基本を学ぶ
どこにあり、何が登録されたのか — 緩衝地帯が本体の約744倍
イラン北西部、西アゼルバイジャン州。山に囲まれた遠隔の平原。
| 本体 | 10 ha |
|---|---|
| 緩衝地帯 | 7,438 ha(本体の約744倍) |
| 登録 | 2003年、基準 (i)(ii)(iii)(iv)(vi) |
| dossier | 1077 |
これまで読んだ64件で、本体に対する緩衝地帯の比がもっとも大きい資産です。
| 遺産 | 比 |
|---|---|
| タフテ・ソレイマーン1077 | 約744倍 |
| アーヘンの大聖堂3 | 約300倍 |
| マサダ1040 | 約105倍 |
| スレイマン・トー1230 | 約42.75倍 |
| ラニ・キ・ヴァヴ922 | 約26.8倍 |
| プレア・ビヒア1224 | 約17.1倍 |
| ルアン・パバン479 | 約15.3倍 |
理由が書かれている
タフテ・ソレイマーンのアンサンブルの考古学的遺産は、7,438 ha の景観緩衝地帯の中に位置するサーサーン朝の町(まだ発掘されていない)によってさらに豊かになっている。
まだ発掘されていない町が緩衝地帯の中にあります。だから緩衝地帯が巨大です。基準(iii)にも「資産の考古学的遺産は、まだ発掘されるべきサーサーン朝の町によってさらに豊かになっている」と書かれています。まだ掘られていないものが、基準の文に入っています。
火と水の、約2,500年
タフテ・ソレイマーン(「ソロモンの玉座」)と呼ばれる考古学的アンサンブルは、火と水に関わる強い象徴的・霊的な意義——古い時代からの占拠の主たる理由——を持ち、約2,500年の期間にわたる火と水に関わる祭祀の継続の例外的な証として立っている。
台地の上にあるもの
自噴湖(artesian lake)と火山がタフテ・ソレイマーンの本質的な要素である。 遺跡の中心には、周囲の平野から約60 m 上がり、約350 m × 550 m を測る、要塞化された楕円形の台地がある。
| 台地の上にあるもの |
|---|
| 自噴湖 |
| ゾロアスター教の拝火神殿 |
| アナーヒター(水の神格)に捧げられた神殿 |
| サーサーン朝の王の聖域 |
この遺跡はサーサーン朝の終わりに破壊されたが、13世紀に復興され部分的に再建された。
説明文は、この13世紀の再建を「イルハン朝(モンゴル)期」としています。
約3 km 西の火山
約3 km 西には古い火山、ゼンダーネ・ソレイマーンがあり、周囲から約100 m 上がっている。その頂上には、紀元前1千年紀に遡る祠と神殿の遺構がある。
10 ha の中にほかに含まれるもの
| テペ・マジッド | ゼンダーネ・ソレイマーンと文化的に関係する考古学的マウンド |
|---|---|
| 東の山 | 遺跡の採石場として役立った |
| ベルゲイス山 | 北東7.5 km。サーサーン朝期の城塞の遺構がある |
五つの基準
| 基準 | 中身 |
|---|---|
| (i) | サーサーン朝が創り出した主要な建築要素を、その自然の文脈に着想を得た調和した構成に結び合わせた、王の建築の顕著なアンサンブル |
| (ii) | 構成と建築要素が、イスラーム期の宗教建築の発展においてのみならず、ほかの文化においても強い影響を持った |
| (iii) | 約2千5百年の期間にわたる火と水に関わる祭祀の継続の例外的な証。まだ発掘されるべきサーサーン朝の町によってさらに豊かになっている |
| (iv) | サーサーン朝の宮殿建築と統合されたゾロアスター教の聖域の顕著な例で、原型(prototype)と見ることができる構成 |
| (vi) | 主たるゾロアスター教の聖域として、世界の初期の一神教の一つに結びついた第一の遺跡。ゾロアスター教よりはるかに古い古代の信仰との結びつき、および重要な聖書の人物と伝説との結びつきの証でもある |
タフテ・ソレイマーンは、サーサーン朝の国教であるゾロアスター教の主たる聖域であり第一の遺跡であった。この初期の一神教はイスラームとキリスト教に重要な影響を与えてきた。 同じように、拝火神殿と王宮の意匠、そして遺跡の全体の配置が、イスラーム期の宗教建築の発展に強い影響を与え、東西両方のほかの文化にとっての主要な建築上の参照となった。
完全性と真正性 — 農民と考古学者の利益
完全性
境界内に、湖と火山、ゾロアスター教の聖域に関わる考古遺構、そしてサーサーン朝の王の建築に関わる考古遺構を含む、既知の要素と構成要素がある。 石積みの屋根は一部の区域で崩落しているが、建物の配置と機能は明らかなまま残っている。
| 脅威 | 中身 |
|---|---|
| 気候 | とくに長い雨季と極端な温度変化 |
| 地震 | 地震の作用。これらが元の石と石積みの材料の完全性への主要な脅威を表す |
| 将来の潜在的リスク | 開発圧力と、遺跡の周りの緩衝地帯内の来訪者施設の建設 |
| 利益の対立 | さらに、とくに谷の畑で発掘が行われる場合、農民と考古学者の利益のあいだに潜在的な対立がある |
「農民と考古学者の利益の対立」が完全性の節に書かれています。これまで読んだなかで、同じ種類の書き方はメルヴ886(在地の農業と農耕の伝統を尊重する景観の持続性のための計画がもっとよく整える必要がある)です。
真正性 — ここも「ある程度は」
タフテ・ソレイマーンの考古学的アンサンブルは、その形と意匠、材料と実体、立地と環境の点で、そしてある程度は拝火神殿の用途と精神においても本物である。
