ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島

垂直に切り立った岩の壁が左右にせまり、その底に岩だらけの道が続く。
Hardo Müller / CC BY-SA 2.0 / 出典 / 加工: 長辺1800pxに縮小
登録年
2000年
所在国
フィンランド/スウェーデン
登録区分
自然遺産
地域
ヨーロッパ
登録基準
(viii)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 面積が二通り

フィンランドとスウェーデン。ボスニア湾(バルト海の北の延長)の向かい合う側にあります。

本体 336,900 ha(概要は「346,434 ha」)
緩衝地帯 一覧に行が無い
登録 2000年、基準 (viii)だけ=1つ
重要な境界の変更 2006年
dossier 898bis
シリアル はい(`Serial: yes`)
保存状況報告 記載なし
ほかの保全の仕組み 1つの仕組み / 1要素——ラムサール(Quark Archipelago)
`Activities` 1件(World Heritage Marine Programme)
訳のある言語 8つ(日本語を含む)

面積が二通りで、9,534 ha 違う

どこ 数
一覧 336,900 ha
概要 「346,434 ha のこの広大な区域(そのうち約100,700 ha が陸)」

差は9,534 ha です。一覧に2006年の重要な境界の変更があるので時点の違いと読めますが、一次資料はどちらが新しいとも理由とも書いていません。両方をそのまま記録します。

同じ章のジャイアンツ・コーズウェイ369 も一覧239.405 ha と完全性の節「70 ha」で食い違いました。30章の5件のうち二つで、一覧と本文の面積が違います。

ラムサールの要素の名が綴りが違う

資産名 `High Coast / Kvarken Archipelago`
ラムサールの要素 `Quark Archipelago`(`Kvarken` ではなく `Quark`)

同じ群島の綴りが制度によって違います。別の制度は別の名簿を持つので食い違いにはしませんが、綴りをそのまま写します。

基準(viii)だけ

同じ章のバーバートン1575 とあわせて、基準(viii)だけの資産は236件でこの二つが最初です。

国が二つにまたがる自然遺産で、概要は「このシリアルな国境を越える資産(serial transboundary property)」、保護管理は「このシリアルな国を越える遺跡(serial transnational site)」と二つの語を使います。同じものを指すので食い違いにはしませんが、語をそのまま写します。

高いほうと低いほうが向かい合っている

この346,434 ha の広大な区域は、高さが低さに出会う場所である——ヘーガ・クステンの、高い島々、急な岸、滑らかな崖、深い入り江を伴う丘の多い景色は、クヴァルケン群島の、何千もの低く横たわる島々、浅い湾、モレーンの尾根、巨大な巨礫原とは完全な対照をなす。

ヘーガ・クステン(スウェーデン) クヴァルケン群島(フィンランド)
地形 高い島々・急な岸・滑らかな崖・深い入り江 低く横たわる島々・浅い湾・モレーンの尾根・巨大な巨礫原
島の数 — 5,600
海の深さ 最大293 m 平均10 m 未満
住む人 約4,500人 約2,500人

基準(viii)は二つを「後氷期の隆起する景観の相補的な例(complementary examples)」と呼びます。「同じものが二つある」のではなく「違うものが対になっている」という書き方です。

隆起の数が三通りに書かれる

どこ 隆起の量 いつから
説明文 「隆起は285 m の程度であり、それが知られているもっとも高い「跳ね返り(rebound)」である」 「ヘーガ・クステンから氷が最後に後退した9,600年前」以来
概要 「陸は合計800 m 高くなった」(「最後の氷期の後の世界でもっとも高い隆起がここで記録されている」) 最後の氷期の後
基準(viii) 「約290 m の陸の隆起が記録されている」 「過去10,500年にわたって」

三つの数(285 m/800 m/290 m)が別の節に書かれます。800 m は氷期の後の合計、285 m と290 m は後退の後の記録と読めますが、一次資料は三つを突き合わせていないので、どれが正しいとも、どう関係するとも書きません。

