マラケシュの旧市街

登録年
1985年
所在国
モロッコ
登録区分
文化遺産
地域
アフリカ
登録基準
(i) (ii) (iv) (v)

基本を学ぶ

どこにあり、何が登録されたのか — 本体1,107 haと「メディナの700 ha」

モロッコ、マラケシュ。

本体 1,107 ha
緩衝地帯 一覧に行が無い
登録 1985年、基準 (i)(ii)(iv)(v)
dossier 331
連続性資産 はい(Serial: yes)
節の見出し `Integrity (2009)` など、年が付いている
保存状況報告 2024年・2026年
境界データ GIS のデータ未受領の注記がある
ほかの保全の仕組み 2003年条約3要素——金属(金・銀・銅)への彫刻、ジャマ・エル・フナ広場の文化的空間、マルフーン(民衆の詩と音楽の芸術)

この章で、ほかの保全の仕組みの要素がもっとも多い資産です。

二つの面積が出てくる

書かれている場所 面積
一覧 本体 1,107 ha
基準(v) 「メディナの700ヘクタール」

どちらも正しく読めます——資産全体が1,107 ha で、そのうちメディナが700 ha です。

ただし一次資料はその関係を明記していないので、ゼミは両方の数値を、書かれている場所とともに記録します。

いつからか

時期 中身
1070–1072年 アルモラービド朝(1056–1147年)による創建
1147–1269年 アルモハード朝の首都
位置づけ 長いあいだ、西のムスリム世界の主要な政治・経済・文化の中心。北アフリカとアンダルシアに君臨した

何が建っているか

時期 記念物
その時期に遡る広大な記念物 クトゥビーヤ・モスク(比類ない77 mのミナレット。ムスリム建築の本質的な記念物で、都市の景観の重要な目印であり市の象徴)、カスバ、城壁、壮麗な門、庭園
後に バディーア宮殿、ベン・ユーセフのメドゥルサ、サアド朝の墓、バヒア宮殿、大きな邸宅

ジャマ・エル・フナ広場

ジャマ・エル・フナ広場は、無形文化遺産の代表一覧表に記載されており、つねに訪問者を驚かせる真の野外劇場である。

世界遺産のページが、無形文化遺産の一覧表への記載に触れています。

自然の環境も価値に入る

なおも保護され、元のままで、よく保全されたその構想、絶えず使われている建設材料と装飾、そしてその自然の環境——とくにアゲダルとメナラの庭園、そしてパルメライエ(ナツメヤシ林)——その植栽はアルモラービド朝に帰せられる——のゆえに、マラケシュのメディナは、その顕著な普遍的価値を例示する文化と自然の両方の初期の構成要素のすべてを持っている。

文化遺産ですが、「文化と自然の両方の構成要素」と書かれています。

四つの基準 — ほかの世界遺産の名と登録年を挙げる

基準 中身
(i) 建築と芸術の傑作の印象深い数(城壁と壮麗な門、クトゥビーヤ・モスク、サアド朝の墓、バディーア宮殿の遺構、バヒア宮殿、メナラの水景と楼閣)——そのそれぞれが、単独でも顕著な普遍的価値の承認を正当化しうる
(ii) アルモラービド朝とアルモハード朝の首都は、中世の都市の発展において決定的な役割を果たした。メリニド朝の首都フェス・ジェディド(新市街)——1981年に世界遺産リストに登録されたフェズのメディナの不可分の一部——は、マラケシュのより早い都市の模型の適応である
(iv) モロッコ帝国にその名を与えたマラケシュは、西地中海の主要なイスラムの首都の完成した例である
(v) メディナの700ヘクタールにおいて、人口の変化のために脆弱になった古い住まいは、小路のもつれ、家々、スーク、フンドゥーク、職人の活動、伝統的な商いを伴う生きた歴史の町の際立った例を表している

ほかの世界遺産を挙げて比較する

基準(ii)は、ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較しています。

遺産 どう比較するか
マラケシュ331 フェズのメディナ(1981年登録)の一部であるフェス・ジェディドが、マラケシュのより早い都市の模型の適応である
ゴア234(23章) ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較する

ゼミは、一次資料がほかの資産を挙げているときは、その関係も記録します。

基準(v)の中の脆弱性

この章では、基準(v)が付く5件すべてで、基準の文に脆弱性が書かれていました(カイロ89 の節を参照)。

マラケシュ331 の原因は「人口の変化(demographic change)」です。

完全性と真正性(2009年時点)— 境界の見直しが想定されている

完全性(2009)

