個人
アンヌ・ルイリエ
Anne L’Huillier
1958年生まれ
何をした人か
レーザー光を希ガスに通すと多くの倍音の光が生まれることを見つけ、アト秒という極めて短い光の研究の土台を築いた物理学者です。
受賞理由のやさしい要約
2023年 物理学賞(賞の1/3)
物質の中の電子の動きを調べるために、アト秒単位の光のパルスをつくり出す実験手法が評価されました。ピエール・アゴスティーニ、フェレンツ・クラウスとの3人での受賞です。1アト秒はとても短く、1秒の中にあるアト秒の数は、宇宙の誕生から今までの秒数と同じくらいです。
同じ年・部門の共同受賞:Pierre Agostini(未収録)、Ferenc Krausz(未収録)
公式の受賞理由(英語)
for experimental methods that generate attosecond pulses of light for the study of electron dynamics in matter何が新しかったか
1987年、フランスの研究室で同僚とともに、赤外線レーザーを希ガスに通すと、ほぼ同じ強さの倍音がたくさん生じることを示しました。倍音は、レーザー光が気体の原子と作用して一部の電子に余分なエネルギーを与え、それが光として出ることで生まれます。1990年代には新たな拠点のルンド大学などでこの現象を探り続けて理論的な理解を深め、後の実験の飛躍の土台を築きました。
私たちの生活や社会とのつながり
アト秒のパルスによって、以前は速すぎて追えなかった電子の動きを調べられるようになりました。受賞発表は応用の可能性として、物質中の電子のふるまいを理解し制御することが大切な電子工学や、分子を見分ける医療診断を挙げています。
関連する受賞者・団体
- アハメッド・ズウェイル編集上の関連
ズウェイルは、速いレーザーの技術で化学反応中に分子の中の原子が動くようすを見られることを示しました。電子はさらに速く動き、フェムト秒ではぼやけてしまうため、ルイリエらはより短いアト秒の光の研究を切り開きました。
- ドナ・ストリックランド編集上の関連
ストリックランドは、レーザーのパルスを引き伸ばしてから増幅し、再び圧縮して、短く強いパルスをつくる方法を開発しました。ルイリエはレーザー光と気体の原子の作用から生まれる倍音を探りました。どちらも、より短い光の閃光をめざす研究の流れにあります。
「編集上の関連」は、同じ問いを別の角度から考える組み合わせとして編集部が選んだもので、実際の協働や影響関係を示すものではありません。
次に読むためのキーワード
出典と確認日
- NobelPrize.org 受賞者ページ(Anne L’Huillier)
- 2023年 ノーベル物理学賞(NobelPrize.org)
- Anne L’Huillier – Facts – 2023 - NobelPrize.org
- Press release: The Nobel Prize in Physics 2023 - NobelPrize.org
- The Nobel Prize in Physics 2023 - Popular science background - NobelPrize.org
受賞年・部門・英語の受賞理由は NobelPrize.org API の公開データ(2026-10-25取得)です。日本語の解説は編集部による要約で、記述の確認に使った資料を上に掲げています(確認日 2026-10-22)。[根拠]の番号は、医療や評価の分かれる記述について、この一覧の資料を示します。