時期の数も節で違う

何 年 どこ
デ・ギーア・モレーンが作られた 10,000年から24,000年前 説明文
ヘーガ・クステンから氷が最後に後退した 9,600年前 説明文
氷期の数 「過去2〜3百万年のあいだにいくつもの氷期」 概要
いまの陸の隆起が始まった 「氷が溶け始めた約18,000年前」 概要
隆起の速さ 「過去10,500年のあいだ、1世紀あたり約0.9 m」 概要

「人の一生のうちに観察できる現象であり、続くと予期される」と書かれます。

陸が上がると水辺が変わる

陸の継続する上昇は、新しい島々の出現と独特の氷河の地形をもたらし、一方で入り江が次第に海から切り離され、それらを河口域に、そして最終的に湖に変えていく。

説明文も同じことを別の語で書きます——「島が現れて結びつき、半島が広がり、湖が湾から進化して沼沢と泥炭の湿原へ発達する」。

「景観が変わり続けること」そのものが価値として書かれる資産です。同じ章のレンソイス1611 の砂丘とジャイアンツ・コーズウェイ369 の侵食と同じ軸ですが、898 は土地が増える向きです。

基準(viii)だけ — その現象がここで最初に認識された

ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島は二つの主要な理由で例外的な地質の価値を持つ。 第一に、どちらの区域も世界でもっとも高い等地殻的隆起の速度のいくつかを持ち、……この現象はここで最初に認識され研究された、それが資産を大陸氷床の融解に対する地殻の反応の過程を理解するための鍵となる区域にしている。 第二に、クヴァルケン群島は、その5,600の島々と周囲の海をもって、デ・ギーア・モレーンのような氷河の堆積の形成の独特な配列を持つ。「モレーン群島を研究するための、地球規模の、例外的で多様な区域である」。

その現象がここで最初に認識された

「この現象はここで最初に認識され研究された」と書かれます。30章の背骨の一つで、科学の歴史そのものが価値の根拠になります。

遺産 科学の歴史の書き方
ヘーガ・クステン/クヴァルケン898 「この現象はここで最初に認識され研究された」。「鍵となる区域」
ジャイアンツ・コーズウェイ369 「過去300年にわたる地質の研究が地球科学の発展に大いに寄与してきた」。「古典の産地」
バーバートン1575 「一世紀を超えて集中的に研究されてきた」。「まだ部分的にしか探られていない」
レンソイス1611 「過去の河川の過程を理解するための今日の類似物」
カナイマ701 「大きな地質の関心の対象である」(顕著な普遍的価値の節が無いのでそれ以上は読めない)

30章の5件すべてで、その場所が科学にとって何であるかが書かれます。書き方は「最初に認識された」「古典の産地」「一世紀を超えて研究された」「今日の類似物」「大きな関心の対象」と違います。

バルト海そのものが変わってきた

バルト海は最後の氷期以来、劇的な変化を経てきた——海水から淡水へ、そして汽水への一連の移行を含めて、それが結果として植物と動物の生命のその後の変化を引き起こした。このシリアルな国境を越える資産は、この変化の連続性の優れた例として役立つ——陸と海の景観を形づくる動的な進行中の地質の過程を伴って、生物の過程と生態系の発達との興味深い相互作用を含めて。

基準が(viii)だけなのに、概要は生物の過程と生態系の発達にも触れます。本文に書かれていることと、付いている基準は別です。

完全性と保護管理 — 境界が地質で引かれ、固有の法が無い

境界が地質で引かれ、行政の線と一致しない

資産の地質の境界は法的または行政の境界と一致しないが、その選定の背後にある科学は正当である(the science behind their selection is justified)。

