基本を学ぶ
どこにあり、何が登録されたのか — 16の教会、四つの類型
中央ヨーロッパの東の縁、ポーランドとウクライナのカルパティア山脈。
| 本体 | 7.03 ha |
|---|---|
| 緩衝地帯 | 92.73 ha(本体の約13.2倍) |
| 登録 | 2013年、基準 (iii)(iv) |
| dossier | 1424 |
| 連続性資産 | はい(Serial: yes) |
| 構成要素 | 16のツェルクヴァ(教会) |
16世紀から19世紀のあいだに、正教とギリシャ・カトリック信仰の共同体によって水平の木の丸太で建てられた。
四つの類型
| 類型 | 場所 | 教会 |
|---|---|---|
| フツル(Hutsul)型 | ウクライナ南東カルパティア | ニジュニー・ヴェルビジュ、ヤシニア |
| ハリチ(Halych)型 | 北カルパティアのポーランド/ウクライナ国境の両側 | ロハティン、ドロホビチ、ジョヴクヴァ、ポテリチ、ラドルジュ、ホティニェツ |
| ボイコ(Boyko)型 | スロヴァキア国境近くのポーランド/ウクライナ国境の両側 | スモルニク、ウジョク、マトキヴ |
| 西レムコ(Lemko)型 | ポーランド西カルパティア | ポヴロジュニク、ブルナリ・ヴィジュネ、オフチャリ、クヴィアトン、トゥルジャンスク |
四つの類型のうち二つが国境の両側にまたがります。
「山地の地形のため別々に発展した在地の共同体の文化の伝統」が類型の違いの理由とされます。
建物のつくり
三部構成の平面、角錐のドーム、クーポラ、鐘塔を持つツェルクヴァの建築の形は、東方の典礼の要求に適合しつつ、在地の共同体の文化の伝統を映している。
複雑な角の継ぎ手を伴う水平の丸太の技法を用いて建てられ、例外的な木工の技能と構造の解決を示し、ツェルクヴァは石の基礎の上に置かれた木の土台の上に立ち上げられ、木の板葺きが屋根と壁を覆っている。
ツェルクヴァは、その関連する墓地と、ときに独立した鐘塔とともに、周壁または柵と門によって境され、木々に囲まれている。
説明文はさらに、イコノスタシスの衝立、内部の多彩色の装飾、そのほかの歴史的な調度がツェルクヴァに不可分だとします。
完全性と真正性 — 駐車場と、20〜30年ごとの板葺き
完全性 — 駐車場が具体的に挙げられる
資産の価値を表すのに必要なすべての要素が境界内に含まれている——門を伴う周壁または柵を含め、鐘塔、墓地、副次の建物を含むことがある。建物は開発または放置によって脅かされていない。
ただし、駐車場の立地には特別の注意を払う必要がある。資産の完全性と、そこへの、またそこからの重要な眺望は、いまもよく維持されているからである。
駐車場が具体的に挙げられる資産は、これまで読んだ98件でここだけです。
24章のペトラ326 は、境界の内側で提案されているインフラ(電力供給と変電所、来訪者センター、野外劇場、ピクニック区域、キャンプ場、新しいレストラン)が列挙されていました。こちらは駐車場です。
周壁または柵と、それに沿って植えられた木が、明確に認識できる区域または目印をなしている。
真正性 — 16のうち13が現役
資産は立地と環境、用途と機能の点で真正であると考えられる。13のツェルクヴァはいまも教会として使われており、ほかの三つ——ラドルジュ、ロハティン、ドロホビチ——は博物館として無傷に保たれている。
16のうち13が教会、3が博物館です。
24章のペルシアの隊商宿1668 は「一部は考古遺跡をなし、ほかは元の機能を保っている」で、考古遺跡のほうが真正性が高いとされていました。カルパティアの木造教会群1424 は、どちらが高いとは書いていません。
20〜30年ごとに交換する
構造の木材が長年にわたり伝統的な方法で注意深く修理されてきたので、材料の真正性も高いまま残っている。美術作品は高い程度の真正性を持ち、20〜30年ごとに交換を要する木の外部の屋根と壁の板葺きは、ほとんどの場合、適切に修復されてきた。
交換の周期が数字で書かれています。
壁の板葺きの定期的な交換が継続する維持の計画の一部であることを考えると、技法と職人技に関わる技術の知識の継続が、職人技と維持の技法における真正性の将来の保存にとって本質的な要件である。
「交換が前提だから、技術の継続が要件になる」という論理です。
この章と前の章では、同じ論理がいくつも書かれました。
| 遺産 | 技術の継続 |
|---|---|
| カルパティアの木造教会群1424 | 20〜30年ごとの板葺きの交換が前提なので、技術の知識の継続が本質的な要件 |
| インドの山岳鉄道群944 | 機能する鉄道なので絶えざる修理と部品の交換を必要とする |
| ヴェネツィア394 | 資格ある作業者の欠如。根底にある原因は維持と修復の高い費用 |
| 真珠採取1364 | 木工と精緻な漆喰の技法の研修が、実践的な遺跡の水準でも大学教育の一部としても約束されている |
| メルヴ886 | 保全技術を世代から世代へ渡すことが長期の課題 |
大工の名が残っている
ほとんどすべてのツェルクヴァが元の扉と施錠の装置を保っており、まぐさには建造の年と大工の名を記した碑文がある。
建てた人の名が残っていることが真正性の根拠に挙げられています。
誰が守っているか — 個別の管理計画の代わりに委員会
それぞれの国の最高水準の保護
| 国 | 法と登録 |
|---|---|
