個人
エルンスト・ルスカ
Ernst Ruska
1906年生まれ・1988年没
何をした人か
磁気コイルを電子のレンズとして使い、1933年に光の顕微鏡をしのぐ電子顕微鏡をつくったドイツの物理学者です。
受賞理由のやさしい要約
1986年 物理学賞(賞の1/2)
電子光学での基礎的な研究と、最初の電子顕微鏡の設計が評価されました。賞の半分をルスカが受け、残る半分は走査型トンネル顕微鏡を設計したゲルト・ビーニッヒとハインリッヒ・ローラーに贈られた、3人での受賞です。研究の始まりは1920年代末、ベルリン工科大学の学生のころでした。
同じ年・部門の共同受賞:ゲルト・ビーニッヒ、ハインリッヒ・ローラー
公式の受賞理由(英語)
for his fundamental work in electron optics, and for the design of the first electron microscope何が新しかったか
光の顕微鏡では、光の波長より小さいものは見分けられないという限界がありました。電子の流れが可視光より短い波長の波としてふるまうとわかり、新しい道が開けていました。ルスカは指導教員のマックス・クノールとともに磁気コイルを調べ、それが電子のレンズとして働くことを見つけました。2つのコイルを組み合わせた試作機の倍率は15倍でしたが、改良を重ねて1933年には光の顕微鏡より明らかに高い性能を実現しました。
私たちの生活や社会とのつながり
ルスカはその後シーメンスに移り、1939年に市販された量産型の電子顕微鏡の開発に加わりました。受賞発表は、電子顕微鏡の重要性が生物学や医学などの分野ですでに確立しているとし、20世紀の最も重要な発明の一つと評しました。
関連する受賞者・団体
- ゲルト・ビーニッヒ同じ賞の共同受賞
1986年の物理学賞をともに受けました。
- ハインリッヒ・ローラー同じ賞の共同受賞
1986年の物理学賞をともに受けました。
- ローレンス・ブラッグ編集上の関連
ブラッグはX線の回折模様から結晶の中の原子の位置を計算する道を開き、ルスカは光より波長の短い電子の波を使って像をつくりました。光の顕微鏡では見えない小さな世界を、別々のやり方で探った2人です。
- デニス・ガボール編集上の関連
ガボールのホログラフィーは、原子まで見分けられる電子顕微鏡を目指す研究から生まれました。磁気コイルを電子のレンズにして1933年に電子顕微鏡を作ったルスカと並べると、光では見えない細かさに迫る2つの道筋が見えてきます。
「編集上の関連」は、同じ問いを別の角度から考える組み合わせとして編集部が選んだもので、実際の協働や影響関係を示すものではありません。
次に読むためのキーワード
出典と確認日
- NobelPrize.org 受賞者ページ(Ernst Ruska)
- 1986年 ノーベル物理学賞(NobelPrize.org)
- Ernst Ruska – Facts - NobelPrize.org
- Press release: The 1986 Nobel Prize in Physics - NobelPrize.org
受賞年・部門・英語の受賞理由は NobelPrize.org API の公開データ(2026-10-25取得)です。日本語の解説は編集部による要約で、記述の確認に使った資料を上に掲げています(確認日 2026-10-22)。[根拠]の番号は、医療や評価の分かれる記述について、この一覧の資料を示します。