聖山スレイマン・トー

登録年
2009年
所在国
キルギス
登録区分
文化遺産
地域
アジア
登録基準
(iii) (vi)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか

キルギス。フェルガナ盆地を見下ろし、オシの市街の背景をなす山。中央アジアのシルクロードの重要な路の交差点にあたります。中世のオシは肥沃なフェルガナ盆地で最大の都市の一つで、スレイマン・トーは旅人の目印(beacon)でした。

少なくとも1,500年にわたって聖なる山として崇められてきました。

要素 数
峰 5つ
ペトログリフのある場所 101か所(人・動物・幾何学的な形)
礼拝所 17か所が現用。ほかに使われていないものも多数
モスク 16世紀の2つ(大部分が再建)

礼拝所は峰の周りに散り、小径で結ばれています。不妊・頭痛・腰痛を治し、長寿の恵みを与えると信じられています。

イスラム以前とイスラムが混ざる

山への崇敬はイスラム以前の信仰とイスラムの信仰を混ぜ合わせ、とくに馬の信仰(cult of the horse)を反映しているとされます。

UNESCO は、この山がアヴェスターとヴェーダの伝統の宇宙における象徴的な図像に近く対応すると書いています——四つの峰を支配する一つの峰を持つ単一の山が、広大な河谷のほぼ中心に立ち、景観体系の中のほかの山々に囲まれて関係づけられているという形です。

基準 対象
(iii) イスラム以前と以後の祭祀の慣行の物的証拠の豊かな集中が、その「理想的な」形とあいまって、中央アジアのどこよりも完全な聖山の姿を示すこと
(vi) 数千年にわたる山岳崇拝の強い伝統の例外的に生々しい証拠で、イスラムによってうまく吸収されたこと。中央アジアの広い範囲に深い影響を与えた

登録の範囲 — 緩衝地帯が本体の約43倍

面積
本体 112 ha
緩衝地帯 4,788 ha
推薦書 1230rev

緩衝地帯が本体の約42.75倍。この章で最大の比です。(ケルソネソスは約11.7倍、シンガポール植物園は約2.8倍。)

なぜこれほど広いのか。次の節で読めます——この山の聖性は平野から立ち上がる劇的な形に結びついており、山の周りの見え方を守らなければ価値が保てないからです。

完全性と真正性が、一つの節になっている

UNESCO のページでは「Integrity and Authenticity」が一つの見出しになっています。

この章では、節の有り方が四通りになりました。

型 遺産
完全性と真正性が別の節 紅河1111/湖水地方422/景邁山1665/キューバ1008/バッティール1492/シンガポール植物園1483/メイマンド1423/クラドルビ1589/ケルソネソス1411/ビニャーレス840
完全性と真正性の見出しが無い ラヴォー1243
顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い トンガリロ421
完全性と真正性が一つの節 スレイマン・トー1230

節の切り方は一定ではありません。ゼミは一次資料の形に合わせて書きます。二つに分かれていないものを、分かれているかのように書きません。

書かれている内容

山とその祭祀の場、その用途と機能の真正性は疑いない——過去50年のあいだの多数の介入を考慮しても。 しかし、山の聖なる連想はそれが周囲の平野から立ち上がる劇的な形に結びついているため、山上と山麓で続く新しい開発にきわめて脆弱である。

「真正性は疑いない」と「きわめて脆弱」が同じ文に続きます。

その威容・精神性・視覚的なまとまり・環境、したがって資産の完全な真正性を守るには、環境の保護を執行するうえで大きな警戒が必要とされます。

完全性は、祭祀の場とそれらを結ぶ小径の保護、そしてそれらの視覚的な連なりと、山への眺めと山からの眺めの保護にかかっていると書かれています。

「見える関係」が完全性の中身になっている例です。

誰が守っているか — 都市計画の承認待ち

山とその環境の管理はサイト管理協議会(Site Management Council)が調整し、管理計画と行動計画の実施を監督します。

ただし、実効的な保護が何に依存しているかが明記されています。

その実効的な保護は、オシ市マスタープランの中で合意されたゾーニングの取り決めが承認されることにかかっている。

都市計画の承認が、保護の前提条件になっています。

承認までの「つなぎ」

法的保護ゾーニング文書とオシ都市マスタープランの完成と最終承認までの間、近代的な開発から資産と緩衝地帯を守るため、推薦区域・緩衝地帯とその小区域の合意された境界を示す地図が、参照として関係機関へ配布されました。

配布先

オシ州(oblast)|オシ市 |カラス(Karasu)地区 |キジルキシタク(Kyzylkyshtak)農村部 |

法が整うまでのあいだ、地図を配ることで持たせているという書き方です。ケルソネソス(1411)も「マスター開発計画への統合」と「草案の公式な採択に優先順位を」と書かれていました。都市の近くにある資産は、都市計画の中に位置づけられるまで保護が定まりません。

