ヨセミテ国立公園

両側に切り立った花崗岩の壁をもつ谷。谷底は針葉樹に覆われ、右の崖から細い滝が落ちる。
chensiyuan / CC BY-SA 4.0 / 出典 / 加工: 長辺1800pxに縮小
登録年
1984年
所在国
アメリカ合衆国
登録区分
自然遺産
地域
南北アメリカ
登録基準
(vii) (viii)

どこにあり、何が登録されたのか — `Notes` が二つ目になった

アメリカ合衆国、カリフォルニア州。説明文は「カリフォルニアの心臓部に横たわる」と書きます。

本体 307,934 ha
緩衝地帯 一覧に行が無い
登録 1984年、基準 (vii)(viii)=2つ
dossier 308(bis / ter / rev なし)
`Notes` ある——基準の番号の変更
保存状況報告 記載なし
ほかの保全の仕組み 1つの仕組み / 1要素——生物圏保存地域(セコイア=キングズ・キャニオン)
訳のある言語 8つ(英・仏・アラビア・中・露・西・日・蘭)

基準(vii)(viii)の組み合わせは、ナハニ24(4章)・レンソイス1611・ジャイアンツ・コーズウェイ369(30章)・グランマ889・ハ・ロン湾とカット・バ672(31章)に続いてこれまで読んだ246件で6件目です。

`Notes` の節が、31章のプリトヴィツェ98 と同じことを書く

資産は1994年より前に、自然の基準 N (ii) のもとで地質と生態の両方の価値のために登録された。基準 N (i)〔作業指針2002〕が足された。詳細は決定 30.COM 8D.1 を見よ。

31章で読んだプリトヴィツェ98 の `Notes` と、ほとんど同じ文です。引かれている決定の番号(30.COM 8D.1)まで同じです。31章では「241件で `Notes` に基準の番号の変更が書かれるのはここだけ」と書きましたが、308 を読んで二つ目になりました(2026-10-28 に記録。)。98 は1979年登録でクロアチア、308 は1984年登録でアメリカ合衆国。国も年も違うのに同じ文が付くので、この `Notes` は資産ごとの事情ではなく、1994年より前に N (ii) で登録された資産に共通の処理だと読めます。ただし一次資料はそう書いていないので、「同じ文が二つの資産に付いている」までを記録します。

氷河が花崗岩を削ったことが価値の中身

概要が「世界で唯一無二」と言う

ヨセミテ国立公園は、花崗岩の岩盤の氷河による侵食の効果をあざやかに示し、世界で唯一無二の地質の特徴を創り出している。数百万年にわたる繰り返された氷河作用が、そびえる崖、ドーム、そして自由落下する滝を含む際立った景観の特徴の集中をもたらしてきた。

ヨセミテ渓谷は「1キロメートル(2分の1マイル)の深さの、氷河が刻んだ割れ目」と書かれます。括弧の中にマイルが併記され、メートル法と併記される資産はこれまでに少数です。

二つの基準が、同じ花崗岩の別の側を書く

基準 何を根拠にするか
(vii) 見え方——「世界でもっとも高い滝のうちの五つ」、花崗岩のドームと壁の組み合わせ、深く刻まれた渓谷、ジャイアントセコイアの三つの林、高山の草地、湖、生命帯の多様性
(viii) でき方——「氷河の作用が花崗岩の岩盤と組み合わさって、唯一無二で際立った地形の特徴を生み出した」。磨かれたドーム構造、吊り谷、圏谷湖(tarn)、モレーン、U字谷。ハーフドームとエル・キャピタンの垂直の壁が「地質の歴史の古典的で際立った反映」

基準(viii)の最後の一文が、比較の形で書かれます。

ほかのいかなる区域も、基盤にある花崗岩のドームに対する氷河作用の効果を、ヨセミテがそうするほどよくは描き出していない。

「世界で唯一無二」(概要)と「ほかのいかなる区域も……ほどよくは」(基準(viii))は、どちらも比較の言い方ですが向きが違います。前者は「241件でここだけ」、後者は「ここがもっともよく示す」。言い換えずにそれぞれ写します。

地質には脅威が無く、生態系には脅威があると書き分ける

完全性の節が、同じ資産の中で脅威の有無を二つに分けて書きます。

資産の地質または地形の価値に対する意義ある脅威は存在しない。訪問者の数は、ある区域では多いものの、公園の開発された小さな部分におおむね限られている。もっとも、開発された区域での過密を防ぐことは継続する懸念である。

