どこにあり、何が登録されたのか — 顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い
スリランカ。一覧の所在地は中部州マータレー県。座標は N7 57 0 E80 45 0。
| 本体 | 一覧に行が無い |
|---|---|
| 緩衝地帯 | 一覧に行が無い |
| 登録 | 1982年(境界の変更の行はどちらも無い) |
| 基準 | (ii)(iii)(iv)=3つ |
| 区分 | 文化遺産 |
| dossier | 202(接尾辞なし) |
| シリアル | 一覧に行が無い |
| 保存状況報告 | 2年分(1998・2001年) |
| お知らせ | 節が無い |
| 催事 | 1件——「人・自然・文化についてのアジア地域コース2019」(2019年11月18-30日) |
| 動画 | 1件(UNESCO/NHK) |
| リンク | 1件——OUR PLACE 世界遺産コレクションの写真 |
| `Assistance` のタブ | ある |
| ほかの保全の仕組み | 節が無い |
| 訳のある言語 | 8つ(英・仏・アラビア・中・露・西・日・蘭) |
顕著な普遍的価値の節が、丸ごと無い
このページには `Outstanding Universal Value` の節がありません。説明文のあと、すぐにリンク・催事・動画・一覧が続きます。
| あるもの | 無いもの |
|---|---|
| 説明文(Description) | Brief synthesis |
| 一覧(面積の行は無い) | Criterion (ii)・(iii)・(iv) の各文 |
| 催事・動画・リンク・`Assistance` のタブ | Integrity(完全性) |
| 保存状況報告2年分 | Authenticity(真正性) |
| — | Protection and management requirements(保護管理) |
基準は(ii)(iii)(iv)の三つが一覧に書かれているのに、それぞれの基準の文がありません。「どの基準で登録されたか」は読めますが、「なぜその基準が付いたか」は読めません。ゼミはこれを「情報が足りないから後回し」にしません。「一次資料に記述が無い」と書いて使います。これまで読んだ資産でも、顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い例は何度か出ています(トンガリロ421/ウランゲリ島1023/ドナウ・デルタ588/カナイマ701)。202 は文化遺産でこの形になる例です。面積の行も無いので、資産の広さも分かりません。1982年の登録で、面積の記載が無い資産として記録します。
説明文だけから読めること
書かれているのは、次の二文だけです。
父殺しの王カッサパ1世(477-95年)が建てた首都の遺跡が、高さ約180 m の花崗岩の峰(四方からジャングルを見下ろす『獅子の岩』)の急な斜面と頂上にある。
レンガと漆喰で造られた巨大な獅子の口から現れる一連の回廊と階段が、遺跡へのアクセスを与える。
| 読めること | |
|---|---|
| 誰が | カッサパ1世(「父殺しの(parricidal)」という語が付く) |
| いつ | 477-95年(在位の年と読めるが、一次資料は「王」の後に括弧で置くだけ) |
| 何が | 首都の遺跡 |
| どこに | 高さ約180 m の花崗岩の峰の急な斜面と頂上 |
| 峰の呼び名 | 「獅子の岩(Lion’s Rock)」 |
| どう登るか | 巨大な獅子の口から現れる一連の回廊と階段 |
| 獅子の材料 | レンガと漆喰 |
説明文が王の性格を書く資産です——「父殺しの(parricidal)」。評語をそのまま写し、「王位を奪った」などに言い換えません。477-95年が何の年かは書かれていません。在位の年と読めますが、一次資料は「王カッサパ1世(477-95)」と括弧で置くだけです。生没年か在位年かを決めずに記録します。壁画(シーギリヤ・レディ)にも、水の庭園にも、鏡の壁にも触れられていません。説明文に書かれていないものを補いません。「首都」と書かれるので、城塞ではなく都市として位置づけられます。資産名も「シーギリヤの古代都市(Ancient City of Sigiriya)」で、「城塞」ではありません。
節が無い資産を、どう扱うか
書けることと、書けないこと
| 項目 | 書けるか |
|---|---|
| 登録年・基準・dossier・所在地・座標 | 書ける(一覧から) |
| 保存状況報告の年 | 書ける(1998・2001年) |
| 説明文の内容 | 書ける(上の二文) |
| 顕著な普遍的価値の根拠 | 書けない(節が無い) |
| 完全性・真正性の評価 | 書けない(節が無い) |
| 法令・管理計画・管理の主体 | 書けない(節が無い) |
| 面積・緩衝地帯 | 書けない(一覧に行が無い) |
| 脅威 | 書けない(どこにも書かれていない) |
「書けない」と「無い」は別です。保存状況報告が1998年と2001年にあるので、何らかの保存上の議論があったと読めますが、その中身はこのページに書かれていません。`Assistance` のタブがあることも記録します。国際援助の記録があることは読めますが、中身はこのページに無いので、タブがあることまでを書きます。
同じ章のほかの資産と比べる
| 遺産 | 節の数 |
