基本を学ぶ
世界遺産がいくつあって、どこに多いのかを数で見ます。この数は毎年変わります。
いくつあるか
2026年10月1日にユネスコの世界遺産一覧を数えたところ、1,273件でした。
区分の内訳
文化遺産 991件、自然遺産 240件、複合遺産 42件。文化遺産が全体の8割近くを占めます。世界遺産というと自然の風景を思い浮かべがちですが、数の上では人がつくったもののほうがずっと多いということです。
どこに多いか
世界遺産がある国と地域は173。いちばん多いのはイタリアで62件、次いで中国61件、フランス56件、ドイツ55件、スペイン50件です。日本は27件で、11番目に多い国です。「国」と言い切らずに「国と地域」と書くのは、一覧の中に国ではないものが混じっているからです。
国をまたぐ遺産
51件は複数の国にまたがって登録されています。ヴィクトリアの滝はザンビアとジンバブエ、ローマの歴史地区はイタリアとバチカン市国(聖座)です。
危機にある遺産
58件が危機遺産の一覧に載っています(2026年7月の第48回世界遺産委員会の時点)。この回は6件が新しく入り、1件が抜けました。なお一覧のデータには「いま危機遺産であるもの」と「昔そうだったが、もう抜けたもの」が一緒に入っています。数えるときは、そこを分けないと多く出ます。
この数は動く
毎年ひらかれる世界遺産委員会で新しい遺産が登録され、数は増えていきます。危機遺産の数は出たり入ったりします。ここに書いた数字のうち、総数・区分・国別は2026年10月1日に数えたもの、危機遺産の58件は2026年7月の委員会の時点のものです。数字ごとに「いつの数か」が違うことがあります。検定は、その回が対象とする時点の数字を聞きます。数そのものを覚えるより、「いつの数か」を確かめる癖をつけてください。
覚えておきたいこと
- 2026年10月1日時点で1,273件
- 文化991 / 自然240 / 複合42
- 日本は27件。いちばん多いのはイタリア
3級
3級向けに理解を深める
4級ではいくつあるかを数えました。3級では、その数字から何が読み取れるのかを見ます。
文化が多いのは偏りでもある
2026年10月1日時点で、世界遺産は1,273件。文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件です。文化遺産が全体の8割近くを占めます。これは「文化のほうが価値が高い」という意味ではなく、推薦する国の側の事情が数に出ていると読みます。
複合遺産がいちばん少ない
複合遺産は42件で、三つの区分の中でもっとも少ない区分です。文化と自然の両方の基準を満たす必要があるため、数が増えにくくなっています。
数は毎年動く
世界遺産委員会はおおむね毎年開かれ、そのたびに新しい登録が加わります。だから「いま何件か」は、いつ数えたかとセットでなければ意味を持ちません。教材の件数にも基準時点があります。公式テキスト第5版は2024年の世界遺産委員会までを反映したもので、ゼミが数えた2026年10月1日時点の1,273件とは別の数字です。
同じ「ヨーロッパ」でも範囲が違う
地域ごとの割合を見るときは、どの区切り方で数えた割合かを先に確かめます。「ヨーロッパ」「アジア」といったまとめ方は資料ごとに違い、UNESCO の区分・公式テキストの区分・ゼミの区分は同じとは限りません。範囲が変われば割合も変わるため、出所の違う割合を並べて比べることはできません。
件数の多さは価値の高さではない
4級では国ごとの件数を並べました。3級で押さえるのはその読み方です。件数が多いことは、その国に価値ある遺産が多いことを直接は意味しません。条約を結んだ時期、推薦の体制、記録の残り方といった国の側の事情が数に出ます。
3級で押さえること
- 1,273件(2026年10月1日時点)。文化が8割近く
- 複合遺産42件がもっとも少ない
- 件数は、いつ数えたかとセットで覚える
2級
2級向けに理解を深める
件数は毎年の世界遺産委員会で変わる。この教材は第5版・第6版(2024年の委員会まで反映)を基準にしている。
件数を覚える前に、いつの数字かを確かめる
世界遺産の件数は、毎年の世界遺産委員会で変わります。登録が増え、範囲の拡張があり、抹消もあります。
だから、件数の問題ではまず「いつの数字か」を確かめます。
この教材が基準にしているのは、第5版・第6版(2024年の世界遺産委員会まで反映)です。
「日本の世界遺産26件」の数え方
26件すべてが日本国内だけにあるわけではありません。
ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献は国境を越える連続遺産で、日本からは国立西洋美術館が構成資産として入っています。
