黄山

登録年
1990年
所在国
中国
登録区分
複合遺産
地域
アジア
登録基準
(ii) (vii) (x)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 文化と自然の両方

中国安徽省、湿潤亜熱帯モンスーン気候帯。

本体 16,060 ha
緩衝地帯 49,000 ha(本体の約3.05倍)
登録 1990年、基準 (ii)(vii)(x)
軽微な範囲変更 2012年
dossier 547bis
区分 複合遺産(文化の(ii)と自然の(vii)(x))

基準が文化と自然の両方にまたがっています。これまで読んだ63件で複合遺産はトンガリロ421・バンディアガラ516・パパハナウモクアケア1326 がありましたが、黄山547 は文化の基準が(ii)一つだけで、自然の基準が二つという組み合わせです。

名の由来は、747年の伝説

しばしば「中国のもっとも美しい山」と記される黄山は、8世紀ごろの唐の時代以来、中国の美術と文学の歴史において重要な役割を果たしてきた。747年に遡る伝説が、この山を、長く探されてきた不老不死の仙薬が発見された場所として記した。この伝説が黄山にその名を与え、中国史におけるその位置を確かにした。

黄山は隠者・詩人・山水画家を引き寄せる磁石となった——多数の花崗岩の峰(多くは1,000 m を超える)が絶えることのない雲海を抜けて現れる、劇的な山の景観に魅せられて。

16世紀ごろの明の時代、この景観と、その多数の奇怪な形の岩と古く節くれだった木々が、影響力ある山水画の学派に着想を与え、世界の想像と美術における東洋の景観の根本的な表象を与えた。

基準(ii)に書かれている年表

年 出来事
747年 勅命によって「黄山(黄色い山)」と名づけられた。そのときから多くの訪問者を引き寄せた
元朝(1271-1368) 64の寺が山上に建てられた
1606年 僧の普門が黄山に来て、法海禅院を建てた
明朝(16世紀ごろ) 黄山の描写が中国の山水画家の好む主題となり、影響力ある山水画の学派を確立した

「人と自然の相互作用をこのきわめて景勝に富む環境で示すことが、幾世代もの中国の芸術家と文筆家に着想を与えてきた」とされます。

自然の二つの基準 — 数字が細かい

基準(vii)

黄山は巨大な花崗岩の巨石と古い松の木を含む壮麗な自然の景観で名高く、しばしば雲と霧の効果によってさらに高められる。 この劇的な景観は、複雑な地質の歴史によって形づくられた、自然の石の柱、奇怪な形の岩、滝、洞窟、湖、温泉の形成を含む。

標高1,000 m を超える峰 77
最高峰 蓮花峰(レンホワ峰)、1,864 m

基準(x)

黄山は、在地または国レベルの固有植物種——いくつかは世界的に脅威にある——の生息地を与えている。

中国のコケ類(蘚苔類) 3分の1
中国のシダ類(シダ植物) 半分以上
黄山固有 シダ類13種、高等植物6種
脊椎動物 300種を超える(哺乳類48・鳥170・爬虫類38・両生類20・魚24)
国家保護 合計13種。ウンピョウ(VU)とコウノトリ(EN)を含む

自然遺産の基準では、数と種名が細かく書かれます。3章のイエローストーン28 も10,000を超える地熱現象・300を超える間欠泉・約150種の化石植物でした。

完全性と真正性 — 「作品からこそ理解できる」

完全性 — 住んでいる人を減らす方針

黄山の価値を体現するすべての要素が、登録された資産とその指定された緩衝地帯の境界内にある。氷河作用のよい証拠を示す、きわめて景勝に富む自然の区域であり、多数の堂々たる峰・奇怪な形の岩・滝・洞窟・湖・温泉からなり、そのすべてがよく保護されている。 古代の寺(20を超えるものの遺構がある)、岩の碑文、そしてそれらと景勝の視点に至る道も無傷でよく維持されている。

約1,600人がこの区域内に住んでおり、その大半は職員とその扶養家族である。機会が生じるにつれてこの人数と、それに付随する建物を減らす方針が施行されている。

「住んでいる人を減らす方針」が書かれる資産は、これまで読んだ64件でここだけです。7章のルアン・パバン479 は逆に住民の退去が脅威として挙げられていました。同じ「人が住む/住まない」が、資産によって逆の意味を持ちます。