世界遺産リストに登録された資産の境界は、その顕著な普遍的価値の承認に必要な建築と都市の属性のすべてを囲む元の城壁によって正しく定められている。 これらの境界の見直しが、資産の周囲の保護を増すために想定されている。

「境界の見直しが想定されている」と書かれる資産は限られています。

一覧に緩衝地帯の行が無いことと合わせて読むと、周囲の保護が課題であることが分かります。ただし「緩衝地帯が無い」とは書かれていないので、断定しません。

四つの脆弱性

とはいえ、資産の完全性は次のために脆弱である——

都市開発からの圧力
家々の上階と建設材料への統制されない改変
ケッターラ(地下の排水坑道)の放棄
ナツメヤシ林の開発

「ケッターラの放棄」が脅威として挙げられています。

水の仕組みの放棄が脅威として書かれる資産は、これまで読んだ111件でここだけです。

概要では「パルメライエの植栽はアルモラービド朝に帰せられる」と価値として書かれ、完全性では「ナツメヤシ林の開発」が脅威として書かれます。同じものの二つの面です。

真正性(2009)

内側の都市の構造と記念物の真正性は無傷のままである。それは、有効な基準に従って修復を行う資格ある職人技によって確かにされている。

歴史的な中心の心臓部で行われた再建と再開発の作業は、概して元の体積と様式を尊重している。

修復が、職人の仕事を復活させた

これらの修復の作業における伝統的な材料の使用は、建設に結びついた職人の商い——ゼリージュ、タダラクト(石灰漆喰)、彩色され彫刻された木、漆喰塗り、鍛鉄、家具製作など——を、調度と装飾に結びついた商いに加えて、ものすごく復活させた。

「修復が職人の商いを復活させた」と書かれる資産は、これまで読んだ111件でここだけです。

8章のル・アーヴル1181 は「修復の取り組みが、固有で革新的な研究の機会となる」でした。修復が何を生むかの書かれ方が、資産ごとに違います。

誰が守っているか(2009年時点)— 許可の審査まで担う

法

仕組み 中身
歴史記念物と遺跡の記載のための諸法、とくに遺産に関する法22-80 —
固有の規制文書 マラケシュのメディナのより重要な記念物のそれぞれが、固有の規制文書によって保護されている

「記念物ごとに固有の規制文書がある」という形です。

11章では、個別の記載や規制が数で書かれる資産が二つありました。

遺産 個別の保護
カイラワーン499 36の記念物が歴史記念物としての固有の記載
イマーム広場115 広場が国の記念物一覧の項目番号102。王のモスク(107)・シェイフ・ロトフォッラー・モスク(105)・アーリー・カープー(104)・ゲイサリーイェ柱廊(103)も個別に登録
マラケシュ331 より重要な記念物のそれぞれが固有の規制文書で保護(数は書かれていない)

歴史記念物・遺跡地域視察局

メディナの保護に関わる在地の業務を超えて、歴史記念物・遺跡地域視察局(文化省に属する)が、一方では歴史記念物の管理・修復・維持・保全に、他方では建築と開発の許可の申請の審査と、メディナにおける工事現場の統制に固有の責任を持ち、したがって遺跡の持続可能な保護の保証をなしている。

一つの機関が、保全と許可審査の両方を担っています。

8章のラ・ショー・ド・フォン1302 は日々の管理をコミューンの都市計画と遺産の部局が行い、ジャイプール1605 は「委任された政府の機関」を通じて実施していました。誰が許可を出すかは資産ごとに違います。

建築憲章

マラケシュ都市庁が歴史記念物・遺跡地域視察局と協力して策定したマラケシュのメディナ建築憲章は、メディナの建築・都市・景観の遺産の保全のための管理の道具をなしている。