「ある程度は」という限定は、12章のサーンチー524(ある程度はその精神)と同じ型です。
最近になって発掘されたので、この考古学的資産の修復と再建はこれまで比較的限られている——南の入口近くの外壁の一部が大部分は倒れた遺構から回収した元の石を使って再建され、宮殿構造の煉瓦ヴォールトの一部が近代の煉瓦を使いつつ元と同じ型で再建された。 全体としてこれらの介入は必要と見ることができ、資産の真正性を損なわない。資産はその歴史的な廃墟の様相を保っている。
「歴史的な廃墟の様相を保っている」という書き方です。
古代の拝火神殿は、いまもゾロアスター教の儀礼を行う巡礼者に仕えている。
いまも使われています。この章では、いまも使われていることが書かれる資産がいくつもあります——バハイ教聖所群1220(毎年、世界中から数千の巡礼者)、アブー・メナー90(活力ある修道共同体がいまも住み、聖遺物がいまも保管されている)。
誰が守っているか — 15年の管理計画
| 1931年 | イランの国家遺産リストに登録された |
|---|---|
| 法 | 国宝保護法(1930年、1998年更新)とイラン文化遺産機構憲章法(第3487-Qaf号、1988年) |
| 所有 | イラン政府 |
| 法的保護と管理 | イラン文化遺産・手工芸・観光機構(イラン政府によって運営され資金を得ている) |
| 現地の実施 | タフテ・ソレイマーン世界遺産拠点(World Heritage Base)が、考古・保全・観光・教育の計画の実施と遺跡管理に責任を持つ |
| 財源 | 同機構、およびときおりの国際的な支援 |
「ときおりの国際的な支援(occasional international support)」と書かれています。
15年の管理計画
現行の管理計画は2010年に作成され、15年の期間にわたる管理の戦略と活動を編成している。
期間が書かれている管理計画を並べると、長さがまったく違います。
| 遺産 | 期間 |
|---|---|
| タフテ・ソレイマーン1077 | 2010年作成、15年の期間 |
| メルヴ886 | 6年ごとに更新される予定 |
| アブー・メナー90 | 五年の管理計画 |
| 英国の湖水地方422 | 5年ごとに見直す |
| 景邁山古茶林1665 | 2017-2035/2019-2040/2020-2040 |
長期に必要とされること
資産の顕著な普遍的価値を長期に保つには——①気候やそのほかの要因が資産の顕著な普遍的価値・完全性・真正性に負の影響をもたらすかどうかを定めるための、継続する定期的な現地の観察、そして②そうした負の影響に対処するための安定化・保全・修復の事業を行うさいに、記念物を適切に守るため、国際的に認められた科学の基準と技術を用いること。
2級で押さえること
基準が5つ((i)(ii)(iii)(iv)(vi))。本体10 ha に対し緩衝地帯7,438 ha =約744倍で、これまで読んだなかで比が最大。理由は、まだ発掘されていないサーサーン朝の町が景観緩衝地帯の中にあること——基準(iii)にも「まだ発掘されるべきサーサーン朝の町」が書かれている。火と水に関わる祭祀の約2,500年の継続の例外的な証。周囲の平野から約60 m 上がる、約350 m × 550 m の要塞化された楕円形の台地の上に、自噴湖・ゾロアスター教の拝火神殿・アナーヒター(水の神格)の神殿・サーサーン朝の王の聖域がある。サーサーン朝の終わりに破壊され、13世紀(イルハン朝期)に復興され部分的に再建された。約3 km 西の火山ゼンダーネ・ソレイマーンの頂上に紀元前1千年紀の祠と神殿の遺構。ゾロアスター教はサーサーン朝の国教で、この初期の一神教はイスラームとキリスト教に重要な影響を与えた。完全性の脅威は長い雨季と極端な温度変化・地震、将来は開発圧力と緩衝地帯内の来訪者施設の建設、さらに谷の畑で発掘が行われる場合の農民と考古学者の利益の潜在的な対立。真正性は形と意匠・材料と実体・立地と環境、そして「ある程度は」拝火神殿の用途と精神(サーンチー524 と同じ型)。再建は限られており、元の石を回収して使い、近代の煉瓦も元と同じ型で用いた。資産は歴史的な廃墟の様相を保っている。古代の拝火神殿はいまもゾロアスター教の儀礼を行う巡礼者に仕えている。1931年にイランの国家遺産リストに登録。現行の管理計画は2010年作成で、15年の期間。
準1級
準1級向けに理解を深める
準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。
この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます
| キーワード | このキーワードで見るもの | 本文の手がかり |
|---|---|---|
| 宗教・信仰 | いまも営まれていることを、どの語で書いているか | 「いまもゾロアスター教の儀礼を行う巡礼者に仕えている」 |
| 火山 | 火山が、その資産でどの向きで働いているか | 「約3 km 西には古い火山、ゼンダーネ・ソレイマーンがあり、周囲から約100 m 上がっている。」 |
準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。
キーワードで練習する
級別の確認問題
2級 確認問題
答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。
確認1:タフテ・ソレイマーンの緩衝地帯が本体の約744倍ある理由としてUNESCO が書いていることは?
