個人
ゲーリー・ベッカー
Gary S. Becker
1930年生まれ・2014年没
何をした人か
教育への投資や家族、犯罪、差別など、市場の外も含む幅広い人間の行動にまで、経済学の考え方を広げたアメリカの経済学者です。
受賞理由のやさしい要約
1992年 経済学賞(単独受賞)
ミクロ経済学の分析の範囲を、市場の外での行動を含む幅広い人間の行動や関わり合いに広げたことが評価され、単独で受賞しました。それまで社会学や人口学、犯罪学などが扱ってきた分野に経済学を持ち込み、経済学者が新しい問題に取り組むきっかけをつくりました。
公式の受賞理由(英語)
for having extended the domain of microeconomic analysis to a wide range of human behaviour and interaction, including nonmarket behaviour何を問い直したか
ベッカーは、家計も企業も目的をもって合理的に行動するという同じ見方で、人への投資(人的資本)、家族の時間の使い方、犯罪と罰、差別を分析しました。1957年の本では、差別は差別される側だけでなく、差別する側にも経済的な不利益をもたらしがちだと論じました。こうした研究は、当初は懐疑や不信の目で見られました。
私たちの生活や社会とのつながり
人的資本の考え方は、教育や職業訓練の見返りや賃金の差を調べる共通の枠組みになりました。受賞発表は、これを経済学で最も実証に使われる理論の一つだと述べています。家族の分析は、既婚女性が家の外で働くようになったことや、工業国での出生率の低下の説明にも使われました。
関連する受賞者・団体
- ミルトン・フリードマン研究の継承
ベッカーは1951年にシカゴ大学でフリードマンのミクロ経済学の講義を受け、その講義とその後の交流が研究の方向に深い影響を与えたと振り返っています。
- ダニエル・カーネマン編集上の関連
ベッカーは、人は目的をもって合理的に行動するという見方を市場の外の行動にまで広げました。カーネマンは逆に、人の意思決定が標準的な経済理論の予測から系統的にずれうることを示しました。人間の選択をどうとらえるかを、正反対の方向から問い直した2人です。
- クラウディア・ゴールディン編集上の関連
ベッカーは家族の時間の使い方の理論から、既婚女性が家の外で働くようになった理由を説明しようとしました。ゴールディンは長い期間のデータから、既婚女性の働く割合が工業化で下がり、サービス業の広がりとともに上がったことを示しました。
「編集上の関連」は、同じ問いを別の角度から考える組み合わせとして編集部が選んだもので、実際の協働や影響関係を示すものではありません。
次に読むためのキーワード
出典と確認日
- NobelPrize.org 受賞者ページ(Gary Becker)
- 1992年 アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞(NobelPrize.org)
- Gary S. Becker – Biographical – NobelPrize.org
- Gary S. Becker – Facts - NobelPrize.org
- The Prize in Economics 1992 - Press release - NobelPrize.org
受賞年・部門・英語の受賞理由は NobelPrize.org API の公開データ(2026-10-25取得)です。日本語の解説は編集部による要約で、記述の確認に使った資料を上に掲げています(確認日 2026-10-22)。[根拠]の番号は、医療や評価の分かれる記述について、この一覧の資料を示します。