価値は「近代建築運動が世界中へ伝わっていった経緯」なので、一国では成り立ちません。
文化と自然の内訳
| 区分 | 件数 | 遺産 |
|---|---|---|
| 自然遺産 | 5 | 屋久島・白神山地・知床・小笠原諸島・奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 |
| 文化遺産 | 21 | 上記以外 |
| 複合遺産 | 0 | 日本には無い |
日本に複合遺産はありません。
登録抹消された遺産は、別に数える
登録を抹消された遺産は、現在の登録遺産ではありません。ただし、UNESCO の識別子(ID)は残ります。
| 遺産 | ID | 抹消 |
|---|---|---|
| アラビアオリックスの保護地区 | 654 | 2007年 |
| ドレスデン・エルベ渓谷 | 1156 | 2009年 |
| リヴァプール — 海商都市 | 1150 | 2021年 |
「抹消された」と「識別子を持たない」は別です。識別子を消して区別すると、何が抹消されたのかをたどれなくなります。
抹消の根拠は作業指針第192項の二つの場合です(登録を決定づけた特性を失うほど劣化した場合/推薦時点で既に人の行為によって脅かされており、必要な改善措置が期間内にとられなかった場合)。
割合を出すときは、母数を書く
件数の話でいちばん間違えやすいのがここです。
同じことを言っていても、何を数えたかで数字が変わります。
| 数えるもの | 例 |
|---|---|
| 現在の登録遺産 | 抹消されたものを含まない |
| これまでに登録されたもの | 抹消されたものを含む |
| 構成資産の数 | 1件の遺産が何十もの構成資産を持つことがある |
構成資産の数で見ると、印象が変わります。
- 日光の社寺 … 103棟(二荒山神社23・東照宮42・輪王寺38)
- 法隆寺地域の仏教建造物群 … 48の構成要素
- 古都京都の文化財 … 17件の構成資産、建造物198・庭園12
- 百舌鳥・古市古墳群 … 49基
- 琉球王国のグスク … 9件(300を超えるグスク跡などから選ばれた)
「1件」の中身は、遺産によってまるで違います。
2級で押さえること
- 件数は毎年の世界遺産委員会で変わる。まず「いつの数字か」を確かめる
- この教材の基準は第5版・第6版(2024年の委員会まで反映)
- 日本26件のうち、ル・コルビュジエは国境を越える連続遺産(日本からは国立西洋美術館)
- 日本の自然遺産は5件、複合遺産は0件
- 抹消された遺産は現在の登録遺産ではないが、UNESCO の識別子は残る
- 「抹消された」と「識別子を持たない」は別
- 割合を出すときは母数を書く(現在の登録/これまでの登録/構成資産の数)
- 「1件」の中身は遺産でまるで違う(日光103棟・法隆寺48・京都17・百舌鳥古市49基・琉球9件)
同じ論点が出てくる記事
2級の中心は、個別の暗記ではなく横断にあります。この記事で出てきた論点は、ほかの記事にも出てきます。
数字は、どの資料のどこに書かれたものかを添える
母数を書かないと、同じ割合が別の意味になる。一次資料の中で数が割れることもある。
- 世界遺産の件数(この記事)… 現在の登録/これまでの登録/構成資産の数は別
- 数字の比べ方 … 割合を出すときは母数を書く
- 姫路城 … UNESCO の同じページで建造物の数が83と82に割れる
- 富岡製糸場 … 構成資産の説明が農場1+学校1と学校2に割れる
この記事の出どころ
- UNESCO World Heritage Centre 各遺産のページ(2026-10-06 取得)
- UNESCO, Operational Guidelines for the Implementation of the World Heritage Convention, WHC.25/01(2025-07-16) https://whc.unesco.org/document/222376(2026-10-06 取得)
級別の確認問題
4級 確認問題
答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。
確認1:2026年10月1日時点で、世界遺産はいくつありましたか?
- 873件
- 1,273件
- 1,573件
- 2,073件
正解と解説を開く
正解:2.1,273件
1,273件でした。この数は毎年の世界遺産委員会で増えます。検定は、その回が対象とする時点の数字を聞きます。
確認2:登録区分のうち、数がいちばん多いのは?