境界が地質の根拠で引かれ、行政の線と一致しないことを一次資料が明記する資産は、これまで読んだ236件でここだけです。

遺産 境界の引き方
ヘーガ・クステン/クヴァルケン898 地質で引かれ、行政の線と一致しない(明記される)
バーバートン1575(同じ章) 地質の帯の内側に収まり、世界遺産の指定と両立する土地利用の文脈のなかで単一の連続した実体として構成
オカヴァンゴ1432(33章) 獣医の防疫柵の有無によって導かれた
エル・エスコリアール318(26章) 16世紀の王の囲いの線
カカドゥ147(16章) 地形の事情を考慮しない任意の直線

境界が何を含み、何を除くか

側 含むもの 除くもの
ヘーガ・クステン(スウェーデン) 国の保全の関心の主要な区域。内陸へは隆起した陸のすべての帯状区分ともっとも高い海岸線のいくらかまで。海側へは鍵となる沖合の島々と海の区域(「隆起した陸の表面の地形の連続体の論理的な延長」) 「大規模な林業の管理のもとにある区域」
クヴァルケン群島(フィンランド) 陸と海の二つの別々の区域。もっとも卓越した地質の陸の形成、浅い海に横たわる形成、そしてモレーンの特徴の大部分 —

「大規模な林業の管理のもとにある区域」を意図的に除いたと書かれます。何を入れたかと同じだけ、何を除いたかも記録します。

三つの核心区域があるとされます——保護管理の節が「このシリアルな国を越える遺跡の三つの核心区域すべて」と書きます。ヘーガ・クステン1つとクヴァルケン2つの合わせて三つと読めますが、一次資料は内訳を書いていないので「三つ」までを記録します。

71%が海

割合 「資産の約71%が海であることに注意」
深さ ヘーガ・クステンは最大293 m、クヴァルケン群島は平均10 m 未満
水中の形成 「侵食や、植生による定着や人の活動のような過程によって広く影響されてきていない」
陸の部分 「いくつかの大規模な開発の事業が、資産の完全性に影響しうる論点として注意されてきた」

水の中と陸の上で、完全性の評価が分かれます。

人が住んでいるが「無視できる影響」

資産には小さな定住の人口がある(ヘーガ・クステンに約4,500人、クヴァルケン群島に約2,500人)が、人びとは小規模な伝統の農業、林業、漁業に従事し、それらはすべて地質の価値に無視できる影響(negligible impact)しか持たない。

同じ章のレンソイス1611 も4,000人超が資産の中に住んでいました。1611 は「権利が守られる必要がある」と書き、898 は「地質の価値に無視できる影響しか持たない」と書きます。同じ「人が住んでいる」が、権利の側と影響の側のどちらから書かれているかを読みます。

固有の法が無いと明記される

ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島の顕著な普遍的価値を直接に保護する特定の法制は無い(There is no particular legislation that directly protects …)が、一般の環境の国内法制が資産の全体に満足すべき間接の保護を与える。

「固有の法が無い」と明記される資産です。同じ章のバーバートン1575 は世界遺産条約法1999を挙げるので、同じ章の二つで法の書き方が正反対です。

保護の割合が二つに分かれる

割合 保護
約37% 自然保護区または国立公園。さらにナチュラ2000 のヨーロッパの保護区域の網に属する。「これらすべての異なる種類の保護区域は土地利用を制限する規制を持ち、地質の形成に、また動植物によい水準の保護を与える」
約63% 「同じ水準の保護を持たないが、国内法制が資産の完全性を守る可能性を与える」

資産の内側で保護の水準が割合で分かれると書かれる資産です。「保護区域である」と「世界遺産である」は別の制度なので混ぜません。

ほかに「ヘーガ・クステンは国の関心の景観であり、それが資産の娯楽と自然保全の価値に追加の法的保護を与え、社会の発展のための指針として役立つ」、「クヴァルケン群島では、地域の土地利用計画がその顕著な普遍的価値を守り、フィンランド側の二つの核心区域のあいだの帯の地質の価値も認める」と書かれます。