- まだ発掘されていないサーサーン朝の町が景観緩衝地帯の中にあること
- 火山の噴火の危険から守るため
- 理由は書かれていない
- まだ発掘されていないサーサーン朝の町が緩衝地帯の中にあることと、火山の噴火の危険から守ることの両方
正解と解説を開く
正解:1.まだ発掘されていないサーサーン朝の町が景観緩衝地帯の中にあること
> タフテ・ソレイマーンのアンサンブルの考古学的遺産は、7,438 ha の景観緩衝地帯の中に位置するサーサーン朝の町(まだ発掘されていない)によってさらに豊かになっている。火山の危険についての記述はありません(ゼンダーネ・ソレイマーンは古い火山で、頂上に前1千年紀の祠と神殿の遺構があります)。基準(iii)にも「まだ発掘されるべきサーサーン朝の町」が書かれています。
確認2:タフテ・ソレイマーンの台地の上にあるものは?
- 拝火神殿のみ
- 自噴湖と火山
- 自噴湖、ゾロアスター教の拝火神殿、アナーヒター(水の神格)の神殿、サーサーン朝の王の聖域
- 自噴湖、拝火神殿、アナーヒターの神殿、王の聖域、および約3 km 西の古い火山ゼンダーネ・ソレイマーン
正解と解説を開く
正解:3.自噴湖、ゾロアスター教の拝火神殿、アナーヒター(水の神格)の神殿、サーサーン朝の王の聖域
台地の上にあるのは自噴湖・ゾロアスター教の拝火神殿・アナーヒター(水の神格)に捧げられた神殿・サーサーン朝の王の聖域です。古い火山ゼンダーネ・ソレイマーンは約3 km 西にあり、台地の上ではありません(周囲から約100 m 上がり、頂上に紀元前1千年紀の祠と神殿の遺構があります)。台地そのものは周囲の平野から約60 m 上がり、約350 m × 550 m です。
確認3:タフテ・ソレイマーンの完全性の節が挙げている、やや珍しい潜在的な対立は?
- 巡礼者と観光客のあいだの対立
- 谷の畑で発掘が行われる場合の、農民と考古学者の利益のあいだの対立
- 対立については書かれていない
- 農民と考古学者の利益のあいだの対立と、巡礼者と観光客のあいだの対立
正解と解説を開く
正解:2.谷の畑で発掘が行われる場合の、農民と考古学者の利益のあいだの対立
> さらに、とくに谷の畑で発掘が行われる場合、農民と考古学者の利益のあいだに潜在的な対立がある。巡礼者と観光客の対立についての記述はありません。古代の拝火神殿はいまもゾロアスター教の儀礼を行う巡礼者に仕えていると書かれています。同じ系統の記述はメルヴ886(在地の農業と農耕の伝統を尊重する景観の持続性の計画)にあります。
確認4:タフテ・ソレイマーンの真正性について、UNESCO の記述に合うものは?
- 作業指針第82項の8属性のすべて
- 形と意匠のみ
- 形と意匠、材料と実体、立地と環境、および拝火神殿の用途と精神の四つで、限定は付いていない
- 形と意匠、材料と実体、立地と環境、そして「ある程度は」拝火神殿の用途と精神
正解と解説を開く
正解:4.形と意匠、材料と実体、立地と環境、そして「ある程度は」拝火神殿の用途と精神
> 考古学的アンサンブルは、その形と意匠、材料と実体、立地と環境の点で、そしてある程度は拝火神殿の用途と精神においても本物である。「ある程度は」という限定が付きます——12章のサーンチー524(ある程度はその精神)と同じ型です。再建は南の入口近くの外壁の一部(倒れた遺構から回収した元の石を大部分使用)と宮殿の煉瓦ヴォールトの一部(近代の煉瓦を元と同じ型で)に限られ、資産は歴史的な廃墟の様相を保っているとされます。
参考資料
確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。