|---|---|
| シーギリヤ202 | 零(顕著な普遍的価値の節そのものが無い) |
| ラジャスタンの丘陵城塞群247 | 四つ(Brief synthesis / Integrity / Authenticity / Protection and Management requirements) |
| カトマンズの谷121 | 四つ |
| ジョグジャカルタ1671 | 四つ |
同じ章で、節が零の資産と四つの資産が並びます。1982年の登録は、この章でいちばん古いものの一つです(121 が1979年)。121 は1979年の登録なのに四つの節がそろっていますので、登録の古さだけでは説明できません。
覚えるときの扱い
ゼミの原稿では、この資産について「説明文と一覧から読めること」だけを書きます。書かれていないことを、ほかの資産の型から推測して埋めません。問題を作るときも、説明文と一覧の記載だけを根拠にします。「完全性はどう書かれているか」のような問いは、この資産では作れません。
一覧の下部から読めること
保存状況報告が二年だけある
| 年 | |
|---|---|
| 1998年 | — |
| 2001年 | — |
登録(1982年)から16年空いて、二年だけ報告があります。その後は無いので、報告が続いていないことまでを記録します(の読み方と同じく、年の並びを読む)。危機遺産リストには載っていません(一覧に行が無い)。
催事が一件だけある
「人・自然・文化についてのアジア地域コース2019」(2019年11月18日-30日)
資産が研修の場として使われたことが読めます。同じ章のほかの資産と並べると、催事の有無が分かれます。
| 遺産 | 催事 |
|---|---|
| シーギリヤ202 | 1件(2019年のアジア地域コース) |
| カトマンズの谷121 | 2件(どちらも2013年の「カトマンズを再訪する」国際シンポジウム関連) |
| ラジャスタンの丘陵城塞群247 | 節が無い |
| ジョグジャカルタ1671 | 節が無い |
催事の節がある資産とない資産が同じ章に並びます。
動画とリンク
| 動画 | 1件(UNESCO/NHK) |
|---|---|
| リンク | 1件——OUR PLACE 世界遺産コレクションの写真。資産の公式ページも、政府のページも無い |
リンクが写真のコレクションだけの資産です。34章・35章・37章では政府や管理組織のページが並ぶ資産がありました。リンクの中身も資産ごとに違います。訳のある言語は8つで、この章でいちばん多い(247 と121 は後述、1671 は6つ)。顕著な普遍的価値の節が無いのに、説明文の訳は8言語あります。訳の多さと記述の充実は別です。
2級で押さえること
一覧に面積の行が無い(本体も緩衝地帯も)、1982年登録(境界の変更の行はどちらも無い)、基準(ii)(iii)(iv)=3つ、区分は文化遺産、dossier 202、シリアルの行が無い、所在地は中部州マータレー県、保存状況報告2年分(1998・2001年。登録から16年空いて二年だけ)、お知らせの節が無い、催事1件(2019年のアジア地域コース)、動画1件(UNESCO/NHK)、リンク1件(OUR PLACE の写真だけ)、`Assistance` のタブがある、ほかの保全の仕組みの節が無い、訳のある言語は8つ(この章でいちばん多い)。顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い——`Brief synthesis` も基準の各文も `Integrity` も `Authenticity` も `Protection and management requirements` も無い。基準は一覧に(ii)(iii)(iv)と書かれているのに、それぞれの基準の文が無いので、「どの基準で登録されたか」は読めるが「なぜその基準が付いたか」は読めない。これまでのトンガリロ421・ウランゲリ島1023・ドナウ・デルタ588・カナイマ701 と同じ型で、202 は文化遺産でこの形になる例。面積の行も無いので資産の広さも分からない。書かれているのは説明文の二文だけ——「父殺しの王カッサパ1世(477-95年)が建てた首都の遺跡が、高さ約180 m の花崗岩の峰(四方からジャングルを見下ろす『獅子の岩』)の急な斜面と頂上にある」と「レンガと漆喰で造られた巨大な獅子の口から現れる一連の回廊と階段が、遺跡へのアクセスを与える」。説明文が王の性格を書く(「父殺しの(parricidal)」。)。477-95年が在位年か生没年かは書かれていない。壁画にも水の庭園にも鏡の壁にも触れられていない。資産名は「古代都市」で「城塞」ではなく、説明文も「首都の遺跡」と書く。書けることと書けないことを分ける——登録年・基準・dossier・所在地・座標・保存状況報告の年・説明文の内容は書けるが、価値の根拠・完全性・真正性・法令・管理計画・管理の主体・面積・脅威は書けない。「書けない」と「無い」は別。同じ章で節が零の資産(202)と四つの資産(247・121・1671)が並ぶ。121 は1979年の登録なのに四つの節がそろうので、登録の古さだけでは説明できない。問題も説明文と一覧の記載だけを根拠に作る。
オリジナル確認問題
答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。
確認1:シーギリヤの古代都市のページについて、正しいのは?