脅威 — 温暖化は過程ではなく「見え方」に効く

温暖化が価値そのものには効かない

地球温暖化は、陸の隆起の現象そのものへの脅威ではない。それは地質の過程に影響しないからである。しかしながら、海水準の上昇は、毎年海から現れる新しい陸の区域を減らすことによって、海岸の景観における陸の隆起の目に見える効果に影響するだろう。

脅威が「価値をなす過程」ではなく「価値の見え方」に効くと書き分けられる資産は、これまで読んだ236件でここだけです。

何に効くか
陸の隆起という地質の過程 「影響しない」
その過程が目に見える度合い 「影響するだろう」

同じ章のジャイアンツ・コーズウェイ369 も「海水準の変化または嵐の出来事の頻度の増加も、将来、堤道が接近可能または見えている度合いに影響しうる」と書きます。30章の二つで、脅威が「見え方」に向けられます。

起こりにくいことまで書かれる

激しい地震や火山の噴火のような自然の大災害は、スウェーデンとフィンランドでは起こりそうにない(unlikely)。

「起こりそうにない脅威」をわざわざ書く資産は少数です。「脅威が書かれていない」と「脅威が無いと書かれている」と「起こりそうにないと書かれている」は別のことです。

ほかの脅威

脅威 書かれ方
大規模な建築の事業 「将来の潜在的な脅威」。「際立った地質の特徴のいくらかの部分を破壊しうる、または資産の重要な眺めに深刻な影響を持ちうる」
訪問者の圧力の増加 「生物と文化の価値への潜在的な脅威」
海での石油または化学物質の流出 同じ

基準が(viii)だけの資産で、脅威の節が「生物と文化の価値」という語を使います。登録の基準と、脅威が向けられる価値は一致しません。どちらもそのまま記録します。

管理の仕組み

どこで 「スウェーデンとフィンランドの両方で、世界遺産の管理の論点は地域の水準で、当局、自治体、地元の利害関係者からの代表を伴う設立された機関によって扱われる」
国を越えて 「スウェーデンとフィンランドの関係する地域の当局と自治体は、おもに三つの核心区域すべてが資産の全体のための共同の管理戦略を持つことを確かにするために、国を越える協議機関を設立した」
これから 「資産の効果的な管理は、保護区域の管理を、共同体と産業の基盤施設の整備、観光、漁業、海運のようなほかの鍵となる活動と統合する生態系の取り組みをさらに発展させる必要がある」

「管理計画」という語は使われず、「共同の管理戦略」と「生態系の取り組み」と書かれます。

「すべての脅威は、国内法制、戦略の計画の措置、そして当局、利害関係者、地元の住民のあいだで資産の価値についての知識と認識を改善することをめざす行動を実施することによって対処される」と結ばれます。

お知らせに「公刊:私たちの共通の遺産——フィンランド国家世界遺産戦略2015〜2025」(2015年11月3日)があります。2026-10-28 の時点でその期間は過ぎていますが、これはお知らせであって顕著な普遍的価値の本文ではないので、本文と分けて記録します。