そのうえで、生態系への脅威が並べられます。

脅威
過程としての自然の火の喪失 「火が無くなったこと」が脅威として挙げられる
大気の汚染物質と空気で運ばれる汚染物質 —
地球規模の気候変動 —
高い訪問による資源への直接の影響 「人と野生動物の衝突」を含む
生息地の分断 「公園の境界の外側と内側の両方から」
在来でない植物と動物の種の侵入 —

31章のグランマ889 と同じ書き分けです。

遺産 守られている価値 注意を要する価値
ヨセミテ308 地質と地形(「意義ある脅威は存在しない」) 生態系(六つの脅威)
グランマ889(31章) 地質と美(「国立公園のまさにその存在」) 生物多様性(「能動的な注意を要する」)

「脅威が無い」と書かれていても、何について無いのかを必ず読みます。308 は「地質または地形の価値に対する」という限定が付いています。

侵入種が名前つきで並ぶ

区分 名前
植物(「もっとも深刻な脅威をなす」もの) イガヤグルマギク(yellow star-thistle)/オオアザミの一種(bull thistle)/ヒマラヤキイチゴ(Himalayan blackberry)
動物 野生の七面鳥、ウシガエル、移入された魚
脅かされている在来種 シエラネヴァダ・キアシガエル(Sierra Nevada yellow legged frog)

31章のテ・ワヒポウナム551 ……ではなく、この章でこれから読む551 でも侵入種が名前つきで並びます。名前が挙がるかどうかは資産によって違うので、挙がったときはそのまま写します。

誰が守っているか — 日付まで書かれた法律と「生命の兆候」

法律に日付が入る

年 何があったか
1890年 合衆国議会が国立公園として指定
1916年8月25日 「1916年8月25日の組織法(Organic Act)」——合衆国国立公園局を設立した法。公園はこの法の権限のもとで管理される
— 公園には「固有の授権法制」があり、「公園の主要な目的について広範な議会の指示を与える」
— 「ほかの多くの連邦法が、公園とその資源に保護の層をさらにもたらす」

法律に月日まで書かれる資産は少数です。31章のイルリサット……ではなくこの章の1149 も「2003年12月18日の第29号法」のように日付つきで、同じ章に二つ並びました。

日々の管理は「公園管理官(Park Superintendent)」が指揮します。

計画が三層

層 中身
一般管理計画(General Management Plan) 資産の管理の目標と目的。「近年、より場所に固有の計画づくりの作業と、特定の課題と資源のための多数の計画によって補われてきた」
管理方針(Management Policies) 国立公園局が定め、ヨセミテを含むすべての国立公園局の単位により広い指示を与える
場所ごとの計画 特定の課題と資源のための多数の計画

「公園だけの計画」ではなく局の全単位に共通の方針が上に乗る形は、31章の九寨溝637 の「省の条例+自治州の実施条例」と層の作り方が違います。

「生命の兆候」という監視の言い方

シエラネヴァダ I&M ネットワーク——ヨセミテはその一部である——は、公園の資源の全体の健全さまたは状態を代表するように選ばれた物理、化学、生物の要素と過程の一部を追跡するために、いくつかの「生命の兆候(vital signs)」を発展させてきた。

ヨセミテの「生命の兆候」は鳥の個体群、気象と気候、水の化学、植物群落、火の体制、その他。監視の項目に名前が付けられている資産は、これまで読んだ246件で初めてです。「生命の兆候」という評語をそのまま写します。2026-10-28 の追記——34章のレッドウッド134 で二つ目が出ました。134 はクラマス I&M ネットワークで、項目は鳥の個体群、害をなす種、潮間帯の群落、陸の植生、土地被覆と土地利用など。共通するのは「鳥の個体群」だけです。308 が初めてであることは変わりませんが、「ここだけ」ではありません。職員は「大きくよく訓練された職員(a large and well-trained staff)」と書かれ、数は書かれません。シエラネヴァダ地域のほかの土地と水の管理機関と密接に働き、例としてカリフォルニア景観保全協同体(California Landscape Conservation Cooperative)が挙がります。

基準に無いのに書かれる、先住の人びとの土地管理

保護管理の節の最後の段落が、基準には入っていない価値を書きます。

ヨセミテは、いくつかの伝統的に結びつけられたアメリカ・インディアンの部族と集団の神聖な祖先の故地(sacred ancestral homelands)である。景観は世代にわたるアメリカ・インディアンの土地管理を反映し、その区域への深い生態、文化、精神のつながりを証している。伝統の文化の実践は今日も続いており、儀礼と、精神と伝統の実践は、ヨセミテとその native culture の神聖な性格を保つうえで決定的に重要である。