- 自然遺産
- 複合遺産
- 文化遺産
- どれも同じくらい
正解と解説を開く
正解:3.文化遺産
文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件で、文化遺産が8割近くを占めます。
確認3:日本の世界遺産の登録数は?
- 17件
- 22件
- 27件
- 32件
正解と解説を開く
正解:3.27件
27件です(2026年10月1日時点)。
確認4:登録数がいちばん多い国は?
- イタリア
- 中国
- フランス
- インド
正解と解説を開く
正解:1.イタリア
イタリアが62件で、中国61件、フランス56件と続きます(2026年10月1日時点)。
3級 確認問題
確認1:世界遺産の登録区分の件数の内訳から読み取れることとして正しいものは?
- 文化遺産が8割近くを占めるので、文化のほうが価値が高いと決められている
- 文化遺産が8割近くを占めるが、文化のほうが価値が高いという意味ではない
- 自然遺産は登録されにくい決まりがある
- 複合遺産は数が多いので登録しやすい
正解と解説を開く
正解:2.文化遺産が8割近くを占めるが、文化のほうが価値が高いという意味ではない
2026年10月1日時点で文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件。推薦する国の側の事情が数に出ていると読みます。
確認2:複合遺産の件数がもっとも少ない理由として正しいものは?
- 複合遺産の登録が最近まで認められていなかったから
- 複合遺産には件数の上限があるから
- 複合遺産は10年ごとに見直されて減るから
- 文化と自然の両方の基準を満たす必要があるから
正解と解説を開く
正解:4.文化と自然の両方の基準を満たす必要があるから
複合遺産は42件で三つの区分の中でもっとも少ない区分です。
確認3:世界遺産の件数を覚えるときに必要なこととして正しいものは?
- いつ数えた件数なのかとセットで覚えること
- 毎年決まった数ずつ増えると覚えること
- 国ごとの上限を覚えること
- 件数は変わらないので一度覚えればよいこと
正解と解説を開く
正解:1.いつ数えた件数なのかとセットで覚えること
世界遺産委員会はおおむね毎年開かれ、そのたびに登録が加わります。教材の件数も、いつ時点のものかを確かめます。
確認4:地域ごとの件数の割合を資料で見たときに、先に確かめることとして正しいものは?
- その地域の面積と人口のつり合い
- その地域で最初に登録された遺産の名前
- どの区切り方で、いつ数えた割合なのか
- 地域の区切り方は世界共通なので、確かめる必要はない
正解と解説を開く
正解:3.どの区切り方で、いつ数えた割合なのか
「ヨーロッパ」「アジア」といった地域のまとめ方は資料ごとに違い、範囲が変われば割合も変わります。基準時点も資料ごとに違います。ゼミの件数は2026年10月1日時点・ゼミの区分で数えたものです。
2級 確認問題
確認1:遺産の件数や面積を資料で見たときに、先に確かめることとして適切なものは?
- 出どころの資料と、その資料の時点
- 合計が公式の発表と一致するか
- 数字の単位がそろっているか
- 上に挙げたいずれも確かめる
正解と解説を開く
正解:4.上に挙げたいずれも確かめる
どれも必要です。世界遺産の件数は毎年の委員会で変わります。面積は ha と km² が混ざりえます。この教材では第5版(2024年の委員会まで反映)を基準にしています。
確認2:「日本の世界遺産26件」という数え方について正しいものは?
- 26件はすべて日本国内だけに所在する
- ル・コルビュジエの建築作品は国境を越える連続遺産で、日本からは国立西洋美術館が構成資産として入っている
- 26件のうち文化遺産は26件すべてである
- 26件は第5版と第6版で件数が異なる
正解と解説を開く
正解:2.ル・コルビュジエの建築作品は国境を越える連続遺産で、日本からは国立西洋美術館が構成資産として入っている
遺産そのものは日本のものではありません。価値は「近代建築運動が世界中へ伝わっていった経緯」なので、一国では成り立ちません。26件のうち自然遺産は5件(屋久島・白神山地・知床・小笠原・奄美沖縄)です。日本26件は2級テキスト(第6版)でも3級・4級と同じ件数です。
参考資料
確認日:2026年9月30日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。