2級で押さえること

本体336,900 ha(概要は「346,434 ha」で差は9,534 ha)/緩衝地帯は一覧に行が無い、2000年登録・重要な境界の変更2006年、基準(viii)だけ=1つ、dossier 898bis、`Serial: yes`、保存状況報告の記載なし、ラムサール1要素(要素名は `Quark Archipelago` で `Kvarken` ではなく `Quark`)、`Activities` 1件(World Heritage Marine Programme)、訳のある言語は8つで日本語を含む。面積が二通り——一覧336,900 ha と概要「346,434 ha(そのうち約100,700 ha が陸)」。一覧に2006年の重要な境界の変更があるので時点の違いと読めるが、一次資料はどちらが新しいとも理由とも書いていないので両方をそのまま記録する。同じ章のジャイアンツ・コーズウェイ369 も一覧239.405 ha と完全性の節「70 ha」で食い違い、30章の5件のうち二つで一覧と本文の面積が違う。基準(viii)だけの資産は236件で、同じ章のバーバートン1575 とこの898 が最初の二つ。概要は「シリアルな国境を越える資産(serial transboundary property)」、保護管理は「シリアルな国を越える遺跡(serial transnational site)」と二つの語を使う。高いほうと低いほうが向かい合っている——「高さが低さに出会う場所」で、ヘーガ・クステン(スウェーデン)の高い島々・急な岸・滑らかな崖・深い入り江と、クヴァルケン群島(フィンランド)の何千もの低く横たわる島々・浅い湾・モレーンの尾根・巨大な巨礫原が「完全な対照」をなす。海の深さはヘーガ・クステンが最大293 m、クヴァルケンが平均10 m 未満。基準(viii)は二つを「後氷期の隆起する景観の相補的な例」と呼び、「同じものが二つある」のではなく「違うものが対になっている」という書き方。隆起の数が三通りに書かれる——説明文は「隆起は285 m の程度であり、それが知られているもっとも高い『跳ね返り』である」(9,600年前の氷の後退以来)、概要は「陸は合計800 m 高くなった」(「最後の氷期の後の世界でもっとも高い隆起がここで記録されている」)、基準(viii)は「約290 m の陸の隆起が記録されている」(過去10,500年にわたって)。800 m は氷期の後の合計、285 m と290 m は後退の後の記録と読めるが、一次資料は三つを突き合わせていないのでどれが正しいともどう関係するとも書かない。時期の数も節で違う——デ・ギーア・モレーンが作られたのが10,000年から24,000年前、ヘーガ・クステンから氷が最後に後退したのが9,600年前(説明文)、氷期が「過去2〜3百万年のあいだにいくつも」、いまの隆起が始まったのが「約18,000年前」、隆起の速さが「過去10,500年のあいだ、1世紀あたり約0.9 m」(概要)。「人の一生のうちに観察できる現象であり、続くと予期される」。陸が上がると水辺が変わる——「陸の継続する上昇は、新しい島々の出現と独特の氷河の地形をもたらし、一方で入り江が次第に海から切り離され、それらを河口域に、そして最終的に湖に変えていく」。説明文は「島が現れて結びつき、半島が広がり、湖が湾から進化して沼沢と泥炭の湿原へ発達する」と別の語で同じことを書く。「景観が変わり続けること」そのものが価値として書かれ、同じ章のレンソイス1611 の砂丘とジャイアンツ・コーズウェイ369 の侵食と同じ軸だが、898 は土地が増える向き。その現象がここで最初に認識された——基準(viii)の第一の理由が「どちらの区域も世界でもっとも高い等地殻的隆起の速度のいくつかを持ち……この現象はここで最初に認識され研究された、それが資産を大陸氷床の融解に対する地殻の反応の過程を理解するための鍵となる区域にしている」。第二の理由がクヴァルケン群島の5,600の島々とデ・ギーア・モレーンのような「氷河の堆積の形成の独特な配列」で、「モレーン群島を研究するための、地球規模の、例外的で多様な区域である」。30章の5件すべてで「その場所が科学にとって何であるか」が書かれ、書き方は「最初に認識された」(898)/「古典の産地」と「過去300年の研究」(369)/「一世紀を超えて研究された」と「まだ部分的にしか探られていない」(1575)/「今日の類似物」(1611)/「大きな地質の関心の対象」(701)と違う。バルト海そのものが変わってきた——「海水から淡水へ、そして汽水へ」の一連の移行が「植物と動物の生命のその後の変化」を引き起こし、資産は「この変化の連続性の優れた例」として「陸と海の景観を形づくる動的な進行中の地質の過程」と「生物の過程と生態系の発達との興味深い相互作用」を伴う。基準が(viii)だけなのに概要は生物の過程にも触れるので、本文に書かれていることと付いている基準は別。境界が地質で引かれ、行政の線と一致しない——「資産の地質の境界は法的または行政の境界と一致しないが、その選定の背後にある科学は正当である」。