資産の基準は(vii)(viii)の二つで、文化の基準は付いていません。31章で作った台帳のキーに、32章の例が足されます。

遺産 基準 本文に書かれる人の歴史
ヨセミテ308 (vii)(viii) 「神聖な祖先の故地」「世代にわたる土地管理」「伝統の文化の実践は今日も続いている」
グランマ889(31章) (vii)(viii) 資産名が1956年の出来事に由来し、タイノの陶工の遺物も書かれる
九寨溝637(31章) (vii) 資産名に「歴史的」、研究に考古学

308 は「景観が土地管理を反映している」と書くので、人の手が入った結果としての景観を認めています。それでも基準は自然の二つだけです。本文に書かれていることと、価値の根拠として挙げられている基準は別。基準は一覧で確かめます。

完全性が外側を見ている

資産は30万 ha を超え、カリフォルニアのシエラネヴァダ山脈のなかでもっとも大きく、もっとも分断されていない区域の一つである。公園の約95%が原生自然(wilderness)に指定されている。公園の全体は四つの国有林に囲まれ、それらの隣接する部分のいくつかも原生自然区域に指定されており、より大きな景観との連結性を与えている。しかしながら、公園の境界の外側における増加する開発についての懸念がある。

一覧に緩衝地帯の行はありませんが、四つの国有林が実質的に外側を覆っていると読めます。ただし一次資料は「緩衝地帯」という語を使っていないので、「緩衝地帯がある」とは書きません。「約95%が原生自然」は資産の内側の割合で、分母は公園です。

2級で押さえること

本体307,934 ha/緩衝地帯は一覧に行が無い、1984年登録、基準(vii)(viii)=2つで246件で6件目、dossier 308、`Notes` あり、保存状況報告の記載なし、生物圏保存地域1要素(セコイア=キングズ・キャニオン。資産名と別の名前)、訳のある言語は8つ。`Notes` が31章のプリトヴィツェ98 とほとんど同じ文——「1994年より前に自然の基準 N (ii) のもとで地質と生態の両方の価値のために登録された。基準 N (i)〔作業指針2002〕が足された。詳細は決定 30.COM 8D.1 を見よ」で、引かれる決定の番号まで同じ。31章で「241件でここだけ」と書いたが、308 を読んで二つ目になった(2026-10-28 に記録。)。国も年も違うのに同じ文が付くので資産ごとの事情ではなさそうだが、一次資料は理由を書いていないので「同じ文が二つに付いている」までを記録する。二つの基準が同じ花崗岩の別の側を書く——(vii)は見え方(「世界でもっとも高い滝のうちの五つ」、ジャイアントセコイアの三つの林)、(viii)はでき方(磨かれたドーム、吊り谷、圏谷湖、モレーン、U字谷)。基準(viii)の最後が「ほかのいかなる区域も、基盤にある花崗岩のドームに対する氷河作用の効果を、ヨセミテがそうするほどよくは描き出していない」で、概要の「世界で唯一無二」とは比較の向きが違う。地質には脅威が無く、生態系には脅威があると書き分ける——「資産の地質または地形の価値に対する意義ある脅威は存在しない」と書き、そのうえで生態系への脅威を六つ並べる(過程としての自然の火の喪失/大気の汚染物質/気候変動/高い訪問(人と野生動物の衝突を含む)/境界の外側と内側の両方からの生息地の分断/侵入種)。31章のグランマ889 と同じ書き分けで、「脅威が無い」は何について無いのかを読む。侵入種が名前つきで並ぶ——イガヤグルマギク・オオアザミの一種・ヒマラヤキイチゴ(植物)、野生の七面鳥・ウシガエル・移入された魚(動物)、シエラネヴァダ・キアシガエル(脅かされている在来種)。法律に月日まで書かれる——「1916年8月25日の組織法」が合衆国国立公園局を設立し、公園はその権限のもとで管理される。1890年に議会が国立公園として指定。公園固有の授権法制と「ほかの多くの連邦法」の層もある。計画が三層——一般管理計画/場所ごとの多数の計画/国立公園局の全単位に共通の「管理方針」。公園だけの計画の上に局全体の方針が乗る形で、31章の九寨溝637 の省と自治州の二段とは層の作り方が違う。監視の項目に名前が付く——「生命の兆候(vital signs)」は鳥の個体群、気象と気候、水の化学、植物群落、火の体制など。246件で監視の項目に名前が付けられた資産は初めて。職員は「大きくよく訓練された職員」で数は書かれない。カリフォルニア景観保全協同体が協力の例として挙がる。基準に無いのに先住の人びとの土地管理が書かれる——「ヨセミテは、いくつかの伝統的に結びつけられたアメリカ・インディアンの部族と集団の神聖な祖先の故地である。景観は世代にわたるアメリカ・インディアンの土地管理を反映し……伝統の文化の実践は今日も続いており」。基準は(vii)(viii)だけで文化の基準は付いていない。完全性が外側を見ている——30万 ha 超で「もっとも大きく、もっとも分断されていない区域の一つ」、約95%が原生自然に指定、四つの国有林に囲まれて「連結性」がある。それでも「公園の境界の外側における増加する開発についての懸念がある」。一次資料は「緩衝地帯」の語を使わないので「緩衝地帯がある」とは書かない。

オリジナル確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ヨセミテの `Notes` の節について、31章のプリトヴィツェ98 と比べて読めるのは?