| ポーランド | 歴史記念物の保存保護法(2003年)のもとで国家遺産登録簿に含めることによって最高水準で保護されている |
| ウクライナ | 文化遺産保護国家法(2000年)のもとで不動歴史記念物国家登録簿に含めることによって最高水準で保護されている |
資産と緩衝地帯は、関連する県と地方の土地利用/開発計画において認識され保護されることになる。
将来形で書かれています。
個別の管理計画が無い
連続性資産の管理は、両国の文化大臣を代表して行動する運営委員会によって調整されることになる。同委員会は、ツェルクヴァの管理者と働いてその保全を確かにし、研修の課程を始める。
個別の管理計画の代わりに、運営委員会が、資産の文化的価値の継続する維持、その物理的な状態の維持、そして潜在的な脅威の除去に関連するすべての事項も監督することになる——資産とその緩衝地帯のすぐの近隣内の土地利用計画における開発の制限を含めて。
「個別の管理計画の代わりに」と明記されています。
この章では、個別の管理計画の扱いが三通りに分かれます。
| 遺産 | 個別の管理計画 |
|---|---|
| ヨーロッパの大温泉都市群1613 | それぞれが在地の管理計画を持ち、全体の資産管理計画に適合する |
| カルパティアの木造教会群1424 | 個別の管理計画が無く、運営委員会がすべての事項を監督する |
| インドの山岳鉄道群944 | 三つのうち二つに資産管理計画があり、ダージリン鉄道には承認された保全管理計画が無い |
委員会が招く相手
さまざまな分野の専門家が運営委員会の会合に招かれる。同委員会はまた、資産の所有者と管理人、そして教会と世俗の当局を、地域と地方の自治の当局および修復の事業体とともに、継続する協力に参加するよう招く義務も負っている。
「招く義務を負っている」と書かれています。
制限と、リスク予防
これらの制限は、場合によっては本質的であり、締約国は、関わるすべての土地利用と開発の計画に十分な保護の仕組みを設けることを約束した。
観光のアクセス可能性の最適化——観光施設と駐車場の建設を含む——は、資産の構成要素の完全性とそこへの、またそこからの重要な眺望を損なわないよう注意深く計画されなければならない。また、火災と洪水に対する保護を含むリスク予防が、潜在的な災害からの影響を防ぐために常に強くある必要がある。
木造建築なので、火災が具体的に挙げられています。
24章のブリッゲン59 も木造で、検知と消火を備えた防火体系が設置され、継続的に改善されていると書かれていました。
2級で押さえること
基準(iii)(iv)、ポーランド+ウクライナの越境連続性資産、本体7.03 ha・緩衝92.73 ha、2013年登録、構成要素は16のツェルクヴァ(教会)。16世紀から19世紀のあいだに、正教とギリシャ・カトリック信仰の共同体によって水平の木の丸太で建てられた。四つの類型——フツル型(ウクライナ南東)/ハリチ型(国境の両側)/ボイコ型(国境の両側)/西レムコ型(ポーランド西)で、二つが国境の両側にまたがる。類型の違いは山地の地形のため別々に発展した在地の共同体の文化の伝統による。三部構成の平面、角錐のドーム、クーポラ、鐘塔が東方の典礼の要求に適合する。石の基礎の上に置かれた木の土台の上に立ち上げられ、木の板葺きが屋根と壁を覆っている。完全性で「駐車場の立地には特別の注意を払う必要がある」と書かれている(駐車場が具体的に挙げられる唯一の例)。16のうち13はいまも教会として使われ、三つ(ラドルジュ、ロハティン、ドロホビチ)は博物館として無傷に保たれている。木の板葺きは20〜30年ごとに交換を要し、その定期的な交換が継続する維持の計画の一部であることから、技法と職人技に関わる技術の知識の継続が真正性の将来の保存にとって本質的な要件とされる。ほとんどすべてのツェルクヴァが元の扉と施錠の装置を保ち、まぐさに建造の年と大工の名を記した碑文がある。ポーランドは歴史記念物の保存保護法(2003年)の国家遺産登録簿、ウクライナは文化遺産保護国家法(2000年)の不動歴史記念物国家登録簿で、どちらも最高水準で保護。個別の管理計画の代わりに、両国の文化大臣を代表して行動する運営委員会がすべての事項を監督することになる。委員会は、所有者と管理人、教会と世俗の当局を継続する協力に参加するよう招く義務を負っている。木造なので、火災と洪水に対する保護を含むリスク予防が常に強くある必要がある。
準1級
準1級向けに理解を深める
準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。
この遺産は、準1級のキーワードで2通りに出てきます
| キーワード | このキーワードで見るもの | 本文の手がかり |
|---|---|---|
| 墓地・埋葬 | 墓が、資産の内と外のどちらに置かれているか | 「鐘塔、墓地、副次の建物を含むことがある」 |
| 火災の被害 | 同じ火災が、どの節に書かれるかで意味が変わる | 「火災と洪水」 |
準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。
キーワードで練習する
級別の確認問題
2級 確認問題
答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。
確認1:カルパティアの木造教会群の16のツェルクヴァの現在の使われ方は?