236件でここだけ。ヘーガ・クステン側は国の保全の関心の主要な区域、内陸へは隆起した陸のすべての帯状区分ともっとも高い海岸線のいくらかまで、海側へは鍵となる沖合の島々と海の区域を含み、「大規模な林業の管理のもとにある区域」を意図的に除く。クヴァルケン側は陸と海の二つの別々の区域。保護管理の節は「三つの核心区域すべて」と書くが内訳は書かれていないので「三つ」までを記録する。71%が海——「資産の約71%が海であることに注意」。水中の形成は「侵食や、植生による定着や人の活動のような過程によって広く影響されてきていない」が、陸の部分では「いくつかの大規模な開発の事業が、資産の完全性に影響しうる論点として注意されてきた」。水の中と陸の上で完全性の評価が分かれる。人が住んでいるが「無視できる影響」——ヘーガ・クステンに約4,500人、クヴァルケン群島に約2,500人が住み、小規模な伝統の農業・林業・漁業に従事し「地質の価値に無視できる影響しか持たない」。同じ章のレンソイス1611 も4,000人超が住んでいるが、1611 は「権利が守られる必要がある」、898 は「無視できる影響」と権利の側と影響の側のどちらから書かれているかが違う。固有の法が無いと明記される——「ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島の顕著な普遍的価値を直接に保護する特定の法制は無いが、一般の環境の国内法制が資産の全体に満足すべき間接の保護を与える」。同じ章のバーバートン1575 は世界遺産条約法1999 を挙げるので、同じ章の二つで法の書き方が正反対。保護の割合が二つに分かれる——約37%が自然保護区または国立公園でナチュラ2000 にも属し「よい水準の保護」、約63%は「同じ水準の保護を持たない」。ほかにヘーガ・クステンは「国の関心の景観」で追加の法的保護を受け、クヴァルケン群島では地域の土地利用計画が顕著な普遍的価値を守り二つの核心区域のあいだの帯の地質の価値も認める。温暖化は過程ではなく「見え方」に効く——「地球温暖化は、陸の隆起の現象そのものへの脅威ではない。それは地質の過程に影響しないからである。しかしながら、海水準の上昇は、毎年海から現れる新しい陸の区域を減らすことによって、海岸の景観における陸の隆起の目に見える効果に影響するだろう」。脅威が「価値をなす過程」ではなく「価値の見え方」に効くと書き分けられる資産は236件でここだけ。同じ章のジャイアンツ・コーズウェイ369 も「堤道が接近可能または見えている度合いに影響しうる」と書き、30章の二つで脅威が「見え方」に向けられる。起こりにくいことまで書かれる——「激しい地震や火山の噴火のような自然の大災害は、スウェーデンとフィンランドでは起こりそうにない」。「脅威が書かれていない」「脅威が無いと書かれている」「起こりそうにないと書かれている」は別のこと。ほかの脅威は大規模な建築の事業(「際立った地質の特徴のいくらかの部分を破壊しうる、または資産の重要な眺めに深刻な影響を持ちうる」)、訪問者の圧力の増加と海での石油または化学物質の流出(どちらも「生物と文化の価値」への潜在的な脅威)。基準が(viii)だけの資産で脅威の節が「生物と文化の価値」という語を使うので、登録の基準と脅威が向けられる価値は一致しない。管理は「スウェーデンとフィンランドの両方で、世界遺産の管理の論点は地域の水準で、当局、自治体、地元の利害関係者からの代表を伴う設立された機関によって扱われる」。両国の地域の当局と自治体が「三つの核心区域すべてが資産の全体のための共同の管理戦略を持つことを確かにするため」に国を越える協議機関を設立した。「管理計画」という語は使われず「共同の管理戦略」と「生態系の取り組み」と書かれる。「すべての脅威は、国内法制、戦略の計画の措置、そして当局、利害関係者、地元の住民のあいだで資産の価値についての知識と認識を改善することをめざす行動を実施することによって対処される」。お知らせに「公刊:私たちの共通の遺産——フィンランド国家世界遺産戦略2015〜2025」(2015年11月3日)があり、2026-10-28 の時点でその期間は過ぎているが、これはお知らせであって顕著な普遍的価値の本文ではないので本文と分けて記録する。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで3通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
地殻変動地殻の動きが、その資産で何の役を果たすか「世界でもっとも高い等地殻的隆起の速度」
火山火山が、その資産でどの向きで働いているか「激しい地震や火山の噴火のような自然の大災害は、スウェーデンとフィンランドでは」
気候変動基準・完全性・脅威・機会のどこに置かれるか「陸の隆起の現象そのものへの脅威ではない」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島の地球温暖化について、保護管理の節に書かれているのは?