それは、固有の助言の構造の設立を通じて適用されることになる。この憲章の実施のための協定が、2008年11月11日に関係する相手のあいだで署名された。

協定の署名日まで書かれています。

「固有の助言の構造」は将来形です。節の見出しが (2009) なので、その後どうなったかは、このページからは分かりません。

2級で押さえること

基準(i)(ii)(iv)(v)、本体1,107 ha、一覧に緩衝地帯の行が無い、1985年登録、連続性資産(Serial: yes)、節の見出しに年が付いている(`Integrity (2009)` など)、保存状況報告は2024年・2026年、2003年条約3要素(金属への彫刻/ジャマ・エル・フナ広場の文化的空間/マルフーン)——この章で他制度の要素がもっとも多い。一覧の本体は1,107 ha だが、基準(v)は「メディナの700ヘクタール」と書く。一次資料は関係を明記しないので、両方の数値を、書かれている場所とともに記録する。1070–1072年にアルモラービド朝(1056–1147年)が創建し、アルモハード朝(1147–1269年)の首都。長いあいだ、西のムスリム世界の主要な政治・経済・文化の中心で、北アフリカとアンダルシアに君臨した。クトゥビーヤ・モスクの比類ない77 m のミナレットは「ムスリム建築の本質的な記念物」で、都市の景観の重要な目印であり市の象徴。ほかにカスバ・城壁・壮麗な門・庭園、後のバディーア宮殿・ベン・ユーセフのメドゥルサ・サアド朝の墓・バヒア宮殿・大きな邸宅。ジャマ・エル・フナ広場は無形文化遺産の代表一覧表に記載されており、「つねに訪問者を驚かせる真の野外劇場」。文化遺産だが、アゲダルとメナラの庭園、パルメライエ(ナツメヤシ林。植栽はアルモラービド朝に帰せられる)を含む自然の環境のゆえに「文化と自然の両方の初期の構成要素のすべて」を持つと書かれる。基準(ii)はほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較する——「フェズのメディナ(1981年登録)の不可分の一部であるフェス・ジェディドは、マラケシュのより早い都市の模型の適応である」(23章のゴア234 と同じ型)。基準(v)は「メディナの700ヘクタールにおいて、人口の変化のために脆弱になった古い住まいは……生きた歴史の町の際立った例を表している」——この章で基準(v)が付く5件すべてに脆弱性が書かれている。完全性(2009)は元の城壁が境界を正しく定めるとし、「これらの境界の見直しが、資産の周囲の保護を増すために想定されている」と書く(一覧に緩衝地帯の行が無いことと合わせて読めるが、「緩衝地帯が無い」とは書かれていないので断定しない)。完全性の脆弱性は四つ——都市開発からの圧力/家々の上階と建設材料への統制されない改変/ケッターラ(地下の排水坑道)の放棄/ナツメヤシ林の開発。水の仕組みの放棄が脅威として書かれるのは111件でここだけ。パルメライエは概要では価値、完全性では脅威として書かれる——同じものの二つの面。真正性(2009)は「内側の都市の構造と記念物の真正性は無傷のまま」で、「有効な基準に従って修復を行う資格ある職人技」によって確かにされる。再建と再開発は概して元の体積と様式を尊重している。「修復における伝統的な材料の使用が、建設に結びついた職人の商い(ゼリージュ、タダラクト、彩色され彫刻された木、漆喰塗り、鍛鉄、家具製作など)を、ものすごく復活させた」——修復が職人の商いを復活させたと書かれるのは111件でここだけ(8章のル・アーヴル1181 は「修復が研究の機会になる」)。遺産に関する法22-80 のほか、より重要な記念物のそれぞれが固有の規制文書で保護されている。歴史記念物・遺跡地域視察局(文化省に属する)が、歴史記念物の管理・修復・維持・保全と、建築と開発の許可の申請の審査、メディナにおける工事現場の統制の両方に責任を持つ。マラケシュのメディナ建築憲章(マラケシュ都市庁が視察局と協力して策定)は管理の道具で、実施のための協定が2008年11月11日に署名されたが、「固有の助言の構造」の設立は将来形で、節の見出しが(2009)なのでその後は分からない。一覧に GIS データ未受領の注記がある。

準1級 準1級向けに理解を深める

準1級の掲載範囲は確かめていません。準1級の範囲は「日本の全遺産と主要な世界の遺産700件」ですが、どの700件かは公式に出ていません。ここに並ぶのは、ゼミが作ったキーワードの練習(試作46本)で、この記事がどのキーワードに入ったかです。公式テキストの分類ではありません。

この遺産は、準1級のキーワードで4通りに出てきます

キーワードこのキーワードで見るもの本文の手がかり
無形文化遺産別の条約のもの。要素の名は資産の名と違うことが多い「無形文化遺産の代表一覧表に記載」
帝国系「帝国」が、その資産に対してどの向きで働くか「モロッコ帝国にその名を与えたマラケシュは、」
イスラム建築モスクが、その資産でどの役を与えられているか「都市の景観の重要な目印であり市の象徴」
庭園庭園が、その資産でどんな扱いを受けているか「文化と自然の両方の初期の構成要素」

準1級は、遺産を1件ずつではなくキーワードで横に読みます。同じ資産が、キーワードごとに別の一文で引かれます。「この遺産はどのテーマか」ではなく、「このキーワードで読むと、この遺産の何が見えるか」で読みます。

キーワードで練習する

級別の確認問題

2級 確認問題

答えを選んでから、正解と解説を開きましょう。

確認1:マラケシュの旧市街の面積について、UNESCO のページの書かれ方に合うものは?