真正性 — 画家と作品の名が並ぶ

明の時代(16世紀ごろ)から、この景観は山水画の学派に着想を与えた。その巨匠には漸江(Jian Jiang)、査士標、梅清、虚谷、雪荘といった画家が含まれる。 すべてのうちでもっとも有名なのは石濤であり、その随筆『苦瓜和尚の絵画についての論評』は中国文学のもっとも名高い作品の一つである。

これらの美術と文学の作品からこそ、黄山の真正性がもっともよく理解できる——世界のもっとも偉大な文化的達成のいくつかにとっての着想の場所として。

真正性が「作品から理解できる」とされる例です。12章のアユタヤ576 は廃墟を正確に解釈して公衆に伝えることへの配慮も真正性に寄与するでした。どちらも、物そのものではなく、それを巡って生まれたものに真正性の根拠を置いています。

誰が守っているか — 来訪者数を安定させる必要がある

法と体制

形 中国の法のもとで保護された国立公園
法 文物保護法(1982年)/森林法(1982年)/風景名勝区管理法(1985年)/野生動物保護法(1988年)
体制 黄山市の権限の直接のもとに黄山国立公園管理委員会が設立された
財源 特別基金が設けられ、「最高の国際水準で」資産を監視し管理するための十分な財源を保証している

マスタープランの目的

マスタープランは現在実施中である。その目的は—— ①資産の保全と観光の振興を均衡させること、②在地の共同体のための持続可能な発展の枠組みの中で景勝区域の保護を確かにすること、③資産の管理体制を「デジタル化し、体系化し、精緻化し、人間化する」ことによって保全管理の水準を高め、黄山の美術・文化・環境の遺産価値を実効的に保つこと。

「デジタル化・体系化・精緻化・人間化」という四つの語が、そのまま引用符つきで書かれています。

来訪者の数が書かれている

来訪者の圧力が資産に影響するもっとも明らかな要因である。黄山は中国でもっとも人気のある景勝景観の一つであり、年間の来訪は274万人、年8.96%で増加している。来訪者数は安定させる必要がある。

増加率まで書かれている資産は、これまで読んだ64件でここだけです。

遺産 来訪者の書かれ方
黄山547 年274万人、年8.96%増。安定させる必要がある
鼓浪嶼1541 1日最大35,000人
マサダ1040 来訪者センターは年125万人を受け入れるよう設計
ブッダガヤ1056 多数。インフラと公共の便益を整える必要が見込まれる
ラパ・ヌイ715 収容力の設定が課題

ほかの脅威

マツノザイセンチュウの害/嵐による樹木の損傷、地滑り、ダム/観光客の不注意な行為(すなわち喫煙、ごみ捨て)/火災の危険を高める水不足。

「喫煙、ごみ捨て」まで書かれています。そして「水不足が火災の危険を高める」という結び方になっています。

三つの重なり

ほかの保全の仕組みとの重なりが3件記録されています。これまで読んだなかで最多です。

仕組み 要素
2003年条約(無形文化遺産) 中国の伝統的な製茶技術と関連する社会的慣習
生物圏保存地域 黄山
ジオパーク 黄山ユネスコ世界ジオパーク

2級で押さえること

複合遺産で、基準は(ii)(vii)(x)——文化が(ii)一つ、自然が(vii)(x)の二つ。本体16,060 ha・緩衝49,000 ha、2012年に軽微な範囲変更(dossier は 547bis)。747年の伝説が不老不死の仙薬の発見の地と記し、これが名を与え、勅命によって「黄山」と名づけられた。元朝に64の寺が建てられ、1606年に僧の普門が法海禅院を建てた。明代の山水画の学派に着想を与えた。自然の基準では標高1,000 m 超の峰77、最高峰は蓮花峰1,864 m、中国のコケ類の3分の1とシダ類の半分以上、黄山固有のシダ13種と高等植物6種、脊椎動物300種超で国家保護13種(ウンピョウ・コウノトリ)。完全性に「約1,600人が区域内に住み、大半は職員とその扶養家族。機会が生じるにつれてこの人数と付随する建物を減らす方針が施行されている」とある——ルアン・パバン479 では逆に住民の退去が脅威だった。真正性は「これらの美術と文学の作品からこそ、黄山の真正性がもっともよく理解できる」で、石濤の『苦瓜和尚の絵画についての論評』が挙げられる。来訪者は年274万人で年8.96%増、安定させる必要がある。ほかの脅威はマツノザイセンチュウ・嵐・地滑り・ダム・観光客の喫煙とごみ捨て・火災の危険を高める水不足。ほかの保全の仕組みとの重なりが3件(製茶技術の無形遺産・生物圏保存地域・ジオパーク)で、これまで読んだなかで最多。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで4通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
巨石記念物巨石が、その資産でどんな扱いを受けているか「巨大な花崗岩の巨石と古い松の木」
文学文学が、価値のどこに入るか「これらの美術と文学の作品からこそ」
神話・伝説神話・伝説が、その記述でどんな役を果たすか「この伝説が黄山にその名を与え」
気候帯気候帯が、その資産で果たしている役「湿潤亜熱帯モンスーン気候帯」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:黄山の登録基準の組み合わせは?