  1. 陸の隆起の現象そのものへの脅威ではないが、その目に見える効果に影響するだろう
  2. 地球温暖化については書かれていない
  3. 陸の隆起の過程そのものを止めてしまうため、資産の価値が失われると書かれている
  4. 陸の隆起を加速させるため、新しい陸の出現がかえって増えると書かれている
正解と解説を開く

正解:1.陸の隆起の現象そのものへの脅威ではないが、その目に見える効果に影響するだろう

脅威が「価値をなす過程」ではなく「価値の見え方」に効くと書き分けられる資産は、236件でここだけです。同じ章のジャイアンツ・コーズウェイ369 も「見えている度合い」に影響しうると書きます。

確認2:ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島の境界について、完全性の節に書かれているのは?

  1. 境界の引き方は書かれていない
  2. 地質の境界は法的または行政の境界と一致しないが、選定の科学は正当である
  3. 地質の境界が法的および行政の境界と完全に一致するように引かれたと書かれている
  4. 境界は両国の国境線をそのまま用いたもので、地質の根拠は考慮されなかったと書かれている
正解と解説を開く

正解:2.地質の境界は法的または行政の境界と一致しないが、選定の科学は正当である

境界が地質の根拠で引かれ、行政の線と一致しないことを一次資料が明記する資産は、236件でここだけです。「大規模な林業の管理のもとにある区域」は意図的に除かれています。

確認3:ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島の法について、保護管理の節に書かれているのは?

  1. 法については書かれていない
  2. 顕著な普遍的価値を直接に保護するための固有の法が両国で制定されていると書かれている
  3. 顕著な普遍的価値を直接に保護する特定の法制は無い
  4. 世界遺産条約を実施するための国内法が両国にあり、それが直接の保護を与えていると書かれている
正解と解説を開く

正解:3.顕著な普遍的価値を直接に保護する特定の法制は無い

同じ章のバーバートン1575 は世界遺産条約法1999 を挙げるので、同じ章の二つで法の書き方が正反対です。898 では「一般の環境の国内法制が満足すべき間接の保護を与える」と続きます。

確認4:ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島の等地殻的隆起の現象について、基準(viii)に書かれているのは?

  1. 隆起の現象については書かれていない
  2. この現象は別の大陸で最初に認識され、この資産では確認だけが行われたと書かれている
  3. この現象はまだ科学的に認識されておらず、今後の研究が必要であると書かれている
  4. この現象はここで最初に認識され研究された
正解と解説を開く

正解:4.この現象はここで最初に認識され研究された

30章の5件すべてで「その場所が科学にとって何であるか」が書かれます。書き方は「最初に認識された」「古典の産地」「一世紀を超えて研究された」「今日の類似物」「大きな関心の対象」と違います。

参考資料

確認日:2026年10月28日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。