個人
アダ・ヨナット
Ada E. Yonath
1939年生まれ・2026年没
何をした人か
細胞の中でタンパク質をつくるリボソームの姿を、X線結晶構造解析で原子のレベルまで描き出したイスラエルの化学者です。
受賞理由のやさしい要約
2009年 化学賞(賞の1/3)
リボソームの構造と働きの研究が評価されました。ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン、トーマス・スタイツとの3人での受賞で、3人ともリボソームをつくる数十万個の原子の位置をX線結晶構造解析で描きました。リボソームは、DNAの情報をもとにタンパク質をつくるしくみです。
同じ年・部門の共同受賞:ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン、Thomas A. Steitz(未収録)
公式の受賞理由(英語)
for studies of the structure and function of the ribosome何が新しかったか
1970年代末にリボソームに取り組みましたが、大きく対称性がなく不安定なため結晶にできないと考えられ、夢想家扱いされました。過酷な環境にすむ生き物のリボソームのほうが結晶にしやすいことに気づき、約2万5000回の試行を経て1980年代初めに好熱菌での結晶化に成功しました。結晶を極低温にしてからX線を当てる方法も開発し、2000年と2001年に仲間とともにリボソームの2つの部分の立体構造を描き出しました。
私たちの生活や社会とのつながり
多くの抗生物質は、細菌のリボソームの働きを妨げることで効きます。3人は抗生物質がリボソームにどう結合するかを示す立体モデルをつくり、受賞発表の時点で新しい抗生物質の開発に使われていました。ヨナットはその後、薬剤耐性の問題にも取り組み、2026年8月31日に亡くなりました。
関連する受賞者・団体
- ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン同じ賞の共同受賞
2009年の化学賞をともに受けました。
- ローレンス・ブラッグ編集上の関連
ブラッグ親子は、X線を使って結晶の構造を調べる強力な道具を生み出しました。ヨナットらはその方法を受け継ぎ、数十万個の原子からなるリボソームの構造をX線結晶構造解析で描き出しました。
- アレクサンダー・フレミング編集上の関連
フレミングが見つけたペニシリンは、細菌感染症を治す薬の土台になりました。ヨナットらは、抗生物質がリボソームにどう結合するかを立体的に示し、新しい抗生物質づくりの手がかりを与えました。
- デミス・ハサビス編集上の関連
ヨナットはX線結晶構造解析で、タンパク質をつくる場であるリボソームの構造を明らかにしました。AlphaFold2は2020年の評価で、多くの場合この方法に近い精度を示しました。
「編集上の関連」は、同じ問いを別の角度から考える組み合わせとして編集部が選んだもので、実際の協働や影響関係を示すものではありません。
次に読むためのキーワード
出典と確認日
- NobelPrize.org 受賞者ページ(Ada E. Yonath)
- 2009年 ノーベル化学賞(NobelPrize.org)
- Ada E. Yonath – Facts - NobelPrize.org
- Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2009 - NobelPrize.org
- ADA YONATH - NobelPrize.org
受賞年・部門・英語の受賞理由は NobelPrize.org API の公開データ(2026-10-25取得)です。日本語の解説は編集部による要約で、記述の確認に使った資料を上に掲げています(確認日 2026-10-22)。[根拠]の番号は、医療や評価の分かれる記述について、この一覧の資料を示します。