント遺跡複合体は「海岸に直接」。「現代人の行動の発展についての、知られているもっとも多様でもっともよく保存された記録」で、16万2,000年前まで遡る。象徴の思考と進んだ技術の証拠は七つ——黄土の加工/黄土と骨への刻紋/体の装飾のための河口の貝のビーズ/装飾されたダチョウの卵殻/進んだ飛び道具のための石器技術/道具作りのための石の熱処理/マイクロリス。「行動の上で現代的な人類の起源、その認知の能力と文化、そして彼らが生き延びた気候の移行」の理解に寄与する。基準(iv)は約16万2,000年前から3万8,000年前の「例外的によく層をなし、よく年代決定された堆積の記録」とし、接着剤の準備と使用、石の資料の熱処理を例に挙げる。基準(v)に気候変動が入る——「現在の海面が気候変動のために上昇するにつれ、人類の沿岸資源利用の古代の記録の多くが消し去られたか、重大な危険にある。そのため、これらのまれな遺跡の優れた保全の状態は、古気候と古環境の証拠を保存するために決定的である」——基準(v)に気候変動が書かれるのはこれまで読んだ125件でここだけ。11章の基準(v)は「資産が脆弱」だったが、南アフリカ1723 は「ほかの場所の記録が失われたので、ここの保存が決定的である」という向き。完全性は、三つの構成要素が合わせて約12万4,000年の時間幅を覆う長い層序の連続を含むとし、「保存の条件は、シブドゥ洞窟の有機の資料についてさえ非常によい」「好ましい堆積の過程が、自然の侵食または人間あるいは動物の活動による喪失をほとんどまたは全く伴わずに……着実な蓄積を許してきた」(サンギラン593 の「侵食が発掘者」とは逆)。発掘の標準・収蔵・公表が完全性の中身として書かれる——「考古の発掘は最高の国際的な標準に従って行われてきた」「すべての遺物は国の収蔵に注意深く保管され目録化され、その意義とそれに基づく解釈は国際誌で報告され公表されてきた」。真正性の根拠が査読——「いくつもの国際的な多分野の専門家チームによって発掘され記録され、公表の時点で査読されたもの」が真正性を確認する——これも125件でここだけ。先史時代の資産では、真正性が「研究の手続」で述べられることがある。1999年世界遺産条約法第49号・1999年国家遺産資源法第25号・1998年国家環境管理法第107号の三つが、すべて影響評価に関わる。西ケープの構成要素は文化・スポーツ執行協議会の構成員(大臣)、クワズール・ナタールの構成要素はクワズール・ナタール・アマファ・研究研究所が調整し主催し、「二つの当局が、共同管理委員会の設立を通じて全体の管理当局を共同で務めることになる」——将来形。それぞれの構成要素が在地の文脈に基づく遺跡管理委員会を持つことになる——これも将来形。南アフリカ世界遺産条約委員会が助言し、統合保全管理計画が策定されてきた。構成要素は私有で、「遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化が、できるだけ早く完了すべき重要な一歩である」——「できるだけ早く」と書かれるのも125件でここだけ。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産が出てくるキーワード

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
気候変動基準・完全性・脅威・機会のどこに置かれるか「現在の海面が気候変動のために上昇するにつれ」

いまのところ、この遺産が出てくるキーワードは1つです。ゼミの試作46本で数えた話で、公式テキストの分類ではありません。

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。このキーワードの練習では、ほかの参加記事と並べて読みます——同じ論点が、別の資産でどう書かれているかを見るためです。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:南アフリカの更新世の居住地群の基準(v)に書かれていることは?

  1. 資産そのものが気候変動によって脆弱になっている
  2. 基準(v)は付いていない
  3. 現在の海面が気候変動のために上昇するにつれ、人類の沿岸資源利用の古代の記録の多くが消し去られたか重大な危険にあり、そのため資産そのものの沿岸の資源の記録もすでに失われている
  4. 現在の海面が気候変動のために上昇するにつれ、人類の沿岸資源利用の古代の記録の多くが消し去られたか重大な危険にあり、そのためこれらのまれな遺跡の保全が決定的である
正解と解説を開く

正解:4.現在の海面が気候変動のために上昇するにつれ、人類の沿岸資源利用の古代の記録の多くが消し去られたか重大な危険にあり、そのためこれらのまれな遺跡の保全が決定的である

書かれているのは「資産が脆弱」ではなく、「ほかの場所の記録が失われたので、ここの保存が決定的である」という向きです。資産の記録は失われていません——「これらのまれな遺跡の優れた保全の状態は、古気候と古環境の証拠を保存するために決定的である」。基準(v)に気候変動が書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。

確認2:南アフリカの更新世の居住地群の完全性に書かれている、これまで読んだ127件でここだけの記述は?

  1. すべての属性が資産の境界の中にある
  2. 完全性についての記述は無い
  3. 考古の発掘が最高の国際的な標準に従って行われ、すべての遺物が国の収蔵に保管され目録化され、その解釈が国際誌で報告され公表されてきた
  4. 考古の発掘が最高の国際的な標準に従って行われ、すべての遺物が国の収蔵に保管され目録化されており、それはこの章のほかの資産の完全性にも共通する書き方である
正解と解説を開く

正解:3.考古の発掘が最高の国際的な標準に従って行われ、すべての遺物が国の収蔵に保管され目録化され、その解釈が国際誌で報告され公表されてきた

発掘の標準・収蔵・公表が完全性の中身として書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。この章のほかの資産の完全性は違います——サンギラン593 は「侵食がもっとも効率的な発掘者」、ウィランドラ湖167 はルネットの侵食の割合、ヴェゼール渓谷85 は年代の幅と研究の長い歴史です。

確認3:南アフリカの更新世の居住地群の真正性の根拠として書かれているのは?

  1. いくつもの国際的な多分野の専門家チームによって発掘され記録され、公表の時点で査読されたこと
  2. パティナの状態と風化の状態
  3. 真正性についての記述は無い
  4. いくつもの国際的な多分野のチームによる発掘と公表時の査読、およびパティナの状態と風化の状態の両方
正解と解説を開く

正解:1.いくつもの国際的な多分野の専門家チームによって発掘され記録され、公表の時点で査読されたこと

> 層序の連続と異なる堆積の年代決定——いくつもの国際的な多分野の専門家チームによって発掘され記録され、公表の時点で査読されたもの——が、……真正性を確認している。「パティナの状態、風化の状態」はヒマー1619 です。「査読されたもの」が真正性の根拠として書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。先史時代の資産では、真正性が「研究の手続」で述べられることがあります。

確認4:南アフリカの更新世の居住地群の所有について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 構成要素はすべて公有である
  2. 構成要素は私有で、遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化が「できるだけ早く完了すべき重要な一歩」とされる
  3. 所有についての記述は無い
  4. 構成要素は私有で、遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化が重要な一歩とされているが、その協定はすでに締結されている
正解と解説を開く

正解:2.構成要素は私有で、遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化が「できるだけ早く完了すべき重要な一歩」とされる

> 構成要素は私有であり、そのため遺産協定を通じた法的所有者との関係の正式化が、できるだけ早く完了すべき重要な一歩である。まだ締結されていません。「できるだけ早く(as soon as possible)」と書かれる資産は、これまで読んだ125件でここだけです。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。