- 顕著な普遍的価値の節はあるが、完全性と真正性の節だけが欠けているので状態が読めない
- 顕著な普遍的価値の節が丸ごと無く、基準の各文も書かれていない
- 基準の各文は書かれているが、一覧に基準の番号が載っていないのでどの基準かが読めない
- 四つの節がすべてそろっているので、価値の根拠から管理の体制まで一通り読み取れる
正解と解説を開く
正解:2.顕著な普遍的価値の節が丸ごと無く、基準の各文も書かれていない
説明文のあと、すぐにリンク・催事・動画・一覧が続きます。一覧には基準(ii)(iii)(iv)と書かれているので「どの基準で登録されたか」は読めますが、「なぜその基準が付いたか」は読めません。ゼミはこれを「情報が足りないから後回し」にせず、「一次資料に記述が無い」と書いて使います。
確認2:シーギリヤの古代都市の説明文に書かれているのは?
- 岩壁に描かれた女性の壁画と、頂上へ至る鏡の壁の技法についての詳しい記述
- 資産の面積と緩衝地帯の広さ、および境界が自然現象で定義されていること
- 王位の継承の経緯と、都が放棄されたあとに僧院として使われた期間の年代
- 父殺しの王カッサパ1世が建てた首都の遺跡だということ
正解と解説を開く
正解:4.父殺しの王カッサパ1世が建てた首都の遺跡だということ
「父殺しの王カッサパ1世(477-95年)が建てた首都の遺跡が、高さ約180 m の花崗岩の峰……の急な斜面と頂上にある」と書かれます。壁画にも水の庭園にも鏡の壁にも触れられていません。書かれていないものを補いません。面積の行も一覧にありません。477-95年が在位年か生没年かも書かれていません。
確認3:シーギリヤの古代都市について、一次資料から書けることは?
- 登録年・基準・所在地・座標・保存状況報告の年と、説明文の内容
- 完全性と真正性の評価、および保護の法令と管理計画の段階についての記述の要約
- 資産の面積と緩衝地帯の広さ、および構成要素ごとの保護の区分の違いの一覧
- 脅威の種類と時制、および管理の主体とその職員の技能についての評価
正解と解説を開く
正解:1.登録年・基準・所在地・座標・保存状況報告の年と、説明文の内容
価値の根拠・完全性・真正性・法令・管理計画・管理の主体・面積・脅威は、節が無いか一覧に行が無いので書けません。「書けない」と「無い」は別です。保存の状況についての報告が二度出ているので何らかの議論があったと読めますが、中身はこのページに書かれていません。`Assistance` のタブがあることも、タブがあることまでを記録します。
確認4:シーギリヤの古代都市の一覧の下部から読めるのは?
- 危機遺産リストに載った年の範囲が二つあり、二度目はいまも続いていること
- ほかの保全の仕組みとしてラムサールと生物圏保存地域の要素が登録されていること
- 保存状況報告が1998年と2001年の二年だけで、その後は無いこと
- お知らせが10件以上あり、そのうち複数が地震の被害を伝えていること
正解と解説を開く
正解:3.保存状況報告が1998年と2001年の二年だけで、その後は無いこと
登録(1982年)から16年空いて二年だけ報告があり、その後は無いので、報告が続いていないことまでを記録します。危機遺産リストの行はありません。ほかの保全の仕組みの節もお知らせの節もありません。リンクは OUR PLACE の写真の1件だけで、資産の公式ページも政府のページもありません。
参考資料
確認日:2026年10月29日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。