  1. 基準の番号の変更を書いた文がほとんど同じで、引かれる決定の番号(30.COM 8D.1)まで同じ
  2. ヨセミテには `Notes` の節が無く、98 にだけある
  3. 98 とは逆に、資産の範囲と名前が変わった経緯が書かれている
  4. 同じ年に登録された資産なので、二つの `Notes` が互いを参照し合い、同じ決定の番号を共有している
正解と解説を開く

正解:1.基準の番号の変更を書いた文がほとんど同じで、引かれる決定の番号(30.COM 8D.1)まで同じ

31章で「これまで読んだ241件で `Notes` に基準の番号の変更が書かれるのはここだけ」と書きましたが、308 を読んで二つ目になりました(2026-10-28 に記録)。98 は1979年登録でクロアチア、308 は1984年登録でアメリカ合衆国。国も年も違うのに同じ文が付きます。一次資料は理由を書いていないので、「同じ文が二つの資産に付いている」までを記録します。

確認2:ヨセミテの完全性の節が「意義ある脅威は存在しない」と書いているのは、何についてですか?

  1. 資産の全体について、脅威はいっさい無いと書かれている
  2. 地質または地形の価値について
  3. 生態系と在来の生物種について
  4. 訪問者の数について、過密は起きないと書かれている
正解と解説を開く

正解:2.地質または地形の価値について

「資産の地質または地形の価値に対する意義ある脅威は存在しない」と限定が付いています。そのうえで生態系への脅威が六つ並びます(過程としての自然の火の喪失、大気の汚染物質、気候変動、高い訪問、生息地の分断、侵入種)。31章のグランマ889 も「地質と美」と「生物多様性」を書き分けていました。「脅威が無い」と書かれていても、何について無いのかを読みます。

確認3:ヨセミテの監視について、一次資料に書かれているのは?

  1. 監視の項目はまだ定められておらず、どの物理と化学と生物の要素と過程を追跡するかを、長期の保護のためにこれから定めることが求められている
  2. 監視は国立公園局ではなく、州の機関が単独で行っている
  3. 「生命の兆候(vital signs)」という名前の付いた項目で、鳥の個体群・気象と気候・水の化学・植物群落・火の体制などを追跡する
  4. 監視の対象は地質と地形に限られ、生物は含まれていない
正解と解説を開く

正解:3.「生命の兆候(vital signs)」という名前の付いた項目で、鳥の個体群・気象と気候・水の化学・植物群落・火の体制などを追跡する

監視の項目に名前が付けられている資産は、これまで読んだ246件で初めてです。「生命の兆候」という評語をそのまま写します。シエラネヴァダ I&M(目録と監視)ネットワークが発展させたもので、「公園の資源の全体の健全さまたは状態を代表するように選ばれた」物理・化学・生物の要素と過程の一部を追跡します。

確認4:ヨセミテの保護管理の節に書かれている、先住の人びとについての記述と基準の関係は?

  1. 先住の人びとについての記述を根拠に、文化の基準が後から足された
  2. 先住の人びとについての記述は `Notes` の節にあり、顕著な普遍的価値の本文にも基準の一覧にもいっさい入っておらず、価値の根拠にはなっていない
  3. 伝統の文化の実践はすでに失われたと書かれ、過去のこととして記録されている
  4. 「神聖な祖先の故地」で「景観は世代にわたる土地管理を反映している」と書かれるが、基準は(vii)(viii)で文化の基準は付いていない
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正解:4.「神聖な祖先の故地」で「景観は世代にわたる土地管理を反映している」と書かれるが、基準は(vii)(viii)で文化の基準は付いていない

本文に書かれていることと、価値の根拠として挙げられている基準は別です。基準は一覧で確かめます。31章のグランマ889(資産名が1956年の出来事に由来)・九寨溝637(名に「歴史的」)と同じ型です。308 は「景観が土地管理を反映している」と書くので、人の手が入った結果としての景観を認めています。それでも基準は自然の二つだけです。

参考資料

確認日:2026年10月28日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。