トンガリロ国立公園

登録年
1990年
所在国
ニュージーランド
登録区分
複合遺産
地域
オセアニア
登録基準
(vi) (vii) (viii)

基本を学ぶ

この章でいちばん大事な1件 — 文化的景観の最初の登録

1993年、トンガリロは文化的景観を記述する改訂された基準のもとで登録された最初の資産になりました。UNESCO の説明文がそう書いています。

4章「文化的景観」を読むうえで、ここが出発点です。文化的景観という考え方が作業指針に入ったのは1992年で、その新しい基準で最初に登録されたのがトンガリロでした。

公園の中心にある山々はマオリの人びとにとって文化的・宗教的な意義を持ち、この共同体とその環境との精神的な結びつきを象徴するとされます。公園には活火山と死火山、多様な生態系、目を見張る景観があります。

登録の経緯 — 自然遺産として登録され、あとから文化が加わった

登録 1990年
境界の大きな変更 1993年
基準 (vi)(vii)(viii)
区分 複合遺産(文化の(vi)+自然の(vii)(viii))
本体 79,596 ha
緩衝地帯 設定されていない
推薦書 421bis
構成 連続資産(serial)

基準があとから足された

UNESCO のページには「Notes」として、こう書かれています。

1994年より前に、自然基準 N(ii) のもとで地質と生態の両方の価値に対して登録された。N(i)(2002年の作業指針)が加えられた。詳細は決定 30.COM 8D.1 を見よ。

基準は登録のときに決まって動かないものではありません。トンガリロは、1990年に自然遺産として登録され、1993年に境界が大きく変わって文化的景観の基準(vi)が加わり、さらにあとで自然基準も整理されています。

2級は「いつ登録されたか」だけでなく「どう変わってきたか」を読みます。

一次資料に、顕著な普遍的価値の節が無い

UNESCO のページに、Brief synthesis も Integrity も Authenticity もProtection and management requirements もありません。

あるのは説明文(Description)と、上に引いたNotesだけです。

この章のほかの遺産と比べると、節の有り方が三通りあります。

型 遺産
4節そろっている 紅河ハニ族棚田群(1111)/英国の湖水地方(422)/景邁山古茶林(1665)/キューバのコーヒー農園(1008)/バッティール(1492)/シンガポール植物園(1483)/メイマンド(1423)
顕著な普遍的価値はあるが、完全性と真正性の見出しが無い ラヴォー(1243)
顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い トンガリロ(421)

節が無いものを、節があるかのように書きません。ゼミはこの扱いをエルサレムの旧市街(148)で決めています。

なぜ無いのか。トンガリロの登録は1990年です。顕著な普遍的価値の言明(Statement of Outstanding Universal Value)を登録のときに採択する運用はあとから始まったもので、古い登録の資産には遡って作られていないものがあります。「資料が無い」は「価値が無い」ではありません。

この記事は、完全性と真正性を書きません。書けるのは、説明文と Notes と登録の数値から読めることだけです。

2級で押さえること

1993年、文化的景観の改訂された基準で登録された最初の資産。4章を読む出発点。複合遺産で基準(vi)(vii)(viii)、79,596 ha・緩衝地帯なし・421bis・連続資産。1990年に自然遺産として登録され、1993年の境界変更で文化の基準が加わった——基準は動く。一次資料に顕著な普遍的価値の節が丸ごと無い(古い登録のため。エルサレム148と同じ扱いで、無いものは書かない)。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
文化的景観「文化的景観」が、その資産で何を決めているか「1993年、トンガリロは文化的景観を記述する改訂された基準のもとで登録された最初の資産になりました。」
聖山山を、一次資料がどんな役で書いているか「マオリの人びとにとって文化的・宗教的な意義」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:トンガリロ国立公園が世界遺産の歴史で持つ意味として、UNESCO が書いているものは?

  1. ニュージーランドで最初の世界遺産になったこと
  2. 1993年に、文化的景観を記述する改訂された基準のもとで登録された最初の資産になったこと
  3. 先住民の信仰を理由に登録された最初の資産になったこと
  4. 自然遺産と文化遺産の両方の基準で登録された最初の資産になり、複合遺産という区分がこのときに作られたこと
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正解:2.1993年に、文化的景観を記述する改訂された基準のもとで登録された最初の資産になったこと

1993年、文化的景観を記述する改訂された基準のもとで登録された最初の資産です。文化的景観という考え方が作業指針に入ったのは1992年で、その新しい基準での最初の登録がトンガリロでした。4章「文化的景観」を読む出発点になります。なお登録そのものは1990年で、1993年は境界の大きな変更の年です。

確認2:トンガリロ国立公園の登録の経緯について正しいものは?

  1. 1993年に登録され、以後変更はない
  2. 1990年に文化遺産として登録され、1993年に自然の基準が加わった
  3. 1990年に複合遺産として登録され、1993年に文化の基準が外されて自然遺産のみの扱いに改められた
  4. 1990年に登録され、1993年に境界が大きく変更された。自然基準 N(i) はあとから加えられた
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正解:4.1990年に登録され、1993年に境界が大きく変更された。自然基準 N(i) はあとから加えられた

登録は1990年、境界の大きな変更が1993年です。UNESCO の Notes には、1994年より前に自然基準 N(ii) のもとで地質と生態の両方の価値に対して登録され、N(i)(2002年の作業指針)が加えられたとあります(決定 30.COM 8D.1)。現在の基準は(vi)(vii)(viii)の複合遺産です。基準は登録のときに決まって動かないものではありません。

確認3:トンガリロ国立公園の一次資料について、この章のほかの遺産と違う点は?

  1. 顕著な普遍的価値の節が丸ごと無く、あるのは説明文と Notes だけである
  2. 完全性の節はあるが真正性の節が無い
  3. 登録基準が示されていない
  4. 顕著な普遍的価値の節はあるが、完全性と真正性の見出しだけが無く、ラヴォーと同じ作りになっている
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正解:1.顕著な普遍的価値の節が丸ごと無く、あるのは説明文と Notes だけである

Brief synthesis も Integrity も Authenticity も Protection もありません。あるのは説明文と Notes だけです。登録が1990年で、顕著な普遍的価値の言明を登録時に採択する運用はあとから始まったものだからです。節が無いものを節があるかのように書きません(エルサレム148で決めた扱い)。ラヴォー(1243)は顕著な普遍的価値の節はあり、完全性と真正性の見出しだけが無いので、型が違います。

確認4:トンガリロ国立公園の登録の範囲について正しいものは?

  1. 79,596 ha で、本体より広い緩衝地帯がある
  2. 79,596 ha の単一の資産で、境界の変更を受けていない
  3. 79,596 ha で緩衝地帯は設定されておらず、推薦書は 421bis の連続資産である
  4. 79,596 ha で緩衝地帯が設定されており、1993年の境界変更のときに緩衝地帯も同時に設けられた
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正解:3.79,596 ha で緩衝地帯は設定されておらず、推薦書は 421bis の連続資産である

本体79,596 ha、緩衝地帯なし、推薦書は421bis、連続資産(serial)です。この章で緩衝地帯が無いのは、ほかに英国の湖水地方(422)とキューバのコーヒー農園(1008)。いずれも理由が違います——湖水地方は境界が国立公園そのまま、キューバは農園の間の景観まで本体に含めたため「例外的に」無い。

参考資料

確認日:2026年10月26日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

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