  1. (ii)のみで文化遺産
  2. (ii)(vii)(x)で、文化の基準が1つ、自然の基準が2つ
  3. (vii)(x)のみで自然遺産
  4. (ii)(vii)(x)で、文化の基準が2つ、自然の基準が1つ
正解と解説を開く

正解:2.(ii)(vii)(x)で、文化の基準が1つ、自然の基準が2つ

(ii)(vii)(x)で、(ii)が文化、(vii)と(x)が自然です。したがって複合遺産になります。これまで読んだなかの複合遺産はトンガリロ421・バンディアガラ516・パパハナウモクアケア1326 ですが、文化が1つ・自然が2つという組み合わせは黄山547 だけです。

確認2:黄山の完全性の節が、区域内に住む人について書いていることは?

  1. 誰も住んでいない
  2. 住民の退去が脅威として挙げられている
  3. 約1,600人が住み大半は職員とその扶養家族だが、人数と付随する建物を減らす方針はまだ策定されておらず、今後の課題として挙げられている
  4. 約1,600人が住み大半は職員とその扶養家族で、機会が生じるにつれてこの人数と付随する建物を減らす方針が施行されている
正解と解説を開く

正解:4.約1,600人が住み大半は職員とその扶養家族で、機会が生じるにつれてこの人数と付随する建物を減らす方針が施行されている

> 約1,600人がこの区域内に住んでおり、その大半は職員とその扶養家族である。機会が生じるにつれてこの人数と、それに付随する建物を減らす方針が施行されている。方針はすでに施行されています。住民の退去が脅威として挙げられるのは12章のルアン・パバン479 です。同じ「人が住む/住まない」が、資産によって逆の意味を持ちます。

確認3:黄山の真正性について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. これらの美術と文学の作品からこそ、黄山の真正性がもっともよく理解できるとされている
  2. 岩と松の木の材料の分析によって確かめられている
  3. 真正性の節は無い
  4. これらの美術と文学の作品からこそ真正性がもっともよく理解でき、かつ岩と松の木の材料の分析によっても確かめられている
正解と解説を開く

正解:1.これらの美術と文学の作品からこそ、黄山の真正性がもっともよく理解できるとされている

> これらの美術と文学の作品からこそ、黄山の真正性がもっともよく理解できる——世界のもっとも偉大な文化的達成のいくつかにとっての着想の場所として。材料の分析についての記述はありません。挙げられているのは山水画の巨匠たちの名と、石濤の『苦瓜和尚の絵画についての論評』です。12章のアユタヤ576 の「解釈が真正性に寄与する」と同じ系統で、どちらも物そのものではないものに根拠を置いています。

確認4:黄山の来訪者について、UNESCO の記述に合うものは?

  1. 1日最大35,000人の上限が設けられている
  2. 来訪者数についての記述は無い
  3. 年274万人で年8.96%で増加しており、来訪者数は安定させる必要がある
  4. 年274万人で年8.96%で増加しており、1日最大35,000人の上限が設けられている
正解と解説を開く

正解:3.年274万人で年8.96%で増加しており、来訪者数は安定させる必要がある

> 来訪者の圧力が資産に影響するもっとも明らかな要因である。黄山は中国でもっとも人気のある景勝景観の一つであり、年間の来訪は274万人、年8.96%で増加している。来訪者数は安定させる必要がある。上限は書かれていません。1日最大35,000人は7章の鼓浪嶼1541 です。増加率まで書かれている資産は、これまで読んだなかで黄山547 だけです。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。