2級で押さえること

完全性と真正性が一つの節になっている(この章で四つめの型)。「真正性は疑いない」と「きわめて脆弱」が同じ文に続く——聖性が平野から立ち上がる劇的な形に結びつくため。完全性の中身が「見える関係」——祭祀の場と小径、その視覚的な連なり、山への眺めと山からの眺め。緩衝地帯4,788 ha が本体112 ha の約42.75倍でこの章最大(見え方を守るため)。実効的な保護がオシ市マスタープランのゾーニング承認にかかっており、それまでは境界の地図を関係機関へ配って持たせている。101か所のペトログリフ、17か所の現用の礼拝所、馬の信仰。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産が出てくるキーワード

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
聖山山を、一次資料がどんな役で書いているか「中央アジアのどこよりも完全な聖山の姿」

いまのところ、この遺産が出てくるキーワードは1つです。ゼミの試作46本で数えた話で、公式テキストの分類ではありません。

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。このキーワードの練習では、ほかの参加記事と並べて読みます——同じ論点が、別の資産でどう書かれているかを見るためです。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:スレイマン・トーの一次資料の作りで、この章のほかの遺産と違う点は?

  1. 完全性と真正性の見出しが無い
  2. 顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い
  3. 完全性の節だけがあり、真正性に当たることは登録基準(vi)の中で述べられているため、節の形はラヴォーと同じ扱いになる
  4. 完全性と真正性が「Integrity and Authenticity」という一つの節になっている
正解と解説を開く

正解:4.完全性と真正性が「Integrity and Authenticity」という一つの節になっている

「Integrity and Authenticity」が一つの見出しになっています。この章では節の有り方が四通りありました——別の節(紅河ほか10件)/見出しが無い(ラヴォー1243)/顕著な普遍的価値が丸ごと無い(トンガリロ421)/一つの節(スレイマン・トー1230)。ゼミは一次資料の形に合わせて書きます。二つに分かれていないものを、分かれているかのように書きません。

確認2:スレイマン・トーの完全性が何にかかっているとされているか。

  1. 祭祀の場とそれらを結ぶ小径の保護、およびそれらの視覚的な連なりと、山への眺めと山からの眺めの保護
  2. 101か所のペトログリフの物理的な保存
  3. 16世紀の2つのモスクの再建の精度
  4. 17か所の現用の礼拝所で祭祀が続けられていることと、不妊や頭痛を治す信仰が受け継がれていること。馬の信仰もその一つに数えられる
正解と解説を開く

正解:1.祭祀の場とそれらを結ぶ小径の保護、およびそれらの視覚的な連なりと、山への眺めと山からの眺めの保護

完全性は、祭祀の場とそれらを結ぶ小径の保護、そしてそれらの視覚的な連なりと、山への眺めと山からの眺めの保護にかかっているとされます。「見える関係」が完全性の中身になっている例です。ペトログリフの物理的な保存やモスクの再建の精度は、完全性の根拠として挙げられていません。緩衝地帯が本体の約42.75倍あるのも、見え方を守るためと読めます。

確認3:スレイマン・トーの実効的な保護が何にかかっているとされているか。

  1. サイト管理協議会が設置されること
  2. 管理計画と行動計画が作られること
  3. オシ市マスタープランの中で合意されたゾーニングの取り決めが承認されること
  4. 緩衝地帯の境界を示す地図が関係機関に配布されることで、これによって法的な保護が完成する
正解と解説を開く

正解:3.オシ市マスタープランの中で合意されたゾーニングの取り決めが承認されること

> その実効的な保護は、オシ市マスタープランの中で合意されたゾーニングの取り決めが承認されることにかかっている。都市計画の承認が保護の前提条件になっています。サイト管理協議会は既に管理計画と行動計画の実施を監督しており、地図の配布は法的保護ゾーニング文書とマスタープランの最終承認までの「つなぎ」として行われたものです。

確認4:スレイマン・トーの真正性について、UNESCO の書き方に合うものは?

  1. 過去50年の介入によって真正性は失われたと判定している
  2. 過去50年の多数の介入を考慮しても真正性は疑いないとしつつ、山上と山麓の新しい開発にきわめて脆弱だと続けている
  3. 16世紀のモスクが大部分再建であるため真正性を認めていない
  4. 過去50年の介入は記録が残っているため真正性に影響せず、新しい開発も緩衝地帯の外であれば問題にならないとしている
正解と解説を開く

正解:2.過去50年の多数の介入を考慮しても真正性は疑いないとしつつ、山上と山麓の新しい開発にきわめて脆弱だと続けている

> 山とその祭祀の場、その用途と機能の真正性は疑いない——過去50年のあいだの多数の介入を考慮しても。しかし、山の聖なる連想はそれが周囲の平野から立ち上がる劇的な形に結びついているため、山上と山麓で続く新しい開発にきわめて脆弱である。「真正性は疑いない」と「きわめて脆弱」が同じ文に続きます。

参考資料

確認日:2026年10月26日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

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