  1. 一覧の本体は1,107 ha で、基準(v)は「メディナの700ヘクタール」と書く
  2. 一覧の本体も基準(v)も700 ha である
  3. 一覧に面積の行が無い
  4. 一覧の本体は1,107 ha で基準(v)は700 ha と書き、一次資料はその二つの関係を明記している
正解と解説を開く

正解:1.一覧の本体は1,107 ha で、基準(v)は「メディナの700ヘクタール」と書く

一覧の本体は1,107 ha、基準(v)は「メディナの700ヘクタール」です。一次資料はその関係を明記していません。資産全体が1,107 ha でそのうちメディナが700 ha と読めますが、ゼミは両方の数値を、書かれている場所とともに記録します。

確認2:マラケシュの旧市街の基準(ii)の書き方の特徴は?

  1. 記念物の数だけを挙げている
  2. 基準(ii)は付いていない
  3. ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較しており、それはこれまで読んだなかでマラケシュだけに見られる書き方である
  4. ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較している(フェズのメディナ、1981年登録)
正解と解説を開く

正解:4.ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較している(フェズのメディナ、1981年登録)

> メリニド朝の首都フェス・ジェディド(新市街)——1981年に世界遺産リストに登録されたフェズのメディナの不可分の一部——は、マラケシュのより早い都市の模型の適応である。マラケシュだけではありません——23章のゴア234 も、ほかの世界遺産の名と登録年を挙げて比較していました。

確認3:マラケシュの旧市街の完全性(2009)で、脅威として挙げられているものは?

  1. 都市開発からの圧力だけ
  2. 都市開発からの圧力・家々の上階と建設材料への統制されない改変・ケッターラ(地下の排水坑道)の放棄・ナツメヤシ林の開発
  3. 脅威は挙げられていない
  4. 都市開発からの圧力・上階と建設材料への改変・ケッターラの放棄・ナツメヤシ林の開発で、そのうちケッターラは概要では価値として書かれている
正解と解説を開く

正解:2.都市開発からの圧力・家々の上階と建設材料への統制されない改変・ケッターラ(地下の排水坑道)の放棄・ナツメヤシ林の開発

四つです。概要で価値として書かれているのはケッターラではなく「パルメライエ(ナツメヤシ林)」のほうです——「その植栽はアルモラービド朝に帰せられる」。同じものが、概要では価値、完全性では脅威として書かれています。水の仕組みの放棄が脅威として書かれる資産は、これまで読んだ111件でここだけです。

確認4:マラケシュの旧市街の真正性(2009)で、修復が何を生んだと書かれているか?

  1. 修復が、固有で革新的な研究の機会となった
  2. 修復が何を生んだかは書かれていない
  3. 伝統的な材料の使用が、建設に結びついた職人の商いをものすごく復活させた
  4. 伝統的な材料の使用が職人の商いを復活させ、あわせて固有で革新的な研究の機会にもなった
正解と解説を開く

正解:3.伝統的な材料の使用が、建設に結びついた職人の商いをものすごく復活させた

> これらの修復の作業における伝統的な材料の使用は、建設に結びついた職人の商い(ゼリージュ、タダラクト、彩色され彫刻された木、漆喰塗り、鍛鉄、家具製作など)を、調度と装飾に結びついた商いに加えて、ものすごく復活させた。「修復が、固有で革新的な研究の機会となる」のは8章のル・アーヴル1181 です。修復が何を生むかの書かれ方は、資産ごとに違います。

参考資料

確認日:2026年10月27日。世界遺産ゼミは非公式の学習コンテンツです。確認問題は独自に作成しています。特定の試験回への対応は未確定です。

参照した公式教材の版: くわしく学ぶ世界遺産300 <第6版>

この遺産が出題される級は、上のバッジから確認できます。