- 16すべてが教会として使われている
- 13はいまも教会として使われ、三つは博物館として無傷に保たれている
- 16すべてが博物館である
- 13はいまも教会として使われ三つは博物館だが、博物館のほうがより高い程度の真正性を享受している
正解と解説を開く
正解:2.13はいまも教会として使われ、三つは博物館として無傷に保たれている
> 13のツェルクヴァはいまも教会として使われており、ほかの三つ——ラドルジュ、ロハティン、ドロホビチ——は博物館として無傷に保たれている。どちらが真正性が高いとは書かれていません。(24章のペルシアの隊商宿1668 は、考古遺跡として保存されているものがより高い程度の真正性を享受しているとしていました。)
確認2:カルパティアの木造教会群の完全性の節が、特別の注意を払う必要があるとしているものは?
- 駐車場の立地
- 墓地の管理
- 特別の注意を要するものは無い
- 駐車場の立地と墓地の管理の両方
正解と解説を開く
正解:1.駐車場の立地
> ただし、駐車場の立地には特別の注意を払う必要がある。資産の完全性と、そこへの、またそこからの重要な眺望は、いまもよく維持されているからである。墓地については「資産の価値を表すのに必要なすべての要素が境界内に含まれている」ものの一つとして挙げられています。駐車場が具体的に挙げられる資産は、これまで読んだ98件でここだけです。
確認3:カルパティアの木造教会群の板葺きについて、UNESCO の記述に合うものは?
- 交換の必要は無い
- 板葺きについての記述は無い
- 20〜30年ごとに交換を要し、その定期的な交換が継続する維持の計画の一部だったが、近年の技術の進歩によって交換の必要は無くなった
- 20〜30年ごとに交換を要し、その定期的な交換が継続する維持の計画の一部であるため、技術の知識の継続が本質的な要件とされる
正解と解説を開く
正解:4.20〜30年ごとに交換を要し、その定期的な交換が継続する維持の計画の一部であるため、技術の知識の継続が本質的な要件とされる
> 20〜30年ごとに交換を要する木の外部の屋根と壁の板葺きは、ほとんどの場合、適切に修復されてきた。> 壁の板葺きの定期的な交換が継続する維持の計画の一部であることを考えると、技法と職人技に関わる技術の知識の継続が、職人技と維持の技法における真正性の将来の保存にとって本質的な要件である。交換の必要が無くなったとは書かれていません。「交換が前提だから、技術の継続が要件になる」という論理です。
確認4:カルパティアの木造教会群の管理計画について、UNESCO の記述に合うものは?
- それぞれのツェルクヴァが個別の管理計画を持っている
- 管理計画についての記述は無い
- 個別の管理計画の代わりに、両国の文化大臣を代表して行動する運営委員会がすべての事項を監督することになる
- 個別の管理計画の代わりに運営委員会が監督することになり、その委員会はすでに設立され満足できる仕方で機能している
正解と解説を開く
正解:3.個別の管理計画の代わりに、両国の文化大臣を代表して行動する運営委員会がすべての事項を監督することになる
> 個別の管理計画の代わりに、運営委員会が、資産の文化的価値の継続する維持……に関連するすべての事項も監督することになる。> 連続性資産の管理は、両国の文化大臣を代表して行動する運営委員会によって調整されることになる。「調整されることになる」と将来形で書かれており、すでに機能しているとは書かれていません。(アルマデンとイドリア1313 の国際委員会は「機能していることを示してきた」と実績で書かれていました。